大変な疑問・・・基礎断熱の熱損失 その3 床下エアコンの時

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12年前(2009年)に書いた床下暖房が何故必要なのかを示した図。

まず最初に・・・
この12年前の昔(2009年)の当HPからご覧頂きたい。

https://arbre-d.sakura.ne.jp/home/midorinoie/heating#nigerunetu

 

「緑の家」がなぜエアコンによる床下暖房を計画したのか・・・

1.人の性能は衰える

2.高基礎が故に床面積に対し熱が多く逃げるので床温度が下がることの改善

3.床下の衛生問題が解決した。

である。

1の事については今の快適さだけでなく、この床下エアコン暖房が人への影響可変領域が大きく、室内の上下の温度分布をある程度変える事ができる点が優れている。

現在の環境設備の評価はその時間軸があまりにも短く新築後の数年の事になる。しかし住宅は借入期間から考えて少なくとも30年は使う前提となり、その間は住まい手に豊かな環境を維持しなければならない。そしてその間は自身の体の仕組みが今と同じと考えてはいけない。つまり加齢で筋肉が衰え冷え性になる可能性は高い。この時に床の温度が変えられる床下暖房は大変ありがたい。その理由が上の1なのである。

高性能の家を解説したとてもコアな動画がある。それはJJJチャンネルというユーチューブの動画。この動画はIBEC内に設置された環境専門の先生が集まって、将来あるべく住宅像を考える委員会のような組織の公式チャンネルであり、その多くは放談であり大変面白い。その中で最初にインパクトを与えるような下の回を紹介する。ざっくばらんな議論が行えることを念頭においたチャンネルのようで、普段はオフレコになるような内容を公開しているところが凄い。途中で大きな笑い声が上がる場面では多少顔をしかめる方もいるだろうが、これも何事もオープンとのことらしい。現在はわずか250回ほどの視聴回数であるが、多分それではもったいない貴重な内容である。↓

https://www.youtube.com/watch?v=hWRRw62IyQY

この動画の題は「求められる冷暖房、間違った使い方~これからの暖冷房についての放談」とありまさしく放談である。

その中で途中から床下エアコン暖房が話題に上がるが、前から申し上げているとおり床下エアコン暖房は快適さの追求で有り、エネルギー削減ではない。同じプランで人の居住しない空間を30度くらいまで温度上げて暖める床下エアコン暖房は、同じプランの床下を暖めない(基礎断熱)住まいに比べれば1~3割エネルギー増になることは以前からお伝えしている。しかしそれでも止められないくらいの快適さが手に入るのである。この放談ではその点がぼやけており、気軽に手に入る快適さなのか、エネルギー削減なのかが曖昧になっているかもしれない。また動画内では基礎からの熱損失は計算式より大きいからエネルギーは増えるとの指摘がある。実務者からみると、「その計算式をつくっているのは「国」であり、それに沿って行っているのだから、もしその計算式が正しくなければ速やかに評価を変えるべきだろう」との突っ込みがはいるはず。

例えば民間が開発しているシミュレーションソフト使って暖房負荷を計算すると・・・

6地域 居室23度でのシミュレーション結果では933kwhの暖房負荷となる。
6地域 床下25度でのシミュレーション結果では1051kwhの暖房負荷となる。いずれもホームズ君省エネ診断 Ver4.14

上のとおり千葉県で基礎断熱された「緑の家」で床下暖房をしないときの暖房負荷は933kwhとなり、床下暖房をして床下を25度にした場合は1051kwhとなり、13%も負荷が高くなる。電気代(COP4)にすると一年で826円となり太平洋側ではその差はほんとわずかであるが、同じプランでも北陸ではこの数倍~10倍になると思われる。それでも快適代としては仕方のない代償だろう。

私は手軽に入手できる壁掛け用エアコンで最高に快適な床下暖房を提案するが、どうも床下暖房エアコンに問題があり、あまり好意的ではないような印象を受けた。その一つはこの動画でもあるように、確かに建て主さんにもエアコン故障時のリスクはある。しかしこの12年間で大凡70セット以上の床下用に使うエアコンを設計してきたが、設置方法に問題があることで故障し非保証になった事例がまだない。一方今後全国で多く床下エアコンが設置されれば、メーカーも明らかに非保証となる可能性はある。

このあたりがどのようになっていくのか・・・

この動画チャンネルは面白くあと2回くらいはブログに取り上げる予定である。

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