来年からの高気密高断熱の義務化のせいなのか、一台のエアコンで冷房する家が再び増えてきている。「緑の家」の性能でも一台で冷房することは全く問題ない場合が多いが、6年前の2018年から可能な限り複数台の冷房用エアコンを設置している。
常連読者さんならまたその事か?となるが、まだまだ高気密高断熱住宅の初心者(取り組んでから5年以内)さんが多くその事は伝わらないので、機会あるごとに何度もお伝えしていいる。
高断熱高気密住宅の欠点はずばり「夏はエアコンなしでは住めない事」である。高断熱高気密でなくとも最近の夏はエアコンなしで住むことは実質不可能で、高断熱高気密の家はさらにそれが顕著になる。
一方一昨日も「緑の家」のオーナーさんから「ドレン管が詰まったようで、室内機から水が漏れ出てきた」との連絡があった。このお宅では初めての経験だったらしく(築8年)、バキュームを備えていなかったのでホームセンターで購入することになる。しかしこちらの「緑の家」では2台の冷房用エアコンが備わっており、片方があれば致命的なことにならない。このように冷房用エアコンが2台あればなんてことはない。余裕をもってバキュームを購入することが可能になる。
田舎では通勤に車が必需品でありもしその自家用車が壊れたらそれはもう大変。すぐに代車を用意できなければ、会社を休むことになる。実は高断熱高気密住宅での冷房用エアコンも同じくらい大事である。この時期一日でも冷房が使えないとなると、家内は灼熱の状態となり床下エアコンの効く1階で寝ることになる。車なら現在家に複数台あるご家庭が殆どで、また最近の車は壊れにくいので、そのような心配は少ない。しかしエアコンが4年以内に壊れたり、長時間連続使用でドレン管内のつまりが多くなった。長時間の連続使用でのドレンつまりの問題は使い方で解決できる。ドレン管を詰まらせないためには、一日のうち12時間は冷房を運転をやめ、ドレン管内を乾かすことをすれば詰まる問題は激減する。
このためにも冷房用エアコンは複数台ほしいのである。それを実践している「緑の家」のオーナーさんはこちら。私が申し上げなくとも2台の交互運転で、エアコンのメンテナンスを最小にしている。
等級6以上の高断熱高気密住宅は、特にわずかな熱源で家中が温まることから、逆に夏季の冷房装置が必須となるので、一台のエアコンで冷房計画することは既に「無難」ではなく建て主さんにリスクを負わせることがはっきりしているので・・・できる限りやめたほうが良いと高断熱高気密に35年関わった設計者からの今回は忠告となる。
コメント
浅間 様
迅速かつご丁寧にご教示いただきましてありがとうございます。
質問の意図が分かりづらくすみませんでした。おっしゃるとおり壁付けした場合の壁掛けエアコンの暖房時高COP稼働方法で間違いありません。
可能な限り大風量を狙ってみます。
そして、エアコンアルゴリズムについてもありがとうございます。風量設定はあまり影響がないのですね。
それに関してもう一点お伺いできたらと思うのですが、エアコンによっては、(電力)ピークカット運転などの設定があり、最大電流値を抑えられるようです。
これを設定することで(定格以上などの)高負荷運転が抑えられ、結果として比較的高COP領域での運転時間が長くなると思うのですが、あまり効果はないでしょうか?(部屋の暖まり速度は遅くなりそうですが)
お忙しい中恐れ入りますが、よろしくお願いします。
kado様
>結果として比較的高COP領域での運転時間が長くなると思うのですが、あまり効果はないでしょうか?
