床下暖房のエアコンバックアップって必要か?その3<br />床下エアコンの選定から3週間も経ってしまった。これは自宅や「て・こあ」周辺の大雪に驚いてしまったからで、期待して待っていた皆様には遅くなった事をお詫びする。
このシリーズの最後である「その4」は寒冷地用エアコンについてである。我田引水であるが、住宅のエアコンの選定では豊富な技術的助言が可能である。これは私の博士論文が「住宅のエアコンの選定」であり、この分野を深く知ることが出来る機会があったためである。
5年前の2013年に紹介したが、寒冷地用エアコンとは10年くらい前(2008年)のエアコン機種特性だと思って頂ければわかり易い。その頃は、エアコンメーカーはCOP(性能)競争をしており定格値でCOPのピークがあるようなエアコン設計をおこなっていたので、いまのAPF競争の機種より同じ帖数用であれば2ランク大きい出力能力時にCOPのピーク値を持つと言ってもよいだろう。ただし当時と違い特に室内機の熱交換器が1.5倍ほど大きくなっているので単純な2ランクアップってな話ではなくなったが・・・。大雑把ではあるが上の8帖用の寒冷地エアコンなら一般地域の12帖用エアコン以上に相当すると思ってよい。
さて・・・
寒冷地用エアコンにあって普通のエアコンにない特徴的な装置がある。それが室外機に取付けられたドレン水融解用の電熱線ヒーターである。寒冷地の多くは雪が降る(吹雪もあり)なので一般地より多くの室外機に発生する霜を解氷している。よって解氷時のドレン水が多くでて、それが機器内で凍ってしまうと最悪室外機のファンの羽がぶつかって廻らなくなる。そこで室外機底に設置されたニクロム線ヒーターで解氷をし排水を促す。この時の消費電力はAPFから除外されており、そのため実際の消費電力は上のカタログのような高いAPFにはならない。というよりカタログのAPFは東京における性能評価だが、東京は寒冷地ではないのでこの数値は全く無視しても良いくらいアテにならない。まあ何の為のAPF表示なのか?本来なら札幌のAPF表示にすれば良いのではないかと思う。
とは言っても相対的な評価はこの通りなので、APFが高いほうが良い性能であることはまちがない。
さて具体的に一般用エアコンと比べてみよう。
まず・・・日立製の寒冷地用最高機種のXKシリーズ
ここで10帖用のピンク色の矢印の低温暖房能力に注目すると「外気温2度で8.9KW」とある。この数値は凄い出力であり、出力可変巾が上に広いのが寒冷地用の特性。
14帖用のピンク色の矢印を見ると「低温時の暖房能力8.4kw」とあり、ほぼ同じ出力であることがわかる。
つまり新潟の平野部における冬期の最も平均的な温度2度の時は寒冷地用の10帖とその2ランク上の一般地14帖用エアコンは同じ使い勝手になる。しいて言えば寒冷地用のほうが外気2度時のCOP(2.28:2.18)がわずかによくなるが、外気7度時のCOPは一般地用エアコンがよくなる。そんな事がわかるので、「緑の家」では長岡市より平野部における床下用エアコンは価格の安い一般地用14帖を選ぶ。
また雪深い長岡市のより山間部のエアコン選定では、床下用エアコンは寒冷地用を選ぶ。寒冷地用はヒーターがあるのでより室外機の熱交換器への着雪に対し強いためそのような選定になる。外気が数日間氷点下に下がってもヒーターで氷を溶かすこの特性こそバックアップ的思考との考えでもある。
しかし外気2度でも最高出力で使うと上の理想状態で使ったカタログ値でもCOPが限りなく2くらいになり、凍結防止ヒーターの消費電力を加算するとCOPは2を割り込む・・・カタログ表記に大きく記載されるAPF7以上から見ると極端に低い性能で、やはりヒートポンプは最大負荷付近で使わない事であり、余裕を持たせて選定すること(複数台がよい)が重要で、このあたりをしっかり把握して床下エアコンの機種選定を行う必要がある。
下は実際床下エアコンを使用した寺尾西の家のエアコンの消費電力(実測値)である。殆どが最大出力時消費電力3.9KWの1/5付近で、これは定格消費電力の80%くらいであり、概ね理想的であることを示す。
コメント
いつも家、エアコンに関する知見など拝見しております。
オーブルデザインさんと同じく三条市在住のものです。
単相200Vで稼働するRAS-X40F2のエアコンの消費電力(実測値)を公開されておりますが
消費電力の実測はどのような機器やシステムを使われているのでしょうか。
自宅の200V エアコンがどの程度の効率で動いているのか、
消費電力を確認したいと考えているのですが、
200V用の電力計やロガーはあまりない、or 高価なものばかりで二の足を踏んでおります。
もし安価なもの、もしくは簡易なシステムがあれば教えていだければ幸いです。
あかわんた様
コメントありがとうございます。
>単相200Vで稼働するRAS-X40F2のエアコンの消費電力(実測値)を公開されておりますが
消費電力の実測はどのような機器やシステムを使われているのでしょうか。
多分安価な部類ではありませんが・・・
おんどとり パルスセンサー器機RTR-505+ 電力パルス用器機PMP-3200と親機
RTR500MBS
です。
こちらの生データーにエアコン機器用定数(力率、電圧など)をかけて消費電力に換算しております。これらの変換式はこの器機をお借りしている某大学の研究室から提供頂いておりますが、それでも正確な消費電力の測定は難しいとの事で誤差は多少あるようです。
計測器機は高価ですよね。当事務所は研究施設ではないので、このような測定器機に投資することはなかなかできません。今回の器機は、研究用のデータにもなるようにあまり不正確な器機は使えないとの事で、全て某大学の研究室からの貸して頂いて測っております。
