上写真は「緑の家」ではないある家の暖房中の給気口まわりのサーモグラフィーである。給気口とは新鮮空気の取り入れ口である。
「緑の家」は10年ほど前では上の写真にあるような第一種熱交無換気システムがメインであった。単純で消費電力が少なく、メンテナンスも簡単で、換気効率もよい換気システムである。換気効率についてはこのブログで紹介しているのでご覧頂きたい。
そんな良い換気システムであるが、6年ほど前を境になくなった。その理由は何度か説明しているとおり、「この給気口廻りで冷気」を感じるから。その理由は冒頭の写真でわかるとおりである。下の写真は熱交感ありの換気システムのサーモグラフィーである。
このサーモグラフィーでもわかるとおり熱交換型換気扇のほうは室内温度(壁面温度とした時)と吹き出されて壁に当たった時の温度から推測する給気温度の差はわずかに1度に対し、冒頭の熱交換無しの同比較では5度となり、その差は4度となる。住人がこの給気口近くにいるとこの差以上にコールドドラフトを感じるため、寒い空気が入って不快と感じる。北海道ではこの寒さを嫌い、床下に一度給気をいれて加温してから室内に取り込む方法が多いが、空気齢から考えるとその経路はナンセンスである。
このため6年程前の2015年から、全ての換気システムは熱交感有りの第一種全熱交換型換気扇にしている。この時に何故顕熱型では無く全熱交換(顕熱+潜熱)にしたのかの理由は何度も申し上げているとおり、夏の「湿度」に拘ったからである。湿度に拘ると全熱型を選ばないと家内のAH(絶対湿度)と共にRH(相対湿度)も下げるのは容易ではない。
ところで、「緑の家」のダクトレス換気システムは世界で初めて紙で出来た熱交換膜で熱交換型換気システムを半世紀前(1970年)に世に送り出した「三菱のロスナイ」である。ところが現在ダクトレス換気というと、蓄熱型の熱交換気システムでありその殆どが海外製品である。
「緑の家」のダクトレス換気扇は上の写真のとおり、送風ファンにシロッコ型(又はターボ型)のファンを採用している。シロッコ型はプロペラ式タイプより消費電力は大きいが、静圧を高くでき、強風や室内の予期せぬ圧力変動にもある程度抵抗できる。一方蓄熱型換気扇のプロペラファンでは、予期せぬ圧力変動(トイレやキッチンファン又は外風)に抵抗することは出来ずに逆流してしまうことも多い。逆流すれば(風量が減れば)高い換気効率表記があっても絵に描いた餅となる。当然空気を力強く動かすためにシロッコファン採用の換気扇では消費電力が多くなるがそれはやむ得ない・・・とのことでこのダクトレス換気が「緑の家」では半数で使われる。残りの半数はダクト有りタイプとなる。
換気をまじめに考えると大変難しい。今回のコロナ騒動で多くの人が感じているはずで、換気に関心が集まったこと・・・これはとても良いことだと思う。
コメント
ありがとうございます。
工務店に掛け合ってみます。3種換気との混合状態でもロスナイが付いているところは全熱交換の恩恵が受けれると言うことですね。
所詮給気口二つなのであまり大きな効果は得られないのかと思っていました。
3種換気C値0.2、二階リビングの家に住んでおります。中国地方6地域です。
給気口からの冷気減少を叶えつつ、一年を通じてより快適に過ごすため、リビングや寝室の給気口をロスナイに取り替えることは効果がありますでしょうか?
因みにリビングのある2階は、全部屋が繋がっており大きくない家のため、給気口は一つしかありません。
やま様
コメントありがとうございます。
>給気口からの冷気減少を叶えつつ、一年を通じてより快適に過ごすため、リビングや寝室の給気口をロスナイに取り替えることは効果がありますでしょうか?
リビングの給気口が一つとありますが、家全体の換気量が適法なら問題ないと思われます。またロスナイによる冷気軽減はとても効果があり、全熱交換タイプなら夏期の湿度抑制効果も大きいです。但し現在の給気口の径や電源の確保など特に2階の交換には少し手間がかかります。
法令どおりの換気量(0.5回/h)を第三種換気で確保すると、場所によってかなり冷気を感じます。その点簡易なロスナイでも効果はありますのでご検討ください。