2013年9月07日0時緑字加筆
デシカのコントローラー。シンプルでヘタに湿度表示が無いのがよい。
まずその前に3の質問事項をダイキンさんに伺ってみました。
すると・・
やはりスペック表の加湿(暖房)時の消費電力には、ファンの消費電力は入らないとの事で、仮にファンが2台で120W消費していれば、2.1/(0.28+0.12)=5.25となります。この数値なら納得で、この数値だと性能のよいエアコンならもしかして同じくらいのCOPで加湿できる(水盤などをエアコンの前に置いておく、又は積極的に洗濯物の湿気を排気しない)事になります。
このあたりの表記はダクトでシステムを組むダクトエアコンと同じ考えで、それぞれファンやヒートポンプ、開閉弁、チップの消費電力の合計になり注意が必要です。また中間期で除加湿用のヒートポンプが作動していな時でも、バイパス回路がないので、換気の圧損は変わりなくファンの消費電力は一年中同じだそうです。
さあ・・・まとめです。
この大きさに高性能の熱交換器型換気とヒートポンプを組み込み、給水無しで1.5L/hの加湿ができるのはすばらしい機器で有ると言えます。しかもその加湿(暖房時)の効率は外気0度でも暖房効率5を軽く超えるスペックです。また除湿性能も2.7L/hとエアコンの3台分くらいの除湿量をこれ1台で確保できる・・・しかも効率も3.6と再加熱除湿としては非常によいです。流石に満を持して発売された機器です。特に除湿性能はダイキンさんの実測によると、130m2くらいの家を28度湿度40%維持できるとの事、これは流石にエアコンの再加熱除湿モードでも実現する事はできなくらいの、除湿能力です。一般のルームエアコンの再加熱除湿では50%を切るのがやっとで、相対湿度40%を維持できません。ですので、相対湿度40%を維持することが必要なら、このデシカしか選択肢はありえません。
事務所のエアコンはわざと負荷をあたえて冷媒を下げるようにしてもここまでの湿度か・・・。
ただ・・・どれだけの人がこの室温28度で相対湿度40%を必要とするかはわかりません。私などは、28度で相対湿度50~60%の間でも充分満足できる環境です。実際事務所はそのような環境になっており、冷え性の私でも寒かったり暑かったり感じる事はありません。
次に加湿の場合ですが、デシカの場合は真冬でも22度相対湿度60%も可能でしょう。しかし加湿の方は新潟県であれば、全熱交換換気を使用し、風呂・洗濯物など循環換気を組み込めば、22度で相対湿度55%まで上げる事が可能です。これ以上の加湿は樹脂サッシ枠から結露が始まるので、必要有りませんが、太平洋側の外気の絶対湿度が低い地域はデシカの加湿性能は大変有効です。デシカでないと相対湿度55%まで均一に上げる事は難しいと思います。
上の写真の26℃湿度49%の空気質とは、19~20℃で雨が降っている9月中頃の空気質とほぼ同じ。これで満足できなければデシカしかないか?
上のようにほぼまとめができました。つまりその価格とダクトの大きさが許せれば、デシカでないと加湿、除湿性能が不安な太平洋側地域には最もよい機器といえます。日本海側で新潟以北では、そのマニアックな数値、性能に価値を見いだせればよい設備機器と言えますし、屋内がダクトで空気質が均一になる事がデシカならではです。
最後に・・・空調設備機器の寿命は長くて15年~20年、フィルターは2年(カタログ記載あり)で交換あることも付け加えておきます。
デシカのファーストインプレッションは以上です。もし機会があれば次は自身でデシカを組み込み空調設計した家のデータからの解析・考察となります。
コメント
お世話になっております。
デシカの効率がいいかどうかは比較対象と比較項目によると思います。
全熱交換器ベンティエールで似たような室内外環境において、デシカの性能表示と同じように記述すると、
除湿冷房性能は、全熱能力は1.7kW、除湿量 1.8kg/h。
加湿暖房性能は、全熱能力は1.8kW、加湿量 0.8kg/h。
消費電力は90Wです。
全く同一の環境ではないので、数字に1~2割の誤差はあるかも知れませんが概ねこの程度です。
ベンティエールを比較対象とすると比較項目として量(全熱能力、除加湿量)はデシカの方が大きいです。
率(COPとコストパフォーマンス)はベンティエールの方が良いです。特にCOPは20近くになり驚異的です。
また、デシカとエアコンは測定しているものが違うので直接比較はできないと思います。
あえて比較をするなら、以下の組み合わせなら比較できますが、計算はしていません。
「デシカ」と「エアコン+換気扇(200m3/h)」を比較
「デシカ」と「エアコン+顕熱交換器(200m3/h)」を比較
