2020年建築学術講演梗概 その1

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この季節になったが今年はCOVID-19の影響で発表は中止となった。一方梗概集はDVDとして手元に届いたので気になった論文を数点紹介する。その1は・・・

人種の差などの誤解を恐れず研究している論文の発表である。人種の差ではなく生まれ育った環境が温湿度に対し体の感受性の違いがあるかは純粋に知りたい。過去にも同様な検証があったとおもうが、エアコンの完備された居住生活が当たり前になったこの時代の報告数は少ないはず。数年前、著名な環境学者の集まりで交わされた「相対湿度は快適性に影響を与えることは少なく、人はRH(相対湿度)に鈍感である」との発言にその2で紹介する論文と合せ影響を与えるかもしれない。

被験者は暑い地域で育った4人と日本国内で育った5人。実はこの9人の経済的背景もファクターとして公開してほしいところ。暑い地域でもエアコンがある邸宅で育った人と、ほぼ路上とおなじようなの住まいで育った人とは同じ暑い環境でも同じ環境とは言えない。これは日本でも同じで、拙宅みたいに24時間エアコンで空調された家で育った人と、エアコンのない家で育った人がいるだろう。今回の感染症もそうであるが、人に対する影響を調べる場合、あまりにも多い因子がありそれらを揃え,整頓するのはとても難しいのである。

まず28度RH70%時の体表面温度の平均である。平均で良いのかはわからないが、調べると確かに差が出る。以前こちらブログでおでこの温度でなぜ36.6度がわかるのか?と疑問だったその裏付けは上の表でもおなじ。額の表面温度は35.5度。環境条件が28度RH70%だからこんなものであろう。室温が23度なら35度になっていたかもしれないが、36度台ではないからやはり補正されて36.7度になっていたのである。補正が出来れば前腕の33度でも36.7度とわかるかも・・・。

発汗量にも差が出る。特に32度RH70%という酷暑のような条件での発汗量の差は大きい。これを見る限り外気の温湿度による快適性も育った環境で変わる気がする。

続報が楽しみな研究である。

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