土間キッチンの家 耐雪住宅の柱の直下率

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朝霧でかすむ大崎山

朝7時過ぎ、現在上棟中の三国街道の家に到着。現地で迎えてくれるのは三条市の憩いの大崎山。この風景が三国街道の家の真ん前にある。

耐雪2mなのに正面から見ると意外と柱が少ない。

耐雪2mで耐震等級3を長期優良住宅で取得している三国街道の家でも意外と柱の本数は普通程度で収まっている。

耐雪2mともなると外観デザインは後々の構造計算に影響を及ぼす。今回は軒の出を500程度に抑えたこともあり、内部の2階柱の配置は外周部分以外では2本しかない。つまり雪加重をはじめ耐震的な力のほとんどを外周の耐力壁で受け持つ設計となっている。

ピンク色以外柱がない2階の間仕切り壁。

2階のプランは3室とトイレ、脱衣所、UBまであり、仕切り壁は多数あるのに柱は2本だけ。これは、このような耐雪2mにもなると、柱の直下率が大変重要になるからである。今回の三国街道の家では柱の直下率が100%となり、柱はすべて通し柱として設計が可能。通し柱とは1階の柱が2階まで一本で通した柱のこと。2階の柱の真下には必ず1階の柱があるのが柱直下率100%である。当然一般の「緑の家」でも柱の直下率はとても高いが、耐雪2mを超える住宅では、ほぼ100%の柱直下率となる。つまり2階に多くの間仕切り壁があろうと1階に柱がないところで2階の柱は設けない設計方針である。最近はこのような木造設計をスケルトン的構造と呼ぶが、木造以外の鉄骨造やコンクリート造ではごく普通の設計方法となる。木造だけが1階に柱がなくとも2階に柱を設けることができる特殊な構造であると考えた方がすっきりする。

ピンク矢印が柱2本を示す。グレーの矢印は桁上合板のいつもの通気穴。梁は360の「せい」で統一されピッチは910と細かい。

内部2本の柱では内部耐力壁を2カ所しか設けられない。しかしこの建物は耐雪2mで耐震等級3を取得している超高耐震である。その高耐震性を外周耐力壁のみで成り立たせるのが、写真の桁上合板である。通常の家では貼ることのない位置でのこの厚い合板28mm貼りで、小屋桁周りの水平面剛性を高め、屋根と一体で地震力に抵抗する。

和小屋として組まれた構造。桁上合板で剛性を高め、低勾配でも小屋裏振れ止めで屋根の一体化をする。なぜ合板にわざわざ穴開けをするのかは過去のブログでどうぞ。

以前も紹介しているとおり、「無難な家」をローコストで目指す「緑の家」では、このような和小屋を主とする構造が大変多い。

桁上断熱の上は当然屋根がかかり、春型結露防止としてこの上にシージングボードが貼られる。

わずか1000mmの持ち出し梁であるがその「せい」は390mmとなる。

下屋は跳ね出しで屋根の出は1600となる。2mの耐雪のため跳ね出し梁は390。これは跳ね出しの基点に左右から梁がかかりホゾもあるので断面欠損が大きくなるためである。断面係数は39%ダウンの61%で算定している(在来工法なら55%の低減で45%で算定)。これでもメーカー公表値より少し多めの安全側で設定している。

基礎の区画も3ブロックしかなく、構造的に明快な建物となっている。

柱直下率が100%のため基礎も明快になっている。写真中央には人通口があるが、基礎高1170mmもあるのでその半分を欠いても基礎梁せいは585mmも残る。これでM16を主筋とし、左右外周まであると仮定し計算する。つまり最も基礎梁のせいが小さいところの数値で全体せいが成り立つことを確認する。高基礎ではこのように構造区画がわずか3ブロックでも※地下の梁無しで人通口が可能となる。これは床下収納時に大変なメリットになる。

※通常構造区画のブロックが少ないほど基礎梁のせいが大きくなる。

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