「デシカ」と「エアコン+全熱交換器(200m3/h)」を比較
なおデシカは除湿の時に気体の水蒸気を排出するので、液体の水を排出するエアコンや除湿器と比べて理論的に効率はかなり良いはずです。
実際の使用でも除湿の効果は高いと思います。
加湿に関しては、手間などが違いますが、以下の機器等が効率は良いと思います。
パナソニック ヒートレスファン(気化)式加湿機 FE-KFE15
加湿量(室温20℃、湿度30%時)は1,000mL。消費電力は16W。
私なら現時点ではエアコン+全熱交換器(ローヤルSE200R等)+加湿器+除湿器の組み合わせがいいと考えていますが、何を選ぶかは人それぞれだと思います。
浅間様のブログは、構造や温熱環境やメンテナンスや自然と人工の兼ね合い等が勉強でき本当すばらしいブログだと思います。
わたしの理解が悪いのかもしれませんが、このレベルの高いブログで誤解を生むような表現があったので、残念に思い投稿いたしました。
逆に私が誤解していたら、本当に申し訳ないです。
ひらぱー様
えーっと・・・
とにかく「空気のやりとりとか」・・・等難しく考えないで、「消費された電力でどのくらいの全熱を室内に(又は屋外に)移動させる事ができたか」で良いと思います。無理に潜熱の移動効率がいくつで、顕熱の移動効率いくつと分けなくともまずはよいでしょう。
そこで・・・ひらぱー様は一言でいうと、デシカはシステムの効率がよくないとのお考えなのでしょうか。そのところがよく読み取れなくて・・・。
訂正です。
>SA-OAの加湿のCOPが7.5であるなら、SA-RAのCOPは0.5と言うことになります。
COPが7.5は暖房加湿時の全熱のCOPでした。2.1 × 1000 ÷ 280 = 7.5
潜熱だけのCOPは (2.1-1.0) × 1000 ÷ 280 = 3.9です。
SA-OAの暖房加湿時の潜熱のCOPが3.9であるなら、SA-RAの潜熱COPは0.26ということになります、と訂正致します。
早速のお返事ありがとうございます。
お返事を読んでいて、自分の中であやふやだった部分と浅間様が言われていることが理解できました。
>一般的な除加湿の性能評価からするとおかしいですよね。普通は③のみの数字だと思います。
と書きましたが、別の言い方で申し上げます。
通常のエアコン(正確には室内と室外で空気のやりとりがないエアコン)や家庭用の除湿器や加湿器での冷暖房や除加湿の性能を表示する場合は、
「RA」を基準にして、SAの顕熱や潜熱をどれくらい増減させられるかを数値で表していると思います。
つまり SA潜熱-RA潜熱 や SA顕熱-RA顕熱 を数値で表しています。
ところが、デシカの性能は、熱交換器としての性能という意味で、RAを基準ではなく「OA」を基準にしていると思われます。
ダイキンから直接聞いた訳ではなく人づてなので少し自信がないのですが、加湿能力を考えると「OA」だろうと思います。
つまり SA潜熱-OA潜熱 や SA顕熱-OA顕熱 を数値で表していると思われます。
>消費電力100Wかけてどのくらいの全熱を室外から室内に移動させられるかが、こういった全熱機器効率の考えたか
熱交換器の性能は SA-OA で表すというのも一つの方法で数字としては間違っていませんし、そちらが一般的なのかも知れません。
ただ、デシカのSA潜熱-OA潜熱 や SA顕熱-OA顕熱とエアコンのSA潜熱-RA潜熱 や SA顕熱-RA顕熱を比較しても意味がないと思います。
デシカとエアコンを比べる場合は、デシカの SA潜熱-RA潜熱 や SA顕熱-RA顕熱 を計算なり、実測なりで求めて、
エアコンのSA潜熱-RA潜熱 や SA顕熱-RA顕熱と比較しないと評価したことにならないと思います。
冬季の加湿のみを計算してみます。間違っていたらご指摘ください。
室内側22度DB、50%RHであれば、空気の密度は約1.2kg/m3、絶対湿度は約8g/kg
室外側0度DB、50%RHであれば、空気の密度は約1.3kg/m3、絶対湿度は約2g/kg
風量は200m3/hとして計算
一時間あたりのRAに含まれる水は、200m3/h × 1.2kg/m3 × 約8g/kg = 約1920g/h
一時間あたりのOAに含まれる水は、200m3/h × 1.3kg/m3 × 約2g/kg = 約520g/h
SA-OAが1.5kg/h = 1500g/hだとすると、
一時間あたりのSAに含まれる水は、(SA-OA) + OA = 1500g/h + 約520g/h = 約2020g/h
一時間あたりのSA-RAで増加する水は、約2020g/h - 約1920g/h = 約100g
SA-OAの1500g/hに対して、SA-RAは約100g/hとなり、15分の1になってしまいます。
