素材を見直す 2

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原村の家のトイレの戸。赤黒の木目がよいと思う人は杉LOVEの資質有。基本に忠実な戸のデザインとブルー系のモザイクタイルがしっくりとおさまる。

ここ10年ずーっと杉LOVEと言っている私であるが、原村の家のオーナーさんとそこで意気投合することと思っていないなか、この建具の杉をみて「これ、これ」と互いにうなずき合った。木の意匠は唯一無二であるから愛おしい。

住宅において素材の代表格は「木」である。そしてさらにそのトップに君臨するのが「杉」と私は思っている。杉は比較的安価※、性格が素直でまた杢目がヒノキに比べはっきりとするため、様々な仕上げに使われている。一般的には杉は赤みが愛でられるが、私は赤白の混在も好きである。この扉の框材の赤白の混じり具合の曲線と、面材に使った木目の現れ方がとてもよいバランスと感じる。このように木目面材を指定すると扉の値段は急に跳ね上がるが、今回は建て主さんの木へのご理解と建具屋さんが持っていたのか2枚の板はぎで予算内で作製できた。杉の白赤と板目は専門家うけはしないので積極的にお薦めしていなかったが、この良さを理解し合える建て主さんがいらっしゃるとはっきりわかったので、今後は自信をもって薦めたい。
※国産木の中で最も安価な樹種は杉で、また最も高価な木も杉である。それほど杉という樹種は巾が広い。

巾は少し広めに設計。中間の踊り場で90度曲がる階段となっている。踏面250mmで蹴上げ190mmで勾配は37度と緩やか。

次ぎに室内階段。

この階段素材は「コルク」。初めて使ったが、その感触はたいへん優しい。使用の経緯は建て主さんからの問い合わせである。室内犬が家族の一員であり、上り下りで滑らないことと、少しのクッション性が必要だということで、コルクはどうか?と訪ねられた。床は風呂や普通の床でも使った事があり、その足触りも知っていたので、最適だと思いそのまま計画した。

コルクの素地をいかした仕上げでコーティングは最小限度になっているので、ざらつき感があり滑りにくい。段鼻は少し盛り上がりスリップ防止となる。

次ぎにバルコニーである。

バルコニーは当然雨で濡れる。このため湿気で簡単に腐らない素材が必要である。とは言ってもプラスチック等は使いたくないという方には、このアイアンウッドがよい。金属の手すりとの相性もよく、今回はパラペットを設けないで木だけで出来ているかのような意匠としている。この思い切りがよかった。

バルコニー床を2段の納まりとして設計。これでスノコだけが見えるパラペットレスとなる。

この下階に倉庫があるのにまるで地面から直接設置されるバルコニーと同じように床の見切りとなる。そして重厚感のあるアイアンウッドとステンレスのヘアーライン仕上げの素材感はいつ計画しても感じがよい。今後もこちらも広く設計に盛り込みたい。しかし・・・

手すりコーナー柱がなく軽い感じとしている。

周囲環境と屋根の出(軒の出)が1300と大きく出来たことが、このエッジの効いたバルコニーの条件となっているので、安易にこのままどこにでも採用とはならないことは説明するまでもない。

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