TEXT スタッフM
簾と外部ブラインドを比較するため、その3では外部ブラインドを基本形である羽が平行の状態で検討したが、羽が平行な状態では日射が入りすぎてしまうことがわかった。そのため実際の生活では羽に角度をつけて日射を防ぐことになるだろう。
そこで、外部ブラインドの羽の角度を変えた場合について考える。
尚、その1、その2、その3と同じようにこのページでは日射遮蔽は直射光のみを扱う。
想定する外部ブラインドと羽の角度
外部ブラインドは図のような羽の幅80mm、間隔70mmの断面形状を想定(その3と同じ)。有効開口率が簾と同じ33.3%となるように羽の角度を設定する。
計算方法はその3と同じであるためここでは省略させていただく。
有効開口率が簾と同じ外部ブラインドの日射遮蔽性能
計算の条件は
・外部ブラインドは真南面と真西面に設置した場合を想定。
・外部ブラインドは上で模式化した断面形状。
・外部ブラインドの羽の角度は有効開口率が簾と同じ33.3%となる状態とし、1日中角度を変更しない場合を想定。
・太陽の高度と方位は当事務所近辺のものを使用。
・梅雨明け例年の最暑日付近である7月31日。
・直射光について検討。
真南面は簾や羽が水平の場合と同様に一日を通して日射遮蔽率100%。
真西面は17時00分まで日射遮蔽率100%。
18時15分に日射遮蔽率80%以下となり、19時00分(日の入り)で日射遮蔽率は70%。
同じ有効開口率の簾と比較すると、日射が入り始める時間は1時間ほど遅い。日射遮蔽率が80%を下回る時間も、簾が1.5時間に対して外部ブラインドは45分であり、大幅に日射をカットできている。
つまり、同じ有効開口率の簾と外部ブラインドでは、外部ブラインドの方が優れた日射遮蔽が行われている事を示す。一方で、日射遮蔽ができるようになると気になるのはどれだけ視界が確保されるかということ。
そこで視界について考えてみる。
簾と外部ブラインドの視界の違い
簾と外部ブラインドでは視界の広がりは異なるのだろうか?
視界の上下の広がりについて考えてみる。
検討するのは、
・簾(有効開口率33.3%)
・羽が水平な外部ブラインド(有効開口率83.4%)
・羽が斜めな外部ブラインド(有効開口率33.3%)
の3通り。
視界の限界角度は、簾は上下ともに48°、羽が水平な外部ブラインドは上下ともに41°、羽が斜め(有効開口率33.3%)の外部ブラインドは上方20°、下方60°。
この角度によって窓から見える視界は切り取られてしまう。
簾の視界を100%とすると、羽が平行な外部ブラインドは78.2%となり、簾より上部視界が狭くなっている。羽が斜め(有効開口率が簾と同じ33.3%)の外部ブラインドは上方視界が簾の33%と大幅に狭くなり、吹き抜けに設置されるような高さのある窓の場合、窓上部の視界が遮断されてしまい開放感がなくなる。一方、下方への視界は、どの場合でも窓から2mほど離れると窓の下端部まで確保される(視線が160cmの人の場合)。
外部ブラインドは羽に角度をつけることで簾を上回る高い日射遮蔽性能を発揮する反面、窓の外への視界を狭くしてしまう。ただし、外部ブラインドは羽の角度を簡単に変更することで開口率調整ができ、開閉操作もボタン一つで可能という特徴があるので、太陽の動きに合わせて羽の角度を変化させればそれなりに視界を確保できる。
一方、簾は高い日射遮蔽の性能を有しながら、固定状態で広い視界を確保することが可能。日射遮蔽と視界の確保を両立できるという点で非常に優れている。よって吹き抜けなどの縦方向に広がる空間でも外が見通せ圧迫感を感じることはない。もちろん、屋外からの視界はしっかりと遮断する。また、季節に応じて取り付け・取り外しをする手間はかかるものの、ホームセンターで売っており安価に手に入るため手軽に取り付けることができる日射遮蔽である。
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