星名邸(旧川西町) 見学

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星名邸は旧川西町にある重要文化財指定を受けた建物であるが一般公開はしていない。

しかし一年に一回程度一時間だけ公開することがあり、そのお誘いを上野住宅建材のYさんから頂き喜んで見学会に参加した。

特に素晴らしかったのは38帖程度大広間(チャノマ)と通り土間を挟んでつながる30帖程度のダイドコロの圧倒的な空間。ここは関川村の渡辺邸の囲炉裏の間と同じかそれ以上の見応えのある空間である。しかし残念ながら内部写真はWeB公開NGとの条件なのでアップ出来ない。

土間が広い渡辺邸に対し、ダイドコロやチャノマのような床部分が大きい星名邸はその主要な生業(明治までは清酒業)によるものだと思う。間取りを見て思うことは、表玄関から入ってからクランクしてダイドコロにつながる点である。これに対し渡辺邸では表玄関から入ってまっすぐ米俵を積んだ荷車が入るようになっていること。また上客人の玄関が別にある渡辺邸に対し、星名邸の現在の間取りではその玄関が見当たらない。星名邸は商いが中心で有り統治する大名との関わり方が違っていたのだろうか。クランクして星名邸は内部が表から見えにくいようにする工夫だと思われる。

関川村の渡辺邸1階間取り。土間の大きさと小屋梁方向の広がりが圧巻の建物。

多分ほとんどの人が美しいと思うこのファサード。建築関連の方なら間違いなくこの水平に伸びた屋根線と格子の縦線、高さと横のバランスに感動する。

屋根の出(軒の出)は越後では多く見られる持送り桁(もや)による支え方。この深い軒で窓や壁を守ると同時に力の象徴ともいわれる屋根を大きく見せる手法。

せがい造りといわれる持送り桁(もや)による屋根構造。

垂木ピッチも大変細かく豪雪地域らしい屋根構造。しかし普通の民家はこんな勾配の緩い雪掘り用の屋根は造らず、急勾配の自然落雪屋根が一般的であり(旧松代町の残る民家のような)裕福で雪下ろしを常に出来ると立場であった建物と考えられる。

現在は敷地外とはなるが酒業には欠かせない雪穴も現在残されている。これは雪室と同じ雪貯蔵方式のことで呼び名が違うだけであるが、地面に深い穴を掘っても水が流入しにくい場所を選ぶのが雪穴とも言える。

深さ4mで5間四方はありそうな穴に雪を積めて地上部は6mくらいになる覆いをつくり、8か月間(11月まで)雪が残るようにして冬期以外に冷蔵庫として使用する。冷蔵庫が発明されてから急速になくなった。

また杉が直ぐ周囲にあるが、根による石垣(土留め)の浸食はみられないのが大変不思議であった。

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