昨年お示しした内外基礎断熱を行なった家の基礎外周部から熱移動は、内側断熱だけを行なった基礎断熱より随分少なく(数値評価未確認)、床下内の外周分の温度低下がみられなかった。上の写真でもわかるとおり基礎に接する雪も直ぐに溶けることはない。
一方基礎内側断熱だけであると基礎外周部からの熱移動は内外断熱時に比べ大きくなるので基礎に接する雪は早く溶けがちになる。
下の写真は建物北側の基礎立ち上がりに接する地面の表情の3例である。
撮影日時は基礎内断熱と床断熱が同じ日であり、基礎内外断熱はちがう日であるが、いずれも建物北側で撮影は午前中、天候は曇りで気温は1から4度の間である。
床下換気が適切に行なわれている床断熱の基礎周囲では、基礎立ち上がりが外気の影響を受けやすく、地面温度に影響を及ぼしにくい。基礎内側断熱は立ち上がりにが接する地面に熱を伝えてしまう構造であるため、基礎周囲の雪の溶け具合が早い。一方同じ基礎断熱構造でも内外に断熱材を施し、布基礎としてスラブからの熱の移動を少なくしているためか、基礎の外周部分が殆ど溶けておらず床断熱と同じような雪の残り具合に見える。
では基礎内外断熱がよいかというと、基礎内外両断熱を行なうと内側断熱だけより30万~50万ほど余計に費用がかかる。仮に50万余計にかけたときにそれを暖房費で回収する年数は、今の電気代なら30年程度と想定できる。30年分の光熱費の先払いをするか、それとも一年ごとに少ずつ払うかの選択となり、且つしろあり対策は内側だけの断熱の方がリスク回避は簡単である。このあたりをトータル的に考え、どちらの断熱方法を採用するかを決めることにすれば、どちらが優れているとの評価はないだろう。この金額であれば私なら開口部のグレードアップが先だろうと思う。また基礎内外両断熱でも原則根入りの深い布基礎で効果的に作用するため、ベタ基礎の場合はもう少し熱の移動が大きくなると思われる。
スラブ下断熱材を施す理由として、水道(みずみち)がスラブ下にあるか蓄熱効果のためスラブの温度を上げる場合があるが、それ以外では布基礎にして内外断熱を施せば、耐久性に疑問符がつくスラブ下断熱材施工をする必要はないと改めて思う。スラブ下の断熱材の問題は↓のブログでご案内しているので、知りたい方は立ち寄ってほしい。