名古屋は晴れ スラブ下断熱材は?

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2016年12月29日22時30分加筆

今日も新幹線から投稿します。下の写真のように名古屋は晴れですね。

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八事・・・という文字が「ヤゴト」だと当初は読めなくて如何に狭い世の中で生きているのか実感させられました。

名古屋市では有名なところなのですね。

さて・・・

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名古屋と言えば、赤味噌煮込みうどん。

その有名なお店に案内して頂きました。これで2回目ですがとても美味しかったです。

うどんに芯があるというか、うどんは各地で様々な舌触りや歯ごたえがあります。私の妻が岐阜県出身なのでこのみそ文化と味は20代の頃からだいすきです。

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上越新幹線のホームでこんなに
上越新幹線は通常混まないのでキーボード操作するが今はタブレットモード。

もう東京駅です。

今日は12月29日と仕事で帰るには少々つらい日。

私は東京などの大都市には住めない人と改めて思いました。

この人の多さ・・・。自分勝手な振る舞いが目に付き・・・この多種多様?の大混雑が肌に合わないので新潟に戻ったという経緯があります。

また今回も名古屋の地下連絡通路とホーム乗り換えで迷ったくらい大都市は苦手。やっぱり案内板が少なすぎる・・・。ホント スマホがあって助かります。

ところで・・・仕事で名古屋に来たわけですが、

今回の仕事は住宅の空調設計と主に基礎構造及び温熱環境のアドバイザーです。遠いところからお声がけいただきありがとうございます。

さて・・・

最近熱い議論がありました。

それは基礎スラブ下に断熱材を敷くか敷かないか・・・です。

この話はこのブログでも何回か出てきました。

私の持論を先に申し上げると、

スラブ下に水路(みずみち)があったり、地盤面水位が高い場合を除いてスラブ下に断熱材は積極的には敷かないとの結論です。

これはいつも申し上げている通り、

建物設計には優先順位があり、

  1. 構造の安全
  2. 耐久性
  3. 意匠デザインと温熱環境

となるからです。この優先順位にはほとんどの方の同意が得られるでしょう。意匠と構造は一体との考えも理解できますが一般住宅ではこの順位で同意が得られると思います。

スラブ下の「地盤面=土」は、べた基礎にとって大事な構造部材です。だからこそ地盤の不具合で家が傾いたとき、その設計に瑕疵があれば現法では設計(と施工者)の責任になります。地盤面=土も構造であることを忘れてはならないのです。ここもほとんどの同意が得られるので問題はないでしょう。

土や砂利が経年変化がないことはだれでも共通の認識です。これも同意が得られると思います。

では人が作った断熱材はどうでしょうか。それも石油で作られた樹脂製の断熱材は、それが20年も地面に埋まっていても平気であると私は思えないのです。この断熱材の事から同意できないと・・・考えが分かれます。

つまり同意できない考えとは、取り換えができないスラブ下の断熱材が土かコンクリートと同じように劣化が起きないから問題ないとの意見です。そしてこのように伺うと(具体的に何年?)コンクリートと同じ耐久性はないが、そこそこの期間は大丈夫と主張するのです。

ですのでここからが議論になりません。何故か?それは

そこそこって一体でどの期間と聞いたりすると(今回は聞いていない)、

30年は平気じゃないか?

いや40年は平気だよな。

と曖昧な事が多いのです。

これって

「分からない」
ってことではないないでしょうか。

日本において今の問題は、

「わからないって」専門や技術者が言えなくなってしまったことではないでしょうか。

技術的にわからないことをわからないって言えないから議論になりません。

私が推測する「長期間平気でない」一番の理由は「わからない」からです。その最もたることが生物劣化です。簡単に言うとシロアリや黒あり、モグラや微生物、また、最近分かった木の根っこによるシロアリの誘導です。これらが目に見える地上部だったり、基礎の立ち上がりであればよいと思いますが、構造であるスラブの下・・・ここは何度も申し上げますが「構造体」そのものです。どうひいき目で見ても、コンクリートや土、石のような安定した構造物とは今現在の情報では思えません。

仮に厚さ60㎜の断熱材であったとしても、

その断熱材が2m×2mが失くなったら構造計算した時との応力分布、荷重が変わり、配筋不足でもしかしたらスラブや地中梁にヒビが入るかもしれませんね。ヒビが入れば壊れるのに時間はそうかかりません。

