新潟県における大地震の想定②    最悪な想定をする。

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最近「緑の家」のブログは超高断熱高気密の内容より構造の話題が多くなっている。これは超高断熱が既に認知されてきているので、「緑の家」としては特にこれ以上一般的な情報を伝える必要性がなくなったと判断しているからである。そして今後の耐震関連と6年前から次の関心事であるカビについて、更に多くの内容を発信したいと思う。

長岡平野西縁断層帯で地震が起きたときの液状化の危険度

長岡平野西縁断層帯にマグニチュード8クラスの地震が起こると震度6強の地域が中越地方のほとんどとなるが、そのうち面積的に半数くらいが液状化も同時におこるとように見える図が上である。当事務所のある三条市はその中心で有り、少なくとも地震で死亡する原因の第一である建物倒壊防止を生業として携わっているが、これも運命なのかと思う。

さて今日の本題である「最悪想定する」であるがまずは一昨日のNHKニュースの話である。

柏崎刈羽にある原発の東電と住民の意見交換で、「大地震で過酷事故が発生した際に、自宅避難があげられている地域があるが能登半島地震を見ると、家屋での待機や避難が出来るとは到底思えない程家屋が全壊しているが、対策があるのか」のような質問があり、東電側は「検討してお答えします」にとどまった。

1月1日の能登半島地震では原発周辺だけ震度5強であり地盤の悪さが露呈しているので質問はもっともである。この震度分布図は気象庁HPから。

まあ普通に考えれば至極まっとうな想定だと思うが、このような事を全く想定していないまま、過酷事故の際の避難方法を提示しても絵に描いた餅状態だといえる。隕石が落ちて過酷事故が起きるならまだやむ得ないが(とはいってもそれは家屋が無事だからよい)、原発の過酷事故の発生の原因の第一位は間違いなく大地震である。その際は新潟県が報告した柏崎刈羽で大きな震度になる長岡平野西縁断層帯の地震では建物倒壊は16万棟におよぶ。それを考えると、自宅待避はありえないだろう。そもそもその自宅が全壊して電気も水もないのだから。その被害をもたらす想定が長岡平野西縁断層帯での地震である。

平成30年の新潟県内の住宅戸数は84万戸。このうちこの中越地域の個数は倒壊数は16万棟だから多くの家は全損や半壊になるだろうとした場合、自宅待避は止めて即時避難に方向転換すると・・・

報告書から抜粋。地震時赤はほぼ不通の道路。

長岡平野西縁断層帯で地震がおきると、柏崎刈羽からの中枢道路であるR116とR8号は赤い線となっておりほぼ不通となると考えてもよい。また当然高速道路は震度6に見舞われれば即時通行止めである。となると直ぐにも逃げられないことがわかる。

この図の状態は冬期なのか夏期なのか条件がどこにあるか読み取れないので、はっきり言えないが、もし冬期の積雪時なら事はもっと深刻である。

そこまで悪い想定しなくともよいというならそのようにはっきりと言えば良いだけのこと。大地震で過酷事故が積雪時におきたら各時勝手に考えて避難してくださいとなる。誤解が無いようにいうが、私は既にある原発の稼働反対ではなく、正しい情報公開してその時に備えればよいと思っている。つまり自身の家の耐震性をどのようにするかは、最悪な場合をまず想定して決めるはずだが、その最悪の想定が合理的な想定でない場合、間違った耐震化をすることになる。

そこでどのように家の耐震化を考えるかはその③としたい。

私はいつも申し上げているがリノベーションは慎重にあるべきだと思う。しかし耐震化は直ぐにでも行うべき事だと思っている。リノベーションと耐震化の違いは、その言葉の通り耐震化とは家の倒壊を免れるための補強だけ行うこと。震度6強クラスがくれば家は全壊するが「倒壊」しないことが重要である。それを耐震補強と定義としてその③の話を進めていく。一方一般的なリノベーションでは用途を変えたり使い勝手や快適性を上げつつ、現在の新築住宅と変わりない耐震性(震度6強で中破以下の損傷)まで引き上げることが依頼する側、つまり建て主さんの期待していることであると思う。このことを明確にしたい。

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