取り払われることなくそのまま使われる決定がされた古い床。こんな古い床が残っていること自体凄い事。巾は30cmもある。
この色、艶・・・やばいです(やばいシリーズはこれで終わりにします)。
これは「て・こあ」の占いの間の床です。多分・・・50年以上経った杉松の床板だと思います。何も塗ってありません。ただ使い込まれた事と、汚れ(煤等)が重なって出来た自然な色なのです。この風情はまず無理です。
工事途中の占いの間を見る。雰囲気ぷんぷんのまさしく占いの間。
現在「て・こあ」では「占の間」の改修工事中です。写真の左端にある柱は築100年ほどの杉の木で、その隣に新たにトーメイの扉を設けました。その戸枠は柱の存在感に負けないようにチョコレートケーキのような2色の模様が入った杉で一番安価な白赤素材です。オーナーはシュタイナー建築に共感しているところが大きいので、真っ直ぐな木は使わない事が希望ですが、そんなことになったら手間コストがべらぼうに掛かりますから、直線で納得して頂くところは直線で構成します。取っ手だけは天然流木でオーナーの家族が数年間に海岸で拾った「魔女の杖」です。
そう言えば小さい頃流木拾いに夢中になった記憶ありませんか?この木は魔女が使う杖みたいな頭形状。
本当は扉の桟も丸みの木を使いたいとのことでしたが、そこは勘弁して頂きました。でもこうやって見ると、扉も枠も直線でないほうがもっと良くなる事は大変理解できます。
さて、やばい色の床ですが・・・
この床材の松の木目・・・色もやばいが目もやばいし、穴がもっとやばい(笑)
このような穴が空いており、当初そこから床下の土が見えておりました(実際は床下が暗いので見えないが)。多くの人が古い建物が嫌いな最大の理由がこの穴から「冷たい風」と「虫」が入って来ることを直感で感じるので、古い材の床がよいとは思えないのです。しかしその床からの冷気が無くなり、冷たくなかったらどうですか?とてもよいと思うでしょう。
そこでこの占いの間はこの床材をこのまま活かすため、床下から軽く断熱気密処理をしました。だから穴から見えるのは、青い断熱材のスタイロフォームなのです。
こちらは普通巾のヒノキの縁甲板 35年くらい前か?杉と違い少し黄色みが強くなる。所謂べっ甲になってゆく。
歴史そのものの木。この色が杉の古色・・・受け継がれる杉建物文化。
18cm角の太い柱はこの「て・こあ」でも一番古い材料で、この建て物の年数と同じ経過(築100年)だと思います。もうこれ以上ない杉の最終的な色(室内の色で、屋外はもっと茶色やグレーになる)で、この色を見ると、新しい木の色は未熟者という感じになります。・・・この色がやばいのです。
炭箱、置き板から柱まで全て杉材の日本(新潟)の建物。
囲炉裏の置き台も、古い杉材を切ってわざわざ造りました。この杉の古色が何ともいえません。ヒノキではこの色にならないから、木って不思議です。