SA-OAの加湿のCOPが7.5であるなら、SA-RAのCOPは0.5と言うことになります。
冬季の加湿を計算しましたが、他も計算はできると思います。
浅間様は、デシカのSA顕熱-OA顕熱は効率が良いと仰っています。
私はデシカの性能はSA潜熱-OA潜熱、SA顕熱-OA顕熱の表示だけではなく、
SA潜熱-RA潜熱 や SA顕熱-RA顕熱での性能の表示もした方がエアコンや除加湿器と比較しやすいので有用だと思います。
両方載せることができないのであれば、せめて、「SA-RAではなく、SA-OAでの性能だ」と書いてあればわかりやすいと思います。
以上のSA-OA、SA-RAは私の推測や思いこみです。もし間違っていたら、大変申し訳なく思います。
よろしくお願いいたします。
お隣さん様 ひらぱー様
コメントありがとうございます。
デシカって凄い興味が皆さん有るのですね。話題性抜群です。
お隣さん様 >確かに我ながら考えすぎだと思います。
いいえ、考えすぎではありません。
匂い等は必ず切り替え反転時に混じるでしょう。でもそういうものだと思って普通の全熱交換換気扇も使っていると言う事です。私は数年の実績で日常生活に支障があるようなで現象が感じられなかっただけです。この匂いが混じる事は、個人個人の価値観なので、建て主さんが選択するのだと思っております。
ひらぱー様
>このときデシカの加湿の能力は②+③-①ということだそうです。一般的な除加湿の性能評価からするとおかしいですよね。
普通は③のみの数字だと思います。
うーーん、なにか誤解があるような・・・
除加湿の評価ではなく、全熱の評価が機器効率で、
それとは別で除湿性能と加湿効率がよいと
まとめたつもりです。
もし②、③が潜熱(湿気)だけでなく全熱なら、
通常は②+③でよいとおもいます。.これは熱交換型の効率の基本的な考えで特に問題ないと思います。
つまり消費電力100Wかけてどのくらいの全熱を室外から室内に移動させられるかが、こういった全熱機器効率の考えたかで、
>②デシカを使うと室内の絶対湿度の高い空気の水蒸気が外に出て行かずに回収され、
で「外に出て行かず」と考えずに、
RA&EA(排気誘導)管に入った時点で室外の空気と思ってよろしいでしょう。問題はないと思いますが・・・如何でしょうか?
>恐らく「室外」→「デシカ」→「室外」の流れはないと思います。
上で申し上げているとおり、空気の流れは別にどういう経路でもよく、ようは室外(RA&EA管内を含む)の空気から室内にどれだけの全熱を、幾らの消費電力で運べるかが効率を評価するポイントで、至ってシンプルです。その効率の中身として、デシカは潜熱を運ぶ特性に長けている機器と言えます。
※・・・誤解を与えている表現が本文中にあるので緑字で加筆します。
いつも楽しくブログを拝見してます。
熱環境の考慮や窓や床下のメンテナンスや雪と水への対策など、大変勉強になります。
高性能住宅を設計されている方々の間では最近デシカについての言及がはやっているようですね。
デシカの除加湿で多くの方が誤解されている(ダイキンの説明が悪いので誤解させられている)ところがあるのでお伝えいたします。
ある人がダイキンに訪ねたところ、デシカのカタログに載っている除加湿性能の数値は、
「熱交換をしない計画換気の場合」と「デシカを使って換気と除加湿をした場合」の「差」
を除加湿の性能としているそうです。
具体的には、冬季の加湿を例に挙げると、
①デシカを使わずに熱交換をしない計画換気をすると、外気の絶対湿度の低い空気が入ってくる
はずだが、
②デシカを使うと室内の絶対湿度の高い空気の水蒸気が外に出て行かずに回収され、
③さらにデシカントによる外気の水分の一部が室内へ取り込まれます。
このときデシカの加湿の能力は②+③-①ということだそうです。
一般的な除加湿の性能評価からするとおかしいですよね。
普通は③のみの数字だと思います。
この考え方だと、除加湿をしない全熱交換器(ベンティエール等)のみを動かしていても、
②-①だけ加湿をしていることになります。
デシカのカタログには、
冬季の加湿は、定格風量(最大)が200(250)m3/hで、
室内側22度DB、50%RH、室外側0度DB、50%RHの時に、加湿の能力は1.5kg/h
と記述がありますが、この中には「室内から出て行かずに戻ってきた水分」が多く含まれています。
室外の絶対湿度は2g/m3くらいですから、外気の水分を全て室内に入れたとしても、
2g/m3 × 250m3/h = 0.5kg/hにしかなりません。
ここで定格風量は「室内」→「デシカ」→「室外」または「室外」→「デシカ」→「室内」を表していると思います。
