建て主さんとの相談時に何時も聞かれる事があります。
(場面) 事務所であるお宅の設計図書をお見せしながら
オーブル「このように当事務所で構造図まで書いて見積もるのです」
建て主「構造図を設計者が書くのは当たり前ではないのですか?」
オーブル「いいえ、普通は外注です。木を加工する会社が書くのです」
建て主「そうなんですか。でも最後は行政が耐震性をチェックするのですね」
オーブル「行政は普通の住宅の構造チェックはしません」
建て主「えっ・・・では誰がチェックするのですか」
オーブル「基本的に法律上の設計者です」
建て主「なるほど・・・。」
オーブル「ところが・・・殆どの設計者は構造計画しませんからチェックできません。」
建て主「では、どなたの責任で構造が法律上で合致しているか確認するの」
オーブル「法律では設計です。もし不具合があれば設計者が一義的に責任を負います」
「ですので、建て前は設計者になります。」
建て主「混乱してきました。ということは・・・」
オーブル「通常設計者が責任を持つのですが、設計事務所としてもその行った行為に責任を持つので、結局はその設計事務所(工務店内にある設計部門なので工務店ということになる)が責任を持ちます。
建て主「行政が構造のチェックはしない事・・・初めて知りました。」
こんな感じです。建築物として条件の筆頭は「安全=耐震性」に尽きると思います。その耐震性のチェックを行政が一切しないと言うことを、ほぼ100%の建て主さんが知りません。逆に知りたくなので意識的に聞かないように、見ないようにしているかも知れません。このあたりが国民性なのか、暗黙の了解なのか・・・。無論、長期優良住宅なら行政がチェックします。
とにかく行政がチェックしない以上、設計者がしっかり責任を持てる事が必要です。当事務所の建物は、とてもオーソドックスな建物が多いと思われます。特に大スパンで壁が邪魔な組み込み車庫は、とても慎重に設計します。車庫に耐力壁を付けると、思った以上に車庫が大きくなり、コスト的に不都合になります。だからといって耐震性の無い組み込み車庫は絶対提案しません。無理な構造計画をさけ、構造の全面的に責任を取る=構造図を外注しない事に表われているのでしょう。
高低差を活かして組み込み車庫を設けた「緑の家」。構造的には車庫と母屋は分離したエキスパンジョイントの建物
因みに構造図を外注する場合は、契約時に建て主さんにお渡しする重要事項説明書に構造の外注と明記し説明しなければならない法律になっております。この説明を・・・受けた事がありますか?