先回の返信に付け加え訂正ですが・・・
エアコンの使用時間を含め家の断熱性能と使い方に依存しますので、もしエアコン暖房が基本的に24時間運転でない場合は、エアコンのすべての設定が「自動」がよいと思います。私が前提としているのは24時間運転で且つ家丸ごと暖房をしている場合で、その場合は「強風」運転が効果的な運用となりますが、一日のうち数時間でON、OFFする運転方法ではわかりません。その場合はメーカーの考える運転方法で通常COPも含めバランスが良いと思います。
ご丁寧にご回答いただきありがとうございます。間欠運転時等は、基本的に自動設定が良いのですね。
前提条件をお伝えできておらずすみません。
基本的には24時間連続冷暖房(春秋は必要な時のみ間欠運転)をしており、外出が長い時(2日以上程度の外出時)には停めております。
自宅の立地性能等は、
神奈川県 6地域
HEAT G2レベル(UA値0.45)
C値 0.2
1階2階共に約20坪(計40坪)の総2階
第一種熱交換換気あり
南面に大きめの窓があるため日射取得量はある程度確保できている状態
エアコン性能は、
1階に霧ヶ峰Zシリーズ 14畳用 暖房定格5.0kw 1台
2階に霧ヶ峰Zシリーズ6畳用 暖房定格2.5kw 1台
となっています。
現状では、1階のエアコンを自動運転で22〜23度程度に設定し、家全体を暖房することが多いです。
なので、浅間先生のご回答を反映すると冬の連続暖房時は可能な限り強風運転、春などの間欠暖房時は自動運転とすれば比較的高効率運転ができるのではないかなと認識しているところです。
何度もすみませんが、よろしくお願いします。
Kado様
>冬の連続暖房時は可能な限り強風運転、春などの間欠暖房時は自動運転とすれば比較的高効率運転ができるのではないかなと認識
諸条件からみて上のとおりで結構だと思います。よろしくお願いいたします。
浅間 様
お忙しい中、ご親切にご教示いただきましてありがとうございました。
また、冬も効率よく暖房できそうで安心いたしました。
今後もエアコン記事をはじめ更新楽しみにしております。
浅間 様
お世話になっております。
いつも大変参考になるブログ記事をありがとうございます。自分なりにネットや書籍で学習していたつもりでしたが、特にスローリーク問題やエアコンの定格容量の半分程度がCOPが最高になるという点は全く意識したことがなくとても驚きました。
以前、浅間先生は暖房に関して、床下エアコンの場合は、容量の大きめのものを設置した上で、風量を最大で固定して運転すると書かれていました。
もし床下ではなく、壁掛けで設置している場合は、高COPを狙うには、快適性を損ねない程度になるべく大きい風量設定にするのがよいのでしょうか?それとも、風量自動でエアコン任せにするのが良いのでしょうか?
※大きい風量設定にしてしまうと、運転開始時などに一気に定格運転以上の負荷がかかり、(COPの悪い領域で運転したうえに)設定温度にすぐに達してしまい、定格運転の半分程度の負荷があまり出せず、オンオフ運転になる時間が増えてしまうのではないかとも考えており、設定に悩んでおります。
お手数ではございますが、ご教示いただけますと幸いです。
Kado様
コメントありがとうございます。
>もし床下ではなく、壁掛けで設置している場合は、高COPを狙うには、快適性を損ねない程度になるべく大きい風量設定にするのがよいのでしょうか?
この質問が「暖房時」の壁掛けエアコンによる壁付けの場合の高COP稼働方法なら・・・おっしゃるとおり、手動で「快適性を損ねない程度になるべく大きい風量設定にするのがよい」になります。ですがエアコンの設置位置によっては難しい場合があり、可能な限りということでよいと思います。
>※大きい風量設定にしてしまうと、運転開始時などに一気に定格運転以上の負荷がかかり、(COPの悪い領域で運転したうえに)設定温度にすぐに達してしまい、定格運転の半分程度の負荷があまり出せず、オンオフ運転になる時間が増えてしまうのではないかとも考えており、設定に悩んでおります。
一般的にエアコンのアルゴリズムは、設定温度と室内温度差(外気も多少考慮)で決定されるため、風量設定の影響はあまりありません。よってまず気にする必要はありません。但し風量の中で「強」の上の「速暖」とかの表示あるときには風量の影響を受けるかもしれません。