新津の新町の家  超高断熱工事の終盤 その1

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10月完成見学会予定の新町の家では、超高断熱の肝となる内外断熱工事がほぼ終わり、内装の工事に取りかかっております。

北海道仕様のR値3.0のGW充填断熱+R値3.0の高性能フォノールフォーム これで壁U値は0.17の超高断熱となる。

内外断熱工事ですが、

「緑の家」の場合は、外壁は充填断熱+付加外貼りボード断熱(発泡系断熱材)を行っております。

超高断熱の外壁施工種類は

① 充填断熱+外付加充填断熱

② 充填断熱+内付加充填断熱

③ 充填断熱+付加外貼りボード断熱

④ 厚く充填断熱

⑤ 厚く外貼りボード断熱

等があり、

この中で一番多く採用されているのが、

①の充填断熱+外付加充填断熱で、主にグラスウールやロックウールを断熱材として行っております。

②は少数派で殆ど行われておりません。これは室内側に断熱材を施工するので床面積が減るとという理由です。③は「緑の家」が標準的に行う方法で、構造の柱間に断熱材を充填して、足りない断熱性能を柱の外でボード状の断熱材を使ってできる限り薄い壁で高い断熱性能を確保する方法です。また④と⑤も少数派であまり見掛けません。

5つもある超高断熱方法の中で「緑の家」がなぜ③を選んだのかという理由は今まであまり発信していなかったので改めて少しだけ説明します。

まずデメリット

  1. ボード断熱材は価格が高い
  2. ボード断熱材は経年変化がある
  3. 一番外部の部材が透湿抵抗が高い
  4. ボード状断熱材の殆どが火に弱い

メリット

  1. ボード状断熱材は施工費が安い
  2. ボード状断熱材は雨施工に強い
  3. 一番外部の部材が透湿抵抗が高く、また保湿なし。
  4. 対性能比で重量がが最安軽
  5. ダンゴムシやその他昆虫が越冬の為侵入し難い

です。

デメリットと1とメリットの1は利益相反性で、ボード状でない断熱材(GW)を外側に貼るときの木材の仕上げ・下地の材工およびGWの施工手間とボード状の材工の比較では、今のところトータルではボード状断熱材が安価とみております。

国の断熱気密マニュアルにある経年劣化の記載部分。改善がされた商品もあろうが硬質ウレタンの性能劣化はちょっと酷い。

デメリット2は、高性能ボード断熱材の雄であるネオマフォームの場合、数年間で数%の性能経年劣化が有りますが、その後横ばいとなり90%以上を維持出来るのでそこは割り切りです。
メリット2は日本において3日に1日は雨がふり、しかも新潟県では11月から2月まで殆ど雨か雪。そんな気象の中、ボード系断熱材は小雨なら貼っても問題なく、しかも張り上げると2次防水層が完成し、その後に雨に弱いGWの工事に取りかかれる。これは施工者にとって大変なメリットです。

デメリット3とメリット3も利益相反か二律背反です。
まずデメリット3の特徴から間違った施工をすると大変な問題となります。間違った施工とは、室内側に気密シート(防湿シート)を施工しない時です。気密シートはJISで規定された屋内防湿用ポリエチレンフィルムのことで、最近は欧州製の可変型透湿抵抗の気密シートがありますがこれでもよいと思います。ただ・・・JISでは規定されていないので、30年前のタイベック導入時のような事がないともいえません。なぜならこの分野の最大手「デュポン」さんのホームページには↓・・・

デュポンさんのHPから転載。

このように、数年前まで「ザバーンBF」という可変型透湿抵抗の気密シートを改良して「スマート」になったとあります。これは「ザバーンBF」という商品が日本において問題があったのか、ただ単に性能アップなのかが記載されておりませんから・・・。また、夏期は室内に換気による湿気より多い湿気が室内に入ることもあるので注意が必要です。

一方メリット3は、夏の逆転結露時にそれを防止します。
夏の逆転結露は、室内が冷房空調されることが主原因ではありません。このことは既に建築学会では論議が尽くされております。主原因は壁体内部の吸放湿素材(木の事)があるからです。木や繊維質の素材は接している空気の相対湿度が上がると湿気を吸込みますが、吸放湿材の自身の温度が上がると、接している部分の空気の相対湿度が下がるので、吸込んだ湿気を放出します。これが所謂「蒸し返し」と呼ばれる現象です。つまり、夜間壁内(木)の温度が下がり、RH(相対湿度)が上がると木は(通気層を透過して)湿気を吸込みます。ところが壁面に日射があたり壁内部の温度が上がると今度は吸込んだ湿気を放出します。それが壁内に拡がりRH(相対湿度)が一時的に100%を超える部分が出てきます。これで壁体内が一時的に濡れることになります。これが夏型逆転結露の原因です。
室内側が冷房であるからが原因ではありません。特に最近は室内側の冷房温度が27度くらいに設定されることが多いので、この27度で結露をおこす外気の温湿度は殆どあり得ません(通常の夏の露点温度は高くても23度)。わかり易い説明は南雄三著のこの本がよいでしょう。発行年からわかるとおり既に約20年前に明らかになっている事ですから、もう解決済み(通気工法採用で)の話題とわかるでしょう。
上の事からGWを付加断熱材として使用する場合は通気層が必須ですが、通気層があると湿気が入りやすく、しかし通気層が無いと結露は乾かない・・・ここが二律背反だと感じます。一方ボード状断熱材の場合は通気層がなくとも逆転結露問題は発生しがたいです。

4と5は「その2」に続きます。

定番の杉の外壁。基礎高1.05mで床高1.5mの「緑の家」

・・・ところで新町の家ですが

外壁貼りも既に終わっており、これから足場を外して外部完成となります。

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