提言⑨ 超高断熱の家にはドレーキップ窓が基本

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2014年7月23日緑字加筆修正

オーブルデザインの「緑の家」では今まで⑧つ提言をしてきました。これで⑨個目の提言です。

「超高断熱の家にはドレーキップ窓が基本」

2階の全ての窓がドレーキップ

こちらは3年前に計画されているある「緑の家」の2階のプランです。

青く囲ってあるところが窓部分ですが、この窓全て「ドレーキップ」という形式の窓で、巷に多い引き違い窓ではありません。

実は、「緑の家」では超高断熱住宅を始めた5~6年前から引き違いサッシを出来る限り少なくしております。

有名な北欧の家、スエーデンハウスさんも北欧の回転窓を使っているので、引き違いは殆ど無いと思いますが、国内の殆ど家が引き違いサッシをメインに考えているでしょう。どうしてその違いがでるのでしょうか?

無論、「緑の家」も引き違いでなくドレーキップ窓を薦めております。

その理由は・・・

9年経たある大手メーカーの樹脂とアルミの複合サッシの召し合わせ下部分。

この写真でわかります。赤い矢印の先に何が見えますか?

・・・光です。

と言うことは外とつながっていると言う事です。

つまり、ここから隙間風が入って来るということです。

この写真は、築9年くらいの「緑の家」のオーナーさんから連絡があり、

「ここ数年前から家中の窓から隙間風が入ってくる。見て頂けないか?」

という連絡があり、伺った時に撮影した写真です。

見ると気密の要・・・サッシパッキンの弾力性が何となく新築時のような感じではないことに気づきました。これは想定していたことです。しかし15年くらいは持つと思われていたパッキンが7年目から当初の性能から著しく劣るとは・・・この年数は短すぎると思います。

後日サッシ屋さんに見てもらうと、パッキンより調整が狂った為ではないかとの調査結果です。これについて調整して様子を見ることになりました。

超高断熱の家を希望される方は、その気密性がとーっても重要な事は、重々承知でしょう。その気密性を表すC値(隙間相当面積)は「緑の家」で0.1~0.5cm2/m2くらいです。しかしこの上のようなサッシが家中になったら多分1.0cm2/m2くらいに下がり、ともするともっと悪くなるかもしれません。

「そんなのパッキンを交換すれば良いだけの事」

と言われるかた・・・

そのパッキンを交換するためには、サッシから戸だけ外し更に縦枠と横枠を外しバラバラにしないと、戸についているパッキンの交換は無理なのです(シャノン製オール樹脂サッシは除く)。

つまり家中のパッキンを交換するには、2人職人さんがきても2から3日かかるでしょう。その間、家のサッシはない所があるかもしれません。更に金額も数十万は下らないと思います。見積もりが来ました。一箇所あたり約1万で、20箇所有れば20万です。だから普通は我慢するしかないことになります。30年もつと思われた家の性能のうち、気密性能は、10年目からおかしくなり、後20年隙間を我慢するか10~15年ごとにパッキンを交換するか・・・?運が良ければパッキンの劣化が少ないかも知れませんが・・・。今のところまだ10年でおかしくなるとは言い切れませんが、メーカーさん曰く、10年は大丈夫とのこと・・・だから20年くらいのジ寿命だろうとの見解は同じです。

さて本題です。

どうしてドレーキップ窓を薦めるのか?このドレーキップ窓にしても使用しているパッキンは引き違いサッシと材質は同じですから劣化は変わりなく起こります。しかし劣化の起こった弾力性の衰えたパッキンでも、ドレーキップ窓は、押してけて閉め付けるので多少の劣化では気密性が落ちません。ところが引き違い窓は、押しつけるパッキンではなく、その弾力性のみで気密を保持するのでどうしても弾力性によって気密性が変ってしまうのです。

だから・・・私どもが薦める「緑の家」は・・・ドレーキップ窓を薦め、どうしても引き違いが良さそうなところだけ引き違い窓を使います。また年2回ある簾を設置時にドレーキップ窓は網戸を外す手間があるので、そういった事を面倒だと思う方にも引き違いにします。

さて・・・ドレーキップ窓は内側に開く窓なので簾をかけても開けて通風も可能です。ところが開き窓(外に開く窓)は簾をかけると通常通風がし難くなるわけです(簾を50cmくらいまどから離すことが出来れば大丈夫だが、現実的では無い)。

