南の0.4mを超える大きな庇はほぼ効果無し

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この図は2021年11月10日公開のJJJチャンネルのPS(プリントスクリーン)。

「南の庇の出はほぼ効果無し」のタイトル・・・衝撃的である。
本日公開のJJJチャンネルで「夏の日射遮蔽」の動画で専門の先生が言っていた事であるが・・・。

何を言っているかというと・・・冒頭の表をアップするとわかるが、

縦軸は南窓から入る日射熱の合計。横軸は月と庇の出寸法。JJJチャンネルのPSから。

7月、8月の暑い時期をみると、庇の出が0.4mの家と1.2mまで深くした軒の出とほぼ変わりない日射量であるということ。巷で言われる南側の庇の出はある程度深い方が日射を遮蔽するという神話はちょっとちがうよ・・・と言っていた。常識は時折間違って伝わっている。今回もそれがよく現れている。

まず最初に何でこのような事になるかというと・・・

JJJチャンネルのPSから。

現在の家は窓にガラスがあるからである。一般的なガラスの特性は、日射のガラスに対する進入角度が少なくなればなるほど熱成分を反射して浸入しづらくなる。一方進入角度が直角に近づけば近づくほど反射せずにそのまま入る性格がある。

つまり・・・

南側の庇の出が大きいほど夏に対し工夫した家は思い込みで、それはガラスの窓のない時代のこと。ガラスがあれば夏の高緯度から降り注ぐ日射は庇の40cmあればガラスだけで防ぐことがある程度できる。深い庇の出は必要無いことになる。

そこで「緑の家」の庇の仕様を思い出してほしい。

「緑の家」の庇の出の詳細図。庇の出はどんぴしゃの40cm。気持ち悪いほど最適の出寸法。

そう・・・ちょうど40cmの庇の出寸法となっている。これは2009年から変わらず。

「緑の家」の南側庇の出は40cm。そして南側でも簾を必ずつける。

そこで疑問に思う人もいるだろう。何故40cmから日射浸入量が変わらないかというと、理由は先ほどのガラスだけではない。以前ご紹介したとおり夏は天空日射の影響が大きいためである。直達日射はある程度庇と入射角の吸収・反射で防ぐ事ができれば、残りは天空日射の影響だけになる。Low-E以外で天空日射の防御は窓自体を塞ぐ(暗くする)ことでしか出来ないから、簾のような有効開口部を少なくする日射遮蔽が有効となるのである。「緑の家」の南側の庇にかける簾も利に叶った装置であることがわかると思う。

さて、ここで必ず勘違いする人がいる。庇の出が40cmで良いなら軒の出が少なくても良いのだろうと。私はあえて庇の出と言っており「軒の出」とは言っていなことに注目してほしい。ここは大変重要であり庇がないときには軒の出(屋根の出)は下の通り1.1m必要である。混同しないように注意。

軒の出40cmは屋根の出110cmに匹敵する日射遮蔽効果がある。なのに何故か巷では庇を煙たがる。

屋根は庇より高く窓から離れた位置にあるので一般的に屋根の出1.1mが庇の出0.4mと同じ効果になると言ってもよい(真南窓)。逆に言えばそれほど庇の効果は大きいのである。それなに巷では何故か庇をいやがることが多い。こんなに効果的な庇なのに・・・。

このように結果を見る時には必ず条件をしっかり把握すること。今回も冒頭のグラフにはしっかり庇の条件が書いてある。

JJJチャンネルのPSから。

大事だから一緒にグラフに載せる・・・この上のグラフの右上がその条件である。大きく拡大すると↓

JJJチャンネルのPSから。

窓上20cmに設置された庇であることがわかる。決して屋根ではない。しかも窓高さが100cmなのでこれより大きければ庇の出は大きくする必要がある。従って「緑の家」の庇はやはり簾の保護が一番となり、日射遮蔽が主ではない。このようにデータを見るときに条件を必ず把握すること。これを行なわないと「デマ情報」になる。この有益な情報提供するJJJチャンネルは↓である。

https://www.youtube.com/watch?v=s29vLalKK0I&t=323s

また・・・日本は土地は狭いが気候は広い。

出典:www.jma-net.go.jp

上のデータのとおり夏期の新潟は東京に比べ日照時間(直達日射)が2割以上多い事がわかる。よって東京より直達日射を防ぐ庇はとても重要になることに注意したい。

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