施工会社さんから頂いた一枚の施工写真・・・。蓮潟の家の付加断熱終了写真である。
これを見るだけで付加断熱材は樹脂系板状断熱材が効率よく仕事ができるな~と感じる。
この写真をみるとまさしく雨天の工事。雨合羽をきている人、濡れた地面とシート。
通常こんな天候だと外壁に施工される繊維系付加断熱は作業延期することもある。しかし板状樹脂系断熱材だとよほどの豪雨でもない限り仕事はできる。
これは断熱材特性のちがい。板状断熱材の中には水中や湿度が高いところ(土中)で使うことも想定されているものもある。「緑の家」の付加断熱材ではそこまで特化した断熱材では無く、水分を積極的にため込まない性質のフォノバボードかネオマフォームを使う。外壁の付加断熱は外部からの設置作業となり、どうしても天候に左右されてしまう。今の季節はまだ雨天率が低いが、梅雨、冬の新潟県は雨天率は高い。無理に施工すると濡れた付加断熱が乾くまでは外側にタイベックを施工することは躊躇する(貼っても良いが乾くまで時間はかかる)。
さて本題である。
今日のブログでは「悪意のある使い方」ではなく、GW断熱材の欠点をお伝えすることで両方のバランスをとる。
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付加断熱を貼り終わるとすぐにタイベック=防風透湿シートを貼る。実はこの「防風」という文字が繊維系断熱材を貼るときにはとても重要なのである。
繊維系断熱材は密閉された空間に使うから所定の断熱性能を発揮する。外部から空気が出入りする構造だと、
一昨日のこの表のとおりとなる。
これは最近の高断熱での付加断熱部位も全く同じこと。
そう・・・
室内側に設置される繊維系断熱材の壁内通気防止のための上下気流止めはほぼしっかり施工されているのだが、外部の付加断熱はこの壁内通気防止をしっかり実施することはちょっと大変なこと。通常タイベックは幅1mものが一般的である(昔は3m幅のタイベックを使った)。
すると
この写真のように1メートルごとに重なりができる。この重なりを全てきっちりテーピングしないと壁内気流は止まらない。しかし「緑の家」が指定する板状断熱材の場合は、壁内気流が生まれようもない樹脂発泡系断熱材(独立気泡)のためタイベックに「防風」の機能を求めない。つまり写真のようにタイベックの重なりに通常テーピングは入らない。水が入らないような重なりがあれば防水の機能を果たす。このことが繊維系断熱材と樹脂系板状断熱材の大きな違いとなる。もし繊維系断熱材なら工事監理者には相当の負担。次々押さえる木の板(通気胴縁)が張られるので、タイベックを貼っている時は現場を離れることができない。こういった設計は「緑の家」ではできるだけ避ける。なぜなら工事監理者の負担は全て建て主さんのコストになるから。同じ性能を得るのに同じコストがかかるなら、できるだけ人の手間より材料に払って頂きたいとの思いが「緑の家」の設計思想。この発想が土台がヒノキだったり、クロス通気胴縁だったりする。
下のように保冷箱が断熱材単体で作ることのできるのが樹脂系板状断熱材の特徴。
しかし繊維系断熱材だけでは無理で、断熱材を空気を遮断する膜で覆って使って始めて効果が発揮されるのが繊維系断熱材である。当然GWで付加断熱を勧める大手団体の新住協さんのマニュアルにもそうのように記されているが、上の写真のとおり外壁側のタイベックでそのとおり施工するのはなかなか大変である(28年前に造った自邸はGWだけで断熱しているのでよくわかる)。
そんなことなら全て樹脂系板状断熱材で覆えば良いのじゃないの?
となるが、繊維系にはメリットがあり何しろ柔軟であり、現場の複雑な形状にフィットさせることが簡単。しかも安価・・・で適材適所として「緑の家」では柱間にこの繊維系を指定している。
なら現場発泡樹脂断熱材(いわゆる吹きつけウレタン)ならどう?
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吹きつけウレタン断熱材は何か違うのである。当然「緑の家」も隙間をふさぐのに少量使うが、一度付くと絶対に木と分離しないその感覚がどうも好きになれない(具体的に言えば建物解体の時に木材だけを燃料にするとか、再利用することができない)。
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蓮潟の家では既にタイベックで全体が覆われてもう木の外壁になる。