また当社「緑の家」が使用している樹脂サッシは「エクセルシャノン製」でこちらの樹脂サッシの引き違いは、このパッキンが交換する事が前提で造られているので、引き違い窓であってもパッキン交換は至って簡単ですが、大手メーカーの枠の細い樹脂サッシの中には、このパッキンの交換が事実上考えられていないものになっているとの事です。

同じ樹脂サッシでも、このように設計思想がちがう事に気がついてシャノンさんを指定していたり、ドレーキップ窓を標準にしているのです。こういったことに・・・気を使うこと・・・超高断熱の家では大事な事です。

新潟県内でも超高断熱を造る建設会社さんも多くなりましたが、この事・・・わかっているのでしょうか?新発売という営業話法と価格におされ、パッキンの交換しにくい樹脂サッシなど安易に選ばない・・・これが「緑の家」のメンテナンスをまじめに考える住む人の立場に立った姿勢です。またその説明をする事も設計者の重要な仕事だと考えます。

これらは、高基礎、取り外しの可能な窓、空調によるカビ防止、パッキンの交換が楽に可能・・・全てに通じている事なのです。

気密性が失われた風上の窓は樹脂サッシと言えども結露が起こる。これは枠下が局所的に冷やされるため。

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コメント

  1. オーブルデザインの浅間 より:

    poruko様
    コメントありがとうございます。
    >恐れていたことが現実になってきてしまいましたね。いつかは気密性が落ちることは覚悟していましたが。
    私がこの想像を10年前に出来ずに申し訳ありません。
    当時は木の変形や地震による揺れが原因の気密層の破壊を主に考えておりました(今でもそう思っている建設会社さんは多い)。まさかサッシがこんなに早くダメになるとは・・・
    また当時サッシは年月が経ったらパッキンなどを取り替えると安易に考えておりました。まさかパッキン取り替えが障子の分解が必要なほど手間がかかると思いませんでした。
    >解決する方法として、開き直ってこの隙間を外気導入ルートとして積極的に使う。(既存の吸気穴はふさいでしまう。)というのはどうでしょう。
    おっしゃるとおりです。実は拙宅は10年くらい前(築15年くらい)から第三種換気における給気口を全て閉じてしまいました。これはサッシの気密性が落ちてきたた為、給気口がなくても換気は良好とCO2濃度計でわかったからです。
    >結露のひどいサッシ枠にサッシ用断熱スポンジシール(ホームセンターで売っている)をはる。さらにその上からスポンジ丸見えはかっこ悪いので、ひの木の薄い板を張ると効果がてきめんです。
    良い方法だと思います。
    結露が始まるサッシは、新潟の海岸沿いであれば北南がわの負圧になるところです。この部分の対処が必要です。
    poruko様と同じように皆さんが対処してくださるとありがたいです。
    >あと内窓を付けるというのはどうでしょう。旧タイプの緑の家
    は窓の開口部の厚さがあるのでそこに付けられるのうなきがします。
    おっしゃるとおり昨年から10年以上経た「緑の家」で内付けサッシをもうけるリフォームがありました。
    開口部は最も耐久性、性能が変るパーツで、大事な部分です。

  2. poruko より:

    浅間様 お体の具合はもう大丈夫ですか?  
      恐れていたことが現実になってきてしまいましたね。いつかは気密性が落ちることは覚悟していましたが。
     解決する方法として、開き直ってこの隙間を外気導入ルートとして積極的に使う。(既存の吸気穴はふさいでしまう。)というのはどうでしょう。
     結露対策として、以下の方法はいかがでしょうか。私が行っている方法は、結露のひどいサッシ枠にサッシ用断熱スポンジシール(ホームセンターで売っている)をはる。さらにその上からスポンジ丸見えはかっこ悪いので、ひの木の薄い板を張ると効果がてきめんです。(我が家はこのサッシと同じタイプで同じ建てつけです)今年は窓枠の結露を拭く回数が減りました。我が家の場合は窓ガラスにポリカーボネイトボードを内から張ることで断熱性能を上げたため、逆にサッシの枠に結露が増えてしまいこのような改造をしました。
     あと内窓を付けるというのはどうでしょう。旧タイプの緑の家
    は窓の開口部の厚さがあるのでそこに付けられるのうなきがします。ただし内窓も気密を確保しないと外側のまどで結露が発生してしまいそうですが。