カーテンがあっても窓から入る光(日射)によって部屋がなぜ暑くなるのか・・・あたりまえで基本の事なのであまり説明しているところをみない。よって改めて復習する。
太陽の光が建物にあたると、光(0.3~2μmの波長の電磁波(紫外線+可視光線+近赤外線))が窓のガラスを透過する。この光が、室内の物体(カーテン、床、壁、家具)に当たりその温度が上昇する。それらの熱が伝導・伝達し室内空気を暖める。光を透過したガラスは、0.3~2μmの波長の電磁波(紫外線+可視光線+近赤外線)を透過するのであるが、一方で3μm以上(中・長波長赤外線)はほとんど透過しないという性質がある。暖められたカーテン等も放射の波長は10μm付近が中心のため、室内から外への熱の放射が妨げられる。このため室内にカーテンがあっても入った光の多くは室内に熱として残るので暑くなる。但し仮に鏡、金属の光沢面のような高反射率の素材により、光を熱とする事なく再び屋外に近紫外線で輻射放熱させれば暑くなりにくい。このためアルミ光沢の車のサンシェードは室内設置でも効果がある。つまり仮にカーテンの色が真っ白や鏡のような金属光沢なら反射は大きいが、まっ白以外のカーテンの反射率は低いのでほぼ全て熱になってしまい、室内の温度上昇に大きな影響を及ぼす。
結局・・・窓ガラスの内側に設置された真っ白以外のカーテンやブラインドでは、室内の温度上昇を防ぐことはまず出来ないのである。
そこで屋外に日射遮蔽物を設置するのであるが、この時にコストが安価で無難なのが「簾」になる。建て主さんが「簾のカビ」を嫌って大手サッシメーカーのアウターシェードを設置した事もあるが、このような織物系で変に固定してあると、ちょっとした強風で固定が外れ跳ね上がったり、ねじれたりして、留守中は下げっぱなしに出来ない。つまり留守中は役立たずの日射遮蔽となる。その点簾は下部をしっかり固定すれば風速7から8mくらいまでなら耐えてくれる。仮に耐えることが出来ず一部破損しても価格が安価なので気にすることが無い。
「緑の家」では既に24年間も窓上に庇がある。これは日射遮蔽である簾が雨で痛みにくいように必要となることが大事な理由で、巷で行われる庇で日射を防ぐつもりは毛頭ない。その理由は以前このブログで書いている。だから「緑の家」の外観にはいつも「庇」と「簾」、「簾設置ポール」が写っているのである。当然簾を掛けやすいように窓は内開きが標準。当然コストが許せば、「電動外部ブラインド」の良いだろう。
これら外部での日射遮蔽がないと・・・全館冷房(空調)は大変難しいのである。