小屋裏の中で薪ストーブの煙突工事をしていたときのこと・・・。写真は正常時の母ヤの継ぎ手。腰掛け鎌のようであるが・・・
一の母ヤの腰掛け鎌継ぎが崩壊して50mm以上下に落ちていた。この母ヤの支持スパンは2.73mで「緑の家」の標準より0.91mも大きい1.5倍のスパン。腐り具合からみてもう10年以上は経過しているが、今年の1mを超える雪で屋根が落ちなかったのが奇跡的。この継ぎ手は雨漏れで材が腐朽したようである。
見つけたからには直ぐに補強しないと気持ち悪い。この部材は母ヤなので構造材ではなく、準構造材であり鉛直荷重を支えるのが主の役目。そのため地震や台風に対する影響はほぼない部材なので、屋根をはがして補強するまでもなく、下に巾が極広の丸太梁があるのでそれを土台にして束を追加する予定。まずはジャッキアップしておき、次週の定休日に伺い、束を噛ませることにした。ジャッキで持ち上げると、屋根が音をたてて少し持ち上がるので、とりあえずほっとした。
あまりにも広く、古すぎて小屋裏半分しかみたことがなかったが、こんなことがあったので勇気をだして屋根全体を見回ることにした。。
築130年のこの民家は、築造したころから天井がしっかり貼ってある部分が2部屋あるようだ。一つ目が囲炉裏のあった真ん中の13帖ほどの空間。今の天井材と違い、厚い板(15mm程度か)で竿も上からの荷重に耐えられるくらいのしっかりした構造である。よってどこを歩いても踏み外して下に落下する事はないくらい強い。それでも怖いので四つんばで匍匐前進である。時代劇で忍者が天井裏を歩く場面があるが、今の天井では野縁上しか歩くことができないことを考えると、いつも不思議だった。otomo vie centの小屋裏でその歩ける理由がわかった。今の天井とは比較にならないほど強く出来ていたのである。
囲炉裏上の部屋だけあって完全に煤けている。 土壁は真っ黒に・・・天井があっても何故真黒かは・・・
部屋の4隅に煙り抜き穴があるから。網はあるがこの大きさだとネズミは通れるので、獣(狸、ハクビシン、狐等)の対策だったのか。
囲炉裏がない隣部屋は小屋裏の一部だけがつながっているせいか、煤けているのは屋根から近い所だけ。
2重にかかる梁も黒いがこれは煤けた塵が付いたような感じである。小屋束の上500mmくらいが完全に煙状態のような煤の付き方をしている。
こんな所はマスクでは全く役立たず。マスクの隙間から埃がダダ漏れであり専用の以前紹介した防塵マスクが必要。これをすると鼻をかんでも一切黒い粉はないが、マスクだけの頃は真っ黒になった。これをみるとCOVID-19に取り外しごとに使い捨てないマスクの効果は限定的だろうとわかる。
私がみたところでは、今のところ悪いところもなく加えて死骸や蜂の巣がなくてほっとしている。
リノベーションはまずは構造の健全性を見極めること。自身で小屋裏、床下、壁内をみると現行法と比較でき、どの程度何をしなければならないかがわかる。わかると普通は建て替えになるくらいの修繕が必要なので通常は住居としてはまずお勧めしない。