床下エアコン暖房の事・・・その2 床下暖房は省エネではない!東大学位論文から

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まずこの博士論文をご紹介します。

その1でご紹介した2014年のブログの記事の査読論文。この論文で博士の学位を取得された井口博士の論文の全文です。

http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/bitstream/2261/59574/1/B17956.pdf

今でこそ受け入れられるし読み応えがあるでしょう。これで2014年の論文ですから研究は少なくとも4年前の2010年から行われていたと思われます。もう6年経ってからのようやく一般的に知られるようになりました。

私は過去何度となくなぜ床下暖房を「緑の家」の標準としたかを説明してきました。

その理由は3つあり(全て2009年に公開)

  1. 床下の灰汁問題が解決された(と評価している)。過去リンク先↓
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoie/heating#kaiketu
  2. 建物の性能は下がらないが人の性能は下がる。過去リンク先↓
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoie/heating#hitonokaradahaotoroeru
  3. 高基礎は床下から逃げる熱が多い。過去リンク先↓
    https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoie/heating#nigerunetu

です。

今回その1で取り上げた基礎から逃げる熱を考慮とはまさにその事・・・。

床下暖房は「省エネ」では無く快適性への追求と同時に1.5mの高基礎の欠点を補う事で採用された手法なので、決して省エネではありませんし、基礎の断熱強化をして初めて断熱性能が低い、背の低い基礎同じですから自慢はしません。

また「省エネ」は「我慢」が連想される日本文化なので「緑の家」では積極的に使っておりません。

紹介した論文は現在の床下エアコン暖房の基礎的な知見を得るに大変すばらしく、実務レベルでも理解可能で賞賛に値すると思われます。
があえて「展望と課題」だけを取り上げると・・・

b17956-1

井口雅登博士の学位論文から抜粋 P202、P203 緑字は僭越ながら私が書いたもの。

Aの床下の埃とメンテナンスでは
ゴミの流入を防げば大丈夫・・・とはなっていますが、密閉された容器でも無い限り壁内に虫だって入るし、チリだってコンセントボックスから流入します。フィルターも万全とは言えませんし・・・。だからこそこの話題には深入りしないでサラッと流しているのではないでしょうか。ですが設備の善し悪しの本質はここにあります。

Bの全熱換気扇が標準とのこと・・・
これには賛同しますが、その理由はAの埃が溜まって、素材の防かび性が衰えたときにカビを生やさないようにRH(相対湿度)のコントロールがしやすいためで有って、決して省エネではないと私は思います。これは以前からお伝えしておりますね。
またお風呂やトイレの換気負荷増量は

お風呂はCFで・・・

トイレは個別都度換気で・・・

とこの論文の発表時点で解決しており、あとはキッチンを残すだけとなりました。さて・・・このキッチン換気が今後の課題です。日之出町の家で使った循環ファン型キッチンフード(富士工業製)では水蒸気が問題となるので今だ解決策がないと思われます。

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