絶対!高断熱より耐震性が優先
構造計算ソフトから考える設計者の法的な責任

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今の構造ソフトは3Dの骨組み図が簡単にできる。一般受けはするがたいした意味はない。ただ高さが複雑な構造ほど目視できるのでミスが少なくなる。

先々月から本格的に使用している新たな構造ソフトですが、本当にこのソフトが一般の建築士が扱えるのか・・・?

確かに1日かけて全てを入力すれば僅か数秒で計算してくれる優れものです。

しかし・・・

現在実施設計中の「緑の家」ではこのソフトを何度修正、手直ししたか・・・

多分20回ほどは何らかの大規模手直しを、詳細手直しでは50回を超えると思われます。

だからこそもう手計算では出来ない領域に住宅の構造計算は変わりました。

構造ほどシミュレーションが大事で何度も入力しながら最適な構造を探るのです。

さて・・・

ソフトがあれば構造計算なんて簡単!・・・と宣言する普通の工務店さんの設計者(建築士)が実際できるかと言えば・・・

・・・なかなか難しいでしょう。

自社で20年ほど木造の構造計算をする私でさえも、あれっ?間違えた?と思われる入力値だったり、実際は実現困難な仕様を入力してもOKと計算してくれるのですから、その疑問が湧いてもふしぎではありません。

従来使っていたソフトは、ある程度構造計算の流れを知らないと入力できなかったので、この点(凡ミス)は有利でした。

今の構造計算ソフトは、間違いに多分気がつかないことが多いと思われます。特に基礎廻りや構造耐力壁の仕様と現実の違いです。

きっと多くの現場では、構造計算で算出した基礎配筋や耐力壁強さ(釘の仕様と打ち本数など)が、実際の現場では行われていないのではないでしょうか。

いくら長期優良住宅を取得しようが、性能表示制度を利用しようが、現場の施工実態と図面(計算書)との整合性を確認及び責任を負うのは法律上の「工事監理者」しかおりません。これは事実です。行政や民間の第三者監理ではまず不可能ですし、実際にそんなA2で60枚以上の設計図書を片手にチェックする行為なんて行われていません。

先日ですが、今施工中の「新町の家」において工事監理に伺ってきました。

たかだか図面の一部である構造耐力壁だけを概ね2時間かけて、設計図書と施工が一致しているか検査します。

2時間?と思われるでしょうが、実際に設計実務を行ったスタッフMでさえ2時間かかりますから、その家の設計を行っていない人が工事監理すると、ほぼ半日掛かるのではないかと思われます。これを工務店さんの法的における工事監理者さんが行ってくれるのでしょうか。設計事務所の仕事と工務店さんの仕事はその質、認識が全く違います。設計事務所では設計と工事監理の責任が最低20年あるとの認識です。しかし建設会社・工務店さんは設計や工事監理に重く考えておりませんので設計と監理がずさんになりがちです。それを知るのにはこの事件が一番ですね。

工務店・建設メインの会社さんに勤務する設計者さんはあまり認識しておりませんが、その工務店を辞めても法律上の工事監理者や設計者ならその個人責任は20年間続きます。命に関わるような事象は民法が適用され、20年間は個人(建築士)がその責を負います。

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