もし「室外」→「デシカ」→「室外」の空気の流れがあれば、もっと多く除加湿することは可能ですが、
恐らく「室外」→「デシカ」→「室外」の流れはないと思います。
ダイキンの説明が一番悪いと思いますが、もう一度ダイキンに確認されてはいかがでしょうか。
大変丁寧にご回答いただきまして,ありがとうございます。
完全な素人考えですが,
デシカの場合,デシカ素子が2つあり,吸気側と排気側が切り替わるため,デシカ素子に付着した臭いの元やウィルスが,切り替わりにより室内に戻ってくるのではないかと心配になりました。
確かに我ながら考えすぎだと思います。
私はお隣の県に住んでいる者ですので,緑の家でお願いしたくても無理ですが,これからも家造りに役立つ記事を楽しみに読ませていただきたく思います。くれぐれもお体をご自愛下さいますよう・・・(デシカの記事を投稿された時間を見て,心配になりました)
お隣さん 様
コメントありがとうございます。
>湿度が維持されるということは,無垢材を室内に多用している工務店等にとっては,隙間が空いてクレームが出ることが少なくなる等のメリットがあるような気がします。
そのとおりです。ただ加湿は簡単で家の中に水分が発生するなにかをおいておけばよいだけで、心配ならデシカでなくともよいでしょう。
>しかし他方,構造上,室内で発生した臭いやウィルスが戻ってきてしまうのではないかという疑問があります。
すみません。私はウイルスの事はわかりません。
ウイルスと言っても相当数の種類があり、それぞれ違う性格でしょうから、あるウイルスに特定することから始めないといけないでしょうが、その議論をできるだけの知識はありません。
ただ私の持論は、伝染性が高く危害が大きいウイルスは指定伝染病になっていると思います(隔離されます)。それ以外のウイルスをデシカだから他の家より濃度が高くなり問題・・・とはあまり意味がないと思います。ウイルスに普通対抗できるのは換気扇のシステムではなく自身の免疫・抵抗力だと思っております。インフルエンザの免疫がある人は、隣でどんなに咳をしている患者がいてもかからないでしょうし、免疫のない人はそうはいきません。病院ならわかりますが住宅では・・・もしそれが大きな問題なら、既に全熱交換換気扇が発売されて25年以上も経ちますから、問題提起が学会でされているはずですが、その動きはありません。
言えるのは、デシカのダクト切り替えパージ式の方が透湿膜タイプより接触箇所の温度や湿度変化が大きいのでよいとは思いますが・・・。
匂い・・・については最小限度の約束(トイレと風呂換気は別換気)を行えば、問題ないでしょう。「緑の家」では数年間透湿膜タイプの全熱交換換気扇を使って居室の換気を行っていますが、何時いっても料理中以外は木の匂いの方が勝ってます(笑)。
ついでにカビのことを言えば、全く問題ないと言えます。当ブログにもありますが、家の中より森や公園のほうがカビ胞子は多いことが報告されております。
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/20_d9d1.html
常時空調機を使っている今の家(デシカでも)と、昔の家の環境に比べたら、空気中のカビ胞子は相当すくないでしょう。
>また,メンテナンスの点でも,フィルター交換の頻度,費用がどの程度なのか,と言う点も気になります。
フィルターの交換は2年に1回、数万です。通常デシカに限らず第一種型の換気扇ならこのくらいかかります。この費用は設置償却費用(80~100万)からみればわずかでしょう。
詳しくは来週ダイキンさんに会いますから聞いてみます。
元々換気扇を使う前の文化は、人の鼻の中が最初のフィルターでしたから、このメンテナンスが問題であればそこに戻る事はいつでも選択できます(私は戻りたくないですが)。
様々な情報があるネット社会で心配だと言う事は理解できます。が、責任有る立場で空調の専門家集団ダイキンが数年間かけて開発した商品を、わかる範囲で私なりに考察してみましたが、それでも多くの疑問にお答えできなくてすみません。
いつも大変参考にさせていただいています。
デシカは気になっています。湿度が維持されれば快適だと思います。
湿度が維持されるということは,無垢材を室内に多用している工務店等にとっては,隙間が空いてクレームが出ることが少なくなる等のメリットがあるような気がします。
しかし他方,構造上,室内で発生した臭いやウィルスが戻ってきてしまうのではないかという疑問があります。
また,メンテナンスの点でも,フィルター交換の頻度,費用がどの程度なのか,と言う点も気になります。
さっさとダイキンに問い合わせてしまえばよいのでしょうが,もしご存知でしたら教えてください。