住宅業界の巨人と言えば世界でも類をみない2兆円弱の売り上げがある「大和ハウス工業」さんですが、このほど日経アーキテクチャアによると・・・
「鉄骨住宅を扱う全国81の営業所で、今後、木造の注文住宅を扱えるようにする。今までプレハブ住宅の施工を担ってきた事業者の間で、大変な混乱が生じることも覚悟している。だが、鉄骨造に加え木造への対応を可能にすることで、今まで取りこぼしてきた顧客を取りに行く」。大和ハウス工業の執行役員で木造住宅事業部長の林直樹氏は、こう決意を語った。
とのことです。
今までは鉄骨の良さを最大限アピールして営業活動していたことは有名で、その大和ハウス工業さんが、所謂「超高断熱住宅」分野に本格算入するとあり、これは私共の含めローカルなホームビルダーさんにとっては大変驚異です。
特に特注木製断熱大型サッシ(トリプルガラス)を入れた仕様ののUa値0.35w/程度との事。
さてここで・・・
この世界一大きなハウスメーカーさんのフラッグシップの木造住宅商品は、
基礎断熱を採用。
床断熱でなく基礎断熱、
しかも・・・立ち上がりとスラブの一体打ち込み・・・。
今着工しようとしている上山の家の基礎断熱と同じ施工位置に断熱材があり、まさしく今後の住宅の標準となるであろう断熱施工方法です。
これには少々びっくり。どこにでもあるやり方の一つだけれど、多くの中からこのやり方を選んだ事に驚きます。
流石に基礎立ち上がりは高くないので地中に少し入る今までのべた基礎形態だけれども、殆どフラットスラブに近い印象も受けます。
また・・・基礎だけでなく、壁の構成も「緑の家」と同じ考え方。
GWの充填断熱105mm+外貼り板状付加断熱材(押し出しポリスチレンF)90mm+通気工法・・・
「緑の家」の断熱構成と基礎も壁も同じ・・・。
多分、合理的、論理的に考えるとこのような構成になるのでしょうね。
詳しくは有料のネット情報媒体しかないようですが、一般発表しているので探せば見つかると思います。
で、ここから「緑の家」の宣伝です。
「緑の家」はべた基礎を標準とした12年前(2005年)から一体打ち込みを行っております。
もし今後大手ハウスメーカーさんが一体打ち込みが標準ならなぜ今までしてこなかったのでしょう。また超高断熱の証、外貼り付加断熱も10年前からアナウンスし始め、最初の建ったのが既に8年前の鳥屋野の家。
この未来を見据え先行した眼力が「緑の家」の特徴で、何しろ断熱仕様が10年間もかえる必要が無く、且つ高基礎などの基本的仕様は事務所設立以来20年変わっていない・・・これが大自慢の「緑の家」です。家って・・・10年で破棄する物でなく、30年くらいは使いたいですよね。なら20年先の標準仕様が、建て主さんにとって一番価値ある今の仕様だと私は思います。
無論それなりに安価で!
そのうち「緑の家」と言えば高基礎と庇(簾止めも)も大手ハウスメーカーさんがそのうち始めるかも?
コメント
浅間さま
ご無沙汰です。
過去記事のシリーズもの
“保護中: 驚き!スラブ中央部から逃げる熱を熱流計で実測。その1~その5”
非常に読み応えがありました。
保護中: 驚き!スラブ中央部から逃げる熱を熱流計で実測。その4 まとめ
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2017/01/28/post-10171/
上記ブログ記事に今回と同じ基礎図面が、浅間さんの対策として掲載されました。
“その1”を読んだ時から私なりに脳内住宅の対策を考えましたが、
ほぼほぼ同じで、一人にんまりとしました。
ただ何か引っかかるものがあり、悶々としていいました。
今回の記事掲載で改めて同じ基礎図面を眺めていたところ
漸くその引っかかりの原因が判明しました。
オーブルHPのAグレード基礎の詳細より抜粋
https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoiespec/select/sskiso
『 Aグレードの基礎は、右の図のように、
シロアリの進入となる外部立ち上りを一部露出させ、
発見を容易にしております。しかし外部を露出させると今度は、
アンカーボルトや土台下部が集中的に冷える(熱橋)事で
結露の危険性が高まります。そこで熱橋をなくすため、
図のように断熱材を競基礎より少し下げて
施工する計画となっております。』
これを踏まえて、今回と過去記事に掲載された基礎図面は、
スラブからの外断熱が上に延び、土台下部に露出部分があります。
アンカーボルトや土台下部の結露対策から始まった筈の、
土台から下の基礎付加断熱部分がありません。
釈迦に説法の様で恐縮ですが、
過去ログのリンクを貼り付けます。