ご丁寧なご返答ありがとうございます。
研究室からの提供なのですね。
個人レベルでは難しいことがわかり、諦めがつきました・・・
消費電力を抑えるために、設定や使い方でどのような結果(=消費電力)になるかを
定量的に測定したいところですが難しいですね。
大変ありがとうございました。
夏季の冷房除湿に24時間運転しています。
リアルタイムでの消費電力と電気使用量気になりますね。
そこで昨年7月こちらを参考にして取り付けてみました。
1か月間のデータも記録されるけれどWindows XP でデータの吸い上げうまくできませんでした。
暖房にはエアコン使わないので(薪のボイラーと薪ストーブです)夏また試してみます。
http://satokomuten.com/president/2101/
(Facebookではこちらです。差し障りありましたら編集してください。)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1253750148036153&set=a.166085406802638.42182.100002035388046&type=3
3回目の冬ですが、快適~~の一言です。
ホント今年は結構寒くて、「寒、さむ」と言いながら家に帰ってくるのですが、
家に入ったとたんに、温かい空気に包まれて、幸せを感じております。
寝る時も、薄手の布団一枚でOKなので、肩がこらなくって良いです。
そうなんですよね。こればっかりは住まないとこの良さが想像できません。
暖かさ=しあわせ
ですね。
ただとうちゃんさんの場合は家だけでなく
「家に入ると「家族の」暖かさ=幸せ」の本質になっているとおもいます。
いつもエアコンのこと、家のこと興味深く読ませていただいております。
エアコン暖房というと、室外機の霜が問題ですがこれを避ける知見は何かございますでしょうか?
特に、北陸地域のような冬に多湿な地域だと、実質的にかなりの影響が出るように思うのですが。
(たとえばCOPが高くなる出力が、太平洋側の事例より、霜がつきにくい低めにシフトするなど)
あと日立やパナソニックの一部機種にあるようなノンストップ除霜についてはどのような評価をなさいますか?
(三菱電機のズバ暖は自分で使っていますがデフロストにはいってしまうと一般機種より気持ち短い程度でしかありませんでした)
nickj様
コメントありがとうございます。
>エアコン暖房というと、室外機の霜が問題ですがこれを避ける知見は何かございますでしょうか?
nickj様が下で書いているとおり一般的には負荷を大きくしないことが肝心です。それでも外気が概ね4℃以下になると避けることは難しくなります。
>特に、北陸地域のような冬に多湿な地域だと、実質的にかなりの影響が出るように思うのですが。
そのとおりです。
>たとえばCOPが高くなる出力が、太平洋側の事例より、霜がつきにくい低めにシフトするなど
一般的にはそのとおりです。↓参考論文
https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/2015/08/07/post-0-498/
>あと日立やパナソニックの一部機種にあるようなノンストップ除霜についてはどのような評価をなさいますか?
(三菱電機のズバ暖は自分で使っていますがデフロストにはいってしまうと一般機種より気持ち短い程度でしかありませんでした)
申し訳ありませんがあまり興味がなかったのでわかりません。
元々超高断熱の場合は、30分くらいエアコンが止まっていても殆ど気づきません。だからノンストップでもストップでも1時間あたり出力が同じならそれで問題ないからです。
お返事ありがとうございます。
緑の家のように超高断熱で床下という大きなバッファーがあれば除霜による中断は、問題にならないのですね。うらやましいです。
当方は、中断熱と無断熱の家でエアコンを使っているため、除霜運転が気になってしまいます。
あと、過去の事例を見ても、壁面へ作り付けの屋根だけで、室外機に直接取り付ける防雪カバーを使った事例が無かったのですが何か理由があるのでしょうか?
nickj様
>あと、過去の事例を見ても、壁面へ作り付けの屋根だけで、室外機に直接取り付ける防雪カバーを使った事例が無かったのですが何か理由があるのでしょうか?
防雪カバー(メーカー純正品)は13年くらい前には使っておりました↓。
https://arbre-d.sakura.ne.jp/main/column/3-2/
使った結果(新潟県)、
ちょっと大き目の庇を設ければ問題ないことがわかったので、一般的にはエアコンと取り替えを一緒にしなければならない防雪カバーをつける事がなくなりました。
無論、庇が付くにくい条件であれば今でもつけることもあります。
何時もどうもです。
こちらは昨年より2割から3割アップの暖房費ですね。寒いのは我慢できないので是非平均気温が上がってほしい・・・と切に願います。
>北の地方で、かなり気温が下がる場所では、燃焼方式の方が費用的に有利になる場合もあるのでしょうか?それとも、エアコンの有利は揺るがないのでしょうか?
そうですね。申し訳ありませんが今はしっかりとした答えを持ち合わせておりません。
ただ・・・北海道では必ずどんなときも燃焼してくれる灯油の安心感(備蓄も含め)には・・・まずかなわないと考えております。
>今年は関西でも寒かったようで、
から
とうちゃん家では寒さ知らずだった・・・のだと想像出来間ます。
今年は関西でも寒かったようで、1月の電気料金が昨年より10%程増加しました。
北の地方で、かなり気温が下がる場所では、燃焼方式の方が費用的に有利になる場合もあるのでしょうか?それとも、エアコンの有利は揺るがないのでしょうか?