TEXT スタッフM
簾は実際にはどの程度直射光を防ぐことができるのだろうか?
その1で求めた日射の方向と簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)の関係を、実際の太陽の動きとあわせて考える。
太陽の方位によって変化する簾が日射を遮る限界仰角(水平からの角度)を計算し、実際の太陽高度と比較して日射の通過率を算出する。
条件は
・簾は真南面と真西面に設置した場合を想定。
・簾の有効開口率は「その1」の33.3%を想定。
・太陽の高度と方位は当事務所近辺のものを使用。
・梅雨明け例年の最暑日付近である7月31日。
・直射光について検討。
真南面に設置した簾は一日を通して日射遮蔽率100%(但し直射光とし以後同じ)。
つまり真南面では簾を設置すると直達日射が全く入ってこないということになる。
また、真西面では16時00分まで日射遮蔽率100%。
その後少しずつ日射が入るようになり、17時30分には日射遮蔽率80%、19時00分(日の入り)になると日射遮蔽率68%となる。
真南、真西面に日射が当たる時間は一日のうち11時間以上あるが、日射遮蔽率が80%以下となるのは夕方から日没までの約1.5時間のみ。有効開口率が33.3%の簾では、最低でも66.7%の日射を遮断できる。
窓の外の景色が丸ごとしっかり見える簾であるが、科学的に考えるとこれほどまでに日射が防げている。
一方手軽に設置できる市販のメッシュ生地の外部日射遮蔽装置は、真南面に設置すると夏至の頃の14時で全天日射遮蔽率80~90%となっている。メッシュ生地は厚みがないため、太陽高度の低くなる西面では簾より遮蔽率が低くなると思われる。
簾は高い日射遮蔽性能をもっているが、ほとんどのホームセンターに売っていて安価で手に入るため、手軽に取り付けることができる。さらに、室内からは透過して景色が見えるが、屋外からの視界はしっかりと遮断するという優れた特徴を有している。
>その3
コメント
質問です。
屋外に簾の設置が難しい場合屋内に設置することでも効果はありますか?
ayasan様
コメントありがとうございます。
通風しない空間での屋内設置ではほとんど意味はありません。一度入った太陽日射は簾に当たると波長が変わりその波長ではガラスから出ていくことはなく(所謂温室効果)室内に熱が放射されます。レースの白カーテンより悪い利用法です。