otomo vie cent 杉、杉・・・

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今回もカンナの出番。カンナは最終調整に欠かせない。

現在ゆっくりとしたリノベーション工事を行っているotomo vie centではアトリエ棟の2階内装工事が行われている。以前も紹介しているがまずはotomo vie centの建物の耐震性を評価する。

柏崎刈羽原発から北東に20kmの所に位置するotomo vie cent。2007年の中越沖地震では震度6弱の揺れ(最寄りの測位点)に襲われ、壁に一部ヒビが入っているがその他は特に問題ない。一方震源地からotomo vie centの2倍以上離れている柏崎市中心部では震度6強を記録し多くの建物倒壊が見られた。通常震源に近い方が揺れが大きく被害も甚大なのにotomo vie centの周辺では被害が少ない。これも昔からの街道沿いに立地し地盤がよい土地であったことが幸いしている。多くの研究者も同じことを伝えているが・・・耐震性はまず第一に土地選定であり、その次が建物強度であることをこのotomo vie centでも、和島の「て・こあ」でも示している。otomo vie centのアトリエ棟は建物自体が古く一応布基礎ではあるが、鉄筋が入っているか定かでは無い。通常このような場合は建て替えが一番簡単で有り、費用対効果もよい。しかし新築となると資金面の制約があるので、この辺りはよく打ち合わせをしてリノベーションするのか新築にするのか決めなくてはならない。

古い家は大概1階が潰れることが多い。

otomo vie centでは母屋が築130年、このアトリエ棟が50~60年、別棟が30年ほどであることから全てに手を入れる必要があり資金的にリノベーションしか選択肢はない。そこで耐震補強を行いつつ建物を重くしないことでリノベーション計画を進める。特にアトリエ棟は1階が車庫と工房で住まいでは無いことで、万一の大地震の時には1階は潰れることもあると考えた時にも一日の半分である夜間はいないことでリスクは半分以下に低減されることも考慮している。通常木造2階建ての倒壊の多くは1階が潰れ2階は原型を留める。潰れなければ命がたすかる確率は高い。しかしこれはよく話し合った結果で一般的にリノベーションはしっかりした耐震補強がなければ進める事はしない。

杉の羽目板で壁をはる。無節は高価だから節有りを使う。

otomo vie centの管理者も杉が大好きであるから杉の床、杉の壁でリノベすることに抵抗はなかった。ただ・・・全部杉にしたときに山小屋風になることは避けたかったので壁板は縦貼りとしてポスト&ビームの雰囲気を残す。

裏山の杉の木は「て・こあ」より大きい。

otomo vie centの裏山はほとんどが戦後に植えられた杉林である。大凡75年経ちそろそろ伐採時期にさしかかるが、管理放置された杉はお金にならないので杉林は負の財産となる。こんなよい木が伐採後は「ゴミ」として扱われることに対し大変複雑な気持ちである。また植林された杉のほとんどが挿し木による「クローン苗木」なので実根が生えず深い根がはらないことが知られている。種が落ち芽から育った杉は深根性であり雑木林になる広葉樹と同じ直径10mmの根一本の引き抜きは100kgにもなる。本来の杉山は実は崩れにくいのである。この裏山の杉は果たしてどちらの杉なのだろう・・・。

リノベでは建物が歪んでいることが多いので壁の最後のパネルは縦貼りの木には上巾と下巾が違う事が多い。ここにパネルをはめるときには・・・

上と下巾で寸法をとり切断面に墨をうつ。それから丸鋸で切るための逃げ墨をうち、ハタガネを使って定規を固定する。

白墨のため雑巾で擦ると消える。しかし本来の墨より線が数倍太いのが難点である。これで巾1mm。つまり1mm程度の誤差が必ずできる。

ハタガネとは万力のような形状の金物で木材を挟み込んで固定する機器。

定規を固定すればそれになぞって丸鋸を動かせばある程度しっかりした直線切断ができる。長手方向を切るときには必須な道具。

一方直行方向を切る時には手持ちの定規でも問題ない。

私が使っているのはマグネシウムで出来ているもの。同強度ならマグネシウムはアルミより軽く造る事が可能なので、軽さを求めるときに有効な素材だがその素材が高価。

切断が終わった材料にカンナでテーパーを設ける。テーパーがないと最後の羽目板が入らない。

少し欠けていてもそちらは裏面なのでよし。日曜大工ではこんな感じ。

当て木を使って玄翁で入れ込む・・・と釘で締めなくともちょっとの事では外れない。これで終了となる。

矢印のところが最後にはめた羽目板と柱の接触部分。隙間があまりでていないが、反対側は隙が少しでた。

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