超高断熱の家 西裏館の家の工夫① 設計の工夫
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-27b1.html
新潟のQ1 超断熱の家 その基礎断熱
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/q1-41c4.html
高気密高断熱住宅の欠点④ 基礎内断熱とシロアリ 新潟の家から
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-f349.html
指摘が間違っていた場合は、ご容赦くださいませ。
MOTO様
コメントありがとうございます。
まず、基礎断熱の方法は10年前からAグレードとBグレードの2つです。これは今も変わっておりません。一方他県の設計が増えてきたので、新潟県より寒い地域用に今回の両側断熱を提案しております。ただブログにも記載あるとおりこれはまだ標準ではありません。基礎仕上げやコスト、またメンテナンスし易さ、また感覚的問題から地域、地域によって換えるべきだと思っております。ただ目指すべき所は両面断熱基礎になる可能性が高く、まだコスト、感覚的解消が出来ていない今、「緑の家」の標準(新潟県)採用はまだ行いません。
次に、アンカーボルトの外部から受ける熱橋も、無断熱の外部に接している面積の大きさでかわります。よって一概にどちらが優れているかとの検証は、実測や実験をしないとわからないと思われます。つまりAと両面断熱ではそう変わらない条件と考えております。特にAグレード(以前のSSプラン)の初期は壁内充填断熱はオプションだったので特に外部の断熱が重要でしたが、今は壁充填断熱も標準ですからその心配も少なくなります。
土台下部熱橋はどの施工方法でも内側基礎に断熱材が密着してあれば問題はありません。一度起きた土台下結露は、Sプラン(外貼り断熱のみのころ)であり、Sプランが無くなってか11年間特に問題のあった事はありません。
全てを満たした施工方法はなく、コストと性能、環境の中でより良い設計をするだけで、それが違う基礎構成になっているとお考え下さい。
http://www.daiwahouse.com/about/release/house/20170412092413.html
↑ニュースリリースのURLです。
暖房の部分は↓です。床下エアコンで暖めたほうが効率的と思いますが・・・・。
(4)室温間温度差を軽減「快適涼暖システム」
本プロジェクトでは、基礎の外側と内側に発泡系の断熱材を配置し、継ぎ目のない一体構造の「基礎ダブル断熱」を新たに開発しました。これにより、年間を通じて床下空間の温熱環境が安定しているため、この温熱を利用した新空調補助システム「快適涼暖システム」を提案します。
この空調システムは、冬はエアコンの室外機から出る熱を集めて温水に変換し、その温水から暖かい熱をつくり、床下に設置した「床下放熱器」で床下を暖めます。また、床下の暖められた熱は部屋をじんわりと暖め、「床下循環ファン」により他の部屋へ送り、1階全体の空間温度差を小さくします。そうすることにより、体のストレスの軽減につながります。
情報ありがとうございます。
>この空調システムは、冬はエアコンの室外機から出る熱を集めて温水に変換し、
うーーん。やはりこの文は間違っているでしょうね。
冬にエアコンの室外機からは冷風しかでません。最大手の大和ハウスさんのHPでも意味不明な商品説明があるなんて・・・少しびっくりです。
hachikoku様
コメントありがとうございます。
>エアコン室外機の廃熱で温水を作り床下を循環させて暖房すると書いてありました、
住宅の暖房時に冷房する場所は・・・多分冷蔵庫しかないので、室外機の「廃熱」ということは冷蔵庫の室外機でしょうか。なんとなく想像できませんが間違いなかったでしょうか。
>富裕層へのテストマーケッティング後に普及版を発表するのかも・・・
なるほどそうなのですね。
今や日本も大きく2分化されそうな勢いですから、富裕層が全体の建て主の10%でもその家掛けるコストは3倍以上でしょうから、単純に30%の市場になるのでしょう。
情報をありがとうございます。
当該社のWebページでニュースリリースを見ましたが、エアコン室外機の廃熱で温水を作り床下を循環させて暖房すると書いてありました、それで基礎断熱なのでしょうけど詳細ははよくわかりませんでした。芦屋高級住宅地のケーススタディハウスの参考価格が書いてありましたが、木造注文住宅=超高級 で売り出したいらしく目が飛び出るような価格でした。富裕層へのテストマーケッティング後に普及版を発表するのかもと想像しました。