九州の熊本県で確認申請と長期優良住宅を申請を同時に申請してから2ヶ月後にようやく確認済証と長期優良住宅の認定通知書が発行された。
さて本題の前に昨日の「結局骨抜き?25年から始まる構造審査義務化」の続きだけ少し。
30坪程度の「緑の家」でもこの程度の構造図はある。構造計算をしていないからこそ構造図は最も大事な資料であるはずが、構造計算している建物だけに構造図が必要とは・・・やはり理解に苦しむ。
さて本題である。
こちらの熊本の家では過去一番の長い時間がかかった申請となった。時間がかかった理由は、確認申請を提出する前の事前調査書にまず手間取った。コロナ禍であれば、わざわざ役所に出向いて役所の担当者印をもらわなくとも良いはずだったと思われるが、どうしても来所して印が必要とのことで、新潟県から熊本市にそのためだけに伺うことは出来きるはずもない。建築課は丁寧であり全て電話・FAXで終わったのだが、課の違う下水水道系は頭が固く・・・「どうしても面前で」とのことで、結局建て主さんからわざわざ出向いてもらった。しかもその際に本人確認もいらない(身分証を提示の必要もなく)。ただ単に制度を変えると自分たちが面倒なだけっての印象さえある。
また床下が1.4mあることで、いつもより確認審査機関の承認が慎重となり、木の囲いではなく合板で床下の隔離壁を明記。その一方、長期優良住宅の基準では床下内のメンテナンスのために、できる限り障害がない進入が求められる。そのため合板で塞いだ隔離壁に再び戸をつけるような形が必要とのことで、出入り自由な開口部が合板に設置される。これなら合板で隔離壁をつくる意味はないと思うが、法律の解釈とは不条理なこともある。
しかしその気持ちもわかる。先日拝見した住宅業界雑誌には堂々と居室化された小屋裏収納の写真があり、説明文にも「主人のTV部屋である」と書かれている。確信犯で違法に見える小屋裏収納。しかも、2階平面図にはない秘密の部屋への入り口みたいな空間まで見える。階数に算定されない小屋裏収納などの条件はあくまでも「収納」であって、居室的使用ではNGである。こんな事が住宅の専門誌に普通にあるくらいだから、巷での違法小屋裏は相当数になるのだろう。階数の違法ということは、耐震性も違法していることになる。これではいくら性能が高い住宅を自慢してもはっきり申し上げて既に住宅として価値はない。既存不適格建築物と違い、確認申請時点での違法な建築物は中古として不動産取引が出来ないのである。
また長期優良住宅では「維持保全の方法」を明記するが、これを通常「建て主さんが主体となっておこなう」としていたら、市の担当者さんから「建て主さんが行うことはちょっと考えにくい」と言われたが、自身の家の維持保全を他の誰が行うのだろうと不思議に思った。あくまでも「主体」だから建て主さんがご自身で確認出来ないところはその時点で業者さんから見てもらえばよいだけのことである。担当者さんはさらに「普通は工務店が行う」とのようなことを言われたが、そもそも長期優良住宅は家の工事着手前に申請受理済みと決まっており、その時に設計は終わっているが施工が決まっていない事が、建築物は普通にある。仮に工務店さんが行うとしても、それが決まっていないときに建築主さん以外の誰の名前を記載するのだろうか。また大手でも会社が30年も存続できる保証はない。
更にこの維持保全の方法には重大な欠陥がある。それは長期優良住宅が始まる前の14年前に指摘している。↓
当時は水に濡れない限り恒久的に続きそうである「ホウ酸」系が防腐防蟻剤としてまだないころで、ほとんどが有期限の薬剤であったため、軸組には再び塗布する必要性があったはずである。しかし維持管理計画にはその部分が故意?にぬけている。