サッシ交換のためバルコニーのパーゴラを外し始めたのが5月3日。あれから40日経過してサッシがようやく届き、工事が再開されている。場所はご覧のとおり、日本海の真ん前。西日が容赦なく照りつける過酷な環境である。
本日ようやく熊本の家の実施設計が終わりA2用紙で75枚と結構な枚数になった。この3週間は厳しいスケジュールで、ブログの更新もほとんど出来ず、先週はスタッフ総出で図面完成に団結、約束通りの期日で終了した。そこで今日の本題・・・32年経た高断熱高気密住宅の壁の中の実態である。
その1で説明したとおり期待の解体工事が始まった。
不安の外壁をはがすとそこには・・・
意外と健全な透湿防風防水シートがあった。この建物は新築後直ぐにこの外壁から雨漏れがあったので次の年に外壁を一度はがして直している。しかし完全に雨漏りは止まらず10年くらいほっといて、その後木の外壁を新たに貼るときに木の下にタイベックを仕込んで2重の構造となっている。上の写真はGWを守る本来の透湿防風防水シートで商品名はタイベックある。32年前の商品でその施工を考えると劣化はそれなりにあるが十分な耐力を維持していると思われる。
逆に2重目の16年前に貼った透湿防風防水シートでメーカーは不明。こちらは、32年前のシートより劣化が進んでおり、引裂強度がずいぶん低下していたように思う。しかし西日で加熱される環境はこちらの方が悪いので同条件での比較はできない。
さて今回の最も関心事である外壁内のこと。築後初期で外壁からの雨漏りもあり、内部まで水がしみ出てきたにも関わらず、32年間一度もこの西側の外壁内をみたことがない。最低でも複数回外壁内は完全のびしょびしょになっている。また夏型結露を起こすには最も最適な環境であるこの拙宅。それは32年間のうち4年間を除いて28年間6月から9月にかけて冷房を24時間家中で運転しており、且つこの西側は直射日光と海の反射日射によるダブル加熱で相当温度が上がっている。夏型結露は温度が上昇するほど起こりやすい。しかも・・・GWの105mmを写真のとおり決して綺麗に施工しているわけではない。この時代の断熱材は悪者にされていた。
また高密度のGWに透湿防風防水シートが押されて通気層が狭くふさがってしまっている箇所がある。施工を自身で行った方ならわかるが、高密度のGW+透湿防風防水シートだけだと通気層が効果的に施工できないことが多い。近年は面材による耐力壁を使うのでこの問題がなくなっているが、逆に付加断熱で高密度GWを使う時に起こりやすくなる。写真の2枚目もじっくり見ると透湿防風防水シートが押されて膨らんでいるのがわかると思う。
もう一度壁構成のおさらい。内部から
・シナベニア5.5mm
・防湿気密シート(当時の宇部さんの商品)
・高密度GW16kg(太陽SUN)
・透湿防風防水シート(タイベック)
・通気層18mm(マツ)
・外壁(窯業系で当時のクボタ)
ここまでが築16年くらいの構成
その後この外側に
・透湿防風防水シート(メーカー不明)
・杉羽目板
ここで16年で合計32年となる。
この基本構成で壁内部は健全な状態である。汚れは多数あるし虫の死骸も入っていた。このあたりはその3でお伝えしたい。