東桂苑 関川村②

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美しい木目。100年の歴史を感じさせてくれるし、丁寧な施工がされている事がわかる。

その答えは・・・

昨日の写真でも目をこらして見るとわかります。

実はこの濡れ縁・・・

板一枚の長さが14m近くあるのです。

写真のような屋根を支える桁が14mの一本物なら、有名な古民家なら普通にありますが、ここは濡れ縁の細い板(いわゆる製材)が14mもあるのは滅多に見られません。細いが故にこの材取りは極めて難しいのです。明治初期当時は大型機械などありませんから、この製材をどのようにして行ったのでしょうか?100年経た今でもきちっと真っ直ぐですし・・・。

私は、雰囲気など大きい点に目がいきますが、大工はその仕事ひとつひとつに目がいくようです。そこが職種なのでしょうね。一方Yさんからご紹介された建築士のSさんは両方に目がいっているのでしょうね。それはその建築士さんは自分でも多少の現場仕事をしておりますから・・・だから私を含めた一般の建築士はその域にはなかなか到達できません。

さて、「緑の家」が腰壁を普通使わない理由がここにあります(コストと同等の理由)。

↓の写真をご覧ください。

この部屋だけ腰壁(板の壁)でした。そしてこの部屋は物置・・・

そうですね、古い日本の建築では腰壁や板壁は大事な部屋には絶対使いません。作業部屋か物置、雪隠に使う壁が腰壁や板壁なのですね。

大事な部屋は、やはり襖、障壁(紙でできた襖のような壁)です。

控室(女中室)は土壁です(当時仕上げがあったかどうか不明)。

この↑の写真は、大事な「お客様」の寝室です。この東桂苑で当時のまま現存されている唯一の障壁です。仕上げの紙は当時流行の柄の「唐紙」なのでしょうね。ホント唐紙の柄は品が良くて美しい・・・名から多分平安時代に唐から伝わった技法では無いかと思えるのですが、独自に発達した柄、製法で日本の美の最高峰です。

 破れたところから見える下地紙。これ以上破れないことを祈る。紙を破って持ち帰るなんてもってのほか。

仕上げ紙の下は、必ずこのような中古の紙が貼られています。

しかし繊細な柄ですね。西洋のクロス柄とは全く違う雰囲気です。

このように古来の日本の家では、紙が壁の最高の仕上げと言って良いでしょうね。現在はとても人気がある腰壁(板壁)は一番程度の低い仕上げ(仕上げ自体ができない小作人の家もあるが)で、当時は紙が一番良い仕上げでした。今は全く逆で普通の紙なら一番安い仕上げです。木はある程度簡単に手に入りましたが、柄のある紙は貴重だったのです。その時代に何が貴重かによって価値が変わるところはおもしろいですね。そのうち石油が高騰すれば、樹脂製品が一番貴重となるかも・・・笑。

但し今でもホントの唐紙や本手漉き和紙(鳥の子)などは非常に高価な仕上げです。

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