重要文化財 渡邉邸の辛口評論

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床柱の不自然な色の出方

先日ご紹介した関川村にある国の重要文化財「渡邉邸」の前2階の床の間です。

この写真をみて・・・あれっと思った人は同業者です。

シュウメイギクの生け花・・・野の花の季節感

こちらは1階西側庭に面した「お納戸」と書かれている部屋ですが、主人の間だとおもいます・・・その床の間・・・

こちらも同じ?が付きます。

さて・・・私が覚えた違和感・・・わかりますか?

実は柱、長押全てに塗装がされているのです(同じ木の色はあり得ない)。

1階の大広間(土間・茶の間)の柱はケヤキや雑木などで、こちらには漆の塗装がされていたはずですが、2階や針葉樹を使った柱、長押は無塗装であったはずです。しかし、修繕をおえた(その前からかも)渡邉邸の木はほぼ全てこのような茶色の塗装が施されております。なぜ・・・

その答えは上の写真ならその柱の根元に少し跡を見ることができます。色違うでしょう。どうもカビのような汚れ方です。

塗装の剥がれたところだけ色が薄い。

塗装の剥がれたところだけ色が薄い。

上の写真は普通の柱部分上部です。面皮付きの柱にきっちり納まっている鴨居材・・・・手間の掛かった綺麗な納まりです。ただ見てわかるように塗装がされております。

こちらは廊下の窓部分で一番カビが生えやすい部分。アップで見るとカビの痕跡が若いrます。

脂とカビと塗装が混じり合った事になっておりますね。

私がこの渡邉邸に入って最初に感じたのは、

カビ臭が殆どなくなっていたこと事です。古い家にはいると必ず同じような匂いがします、それがカビ臭で、改修中はその匂いも感じられたのに今はしない。

なるほど・・・木という木全てに塗装がされたようです。ですのでカビ臭が押さえられており、無臭の古民家になっておりました。少し残念です。

カビ臭が良いとは言いませんが、だんだん形だけのハリボテになっていくのは残念です。特に冒頭の写真のとこ柱は、丸太の下部分を削いで年輪が見えるようにした(筍杢目)細工ですが、塗装したから年輪部分だけが吸い込みが大きいので濃い色になって強調されております。普通はこのように見えません。茶色も嘘の色です。

この写真は14年前の「緑の家」の床の間で使った杉の丸太筍杢出し。皮部分に比べ脂が少ないため本来時間経過の茶色は薄くなるはず。

この写真は「て・こあ」の無塗装の杉柱。ほぼ100年経過。 ムラなく茶色。この色が杉の経過色。

「て・こあ」にも100年経った杉の150角柱が有りますが、こんな感じです。色の出方が違いますし、艶も少し抑え気味(触れない部分だから)です。自然に染まった茶色は少し奥までその色になっており、多少の傷では白っぽく見える部分がありません。

古い建物は何の為に残すのか?

その主旨をはっきりさせて例えば、

1 家の大きさ・規模からその豪商の力を後生に伝えて行きたいのか

2 古い家の作り方、職人のワザ・センスを後生に残したいのか

3 観光地の目玉として残したいのか

様々ありますが、この渡邉邸は3が強いと思います。それは文科省の補助金の条件民意(関川村の保存会)なので残念で受け入れますが、作られた当時のカビ臭や素材使いかた自体も残してほしかったと思っております。

観光地の証となる耐震補強。金銭的にもやむえない事。

以前のブログで申し上げたとおり、耐震性低い建物はその旨公開し、それを承知で観覧して頂く方法もあります。お寺や仏閣などはそのような類でしょう。

私は行くたびに発見があり楽しくて仕方がありません。今回は時間が大変短かったので再び訪れたいと思います。

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