これは基礎の構造計算を行ったことがある方ならわかるはずです。特に地中梁は配筋がギリギリで設計されること多いですね。

私は技術者として地中内の断熱材の生物劣化は今のところまだ分からないところが多いのでそのリスクは避けたいのです。

そのため仮に、仮にですが年間暖房費が1万円高くなっても・・・。です。

スラブ下に断熱材がない「緑の家」のスラブ表面温度はこちらのブログで紹介したとおりエアコンが止まってから7時間以上経つのに既に27度を超えます。これは紛れも無い事実です。ですのでスラブ下に断熱材が無くとも地中に逃げる熱が微少なため起こる事であり、事実なのですね。(もう何回かスラブ中央から逃げる熱については測定済み)

こちらは半年間スラブ下の土の温度測定実測↓
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2013/08/18/post-0-797/

無論条件によってはスラブ下に断熱材を敷いた「緑の家」も数件あります。

・・・

ここまで申し上げると必ず、

「欧州では普通につかわれている」

と言われます。

そうですね。確かに欧州では使われているかもしれませんが日本(本州)ではまだ実績が僅かですし、気候も文化も自然災害も全く違うでしょう。地盤改良が多くおこわれる土地柄だったりやイエシロアリが欧州にはいるのでしょうか?北米でもカリフォルニア以南で義務化されているホウ酸処理が多くの欧州では気候が寒いから行われないのが普通でしょう。

また竹という日本で古来よりなじみの多い種族が、気候が違うので欧州では全く育っていないでしょう。竹は亜熱帯の植物=日本も亜熱帯の気候を持つのです。つまり生物も分布が違います。

とここまで書き込んで高崎を過ぎトンネルで電波が遮断されましたから、この続きはまた後で・・・。

で、この熱い議論後に断熱材をスラブ下に入れることで合意になりました。これはこれで良いのです。

つまりしっかりと議論してリスクを認識してメリットデメリットを比較して採用することになれば、それで専門家の説明責任が終わります。この過程がとても重要なのです。

私の熱い語りに穏やかで冷静に受け答えしていただいた皆様に心からお礼申し上げます。

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コメント

  1. ひで より:

    基礎下に断熱材を敷くか、敷かないか・・・について、水路や地盤面水位が高いとはどのような条件なのでしょうか。(雨の後の水のはけが悪い?井戸があるが井戸水面がGL-2000とか)
    後、床下エアコンを営業されている方から、基礎内断熱でスラブ前面に断熱材を敷いた方が効きがよいといわれていました。基礎温度(例えば17度)が断熱材表面温度より低いからこのようなことを言われたのだと思うのですが、コンクリートの蓄熱性が奪われるスラブ上、前面断熱は有効なのでしょうか。
    お忙しいと思いますが、お手数ですが、ご教示の程よろしくお願いいたします。

    • Asama より:

      ひで様

      >基礎下に断熱材を敷くか、敷かないか・・・について、水路や地盤面水位が高いとはどのような条件なのでしょうか。(雨の後の水のはけが悪い?井戸があるが井戸水面がGL-2000とか)

      おっしゃるとおりの事で、更に言えば建築条件(地域含)のトータル的判断です。
      何度も申しますがあの柔らかい断熱材を長期間構造材と見なす(コンクリート同じ)事はとても勇気が要ります。

      >基礎内断熱でスラブ前面に断熱材を敷いた方が効きがよいといわれていました。

      「効きがいい」とは・・・電気代が少ないとの事ならそのとおりです。そうではなく、温度ムラが少ないとの話なら「違う」でしょう。温度ムラのあり無しは過去の実測で確認済みです。

      >基礎温度(例えば17度)が断熱材表面温度より低いからこのようなことを言われたのだと思うのですが、コンクリートの蓄熱性が奪われるスラブ上、前面断熱は有効なのでしょうか。

      電気代を少しでも安価にしたいと考えるなら有効です。

      ではなぜ「緑の家」が行わないか?

      単純で、
      床下空間は収納でも使いますし、メンテナンスで人が行き来するので、コンクリートのままの方が余計なコストがからなくてよいからです。

      最近床下暖房で多くの人が断熱材を敷きたがりますが、断熱材がスラブの上なら人が踏みつけたり、隙間があればゴミが入ったりで、物事を一面方向からしか考えていない事が多いように感じます。床下暖房にかかる費用は断熱材があっても年間の差が1万を超えることはないでしょう。30年で30万、これは断熱材の敷設代とほぼ同じです。気持ち的に毎月払う電気代を先払いしたいなら、敷く事も理解は出来ます。スラブ上に全面断熱材を敷き、更に土間コンで表面を固めた時の初期コストで電気代を回収する事は、新潟以南では不可能でとても理解に苦しみます。