
S造の倉庫をリノベして超高断熱の「入り子構造」で模様替えした新事務所の打ち合わせスペースの大窓は遮熱型のトリプルガラスを使用している。その紫外線カット率は95.3%(JIS R 3106による)であり、残りの極わずかな量である4.7%の紫外線(この場合特定の紫外線)しか入ってこないが・・・

その4.7%の紫外線だけで4週間でこのくらい床が焼ける。なぜこの変化が紫外線だと断定するかはその跡にある。

今回巾3m高さ2.2mの7m2を超えるブラインドを窓に設置するために、脚立設置にあたり机を動かした。

すると設置後4週間でもう足の跡(色が白い)が床に残っている。


跡の形状をみると、窓側のほうが境界線がくっきりとしており、左右はぼやけはじめ、後ろ(窓とは反対方向)の境界は曖昧になる。もし酸素による化学変化ならこのように方位によって境界が変わることはなく均等に変わるはず。窓面だけ境界がはっきりしているのは直達日射による紫外線がやはり大きい方向だから。紫外線は可視光線よりさらに散乱光の割合が多いので、窓方向でなくとこのように色が変わるのである。また窓から離れている足の下はさらに境界がぼやけているので、やはりこれは紫外線による変化と断定できる。

ゾッとしたのは、この窓ガラスは95.3%の紫外線をカットする遮熱型ガラスであることと、新潟県の冬季で1月から2月の間は、日射はほとんど望めない気候でああり、実際吹雪や雪の日が殆どだった。それなのにこの95.3%をカットするガラスでたった4.7%の侵入でもこのように変化が簡単に起こる。これならやはり人の皮膚にも影響は大きいだろう。やっぱり予期しない紫外線は避けたい。当然屋外でスポーツするとか買い物するとかで、浴びることを意識しているときにはよいし、健康上も体の一部でもよいから紫外線を一定量浴びないといけないが、あくまでも予期していないところの「目」や「顔」に浴びるのは好ましくない。目には白内障の原因にもなり、顔にはシミそばかすの元といわれる。

このように優しい無垢材の「無塗装材」を使うと、何が問題であるかがよくわかることがある。この紫外線による焼けを防ぐために「塗装」するのは当然お勧めしない。現代は紫外線を防ぐガラスがあるのでそれらを使うことがまず一番お勧め。優しい建築を目指す「緑の家」では、高断熱のガラスは省エネばかりしか考えない日射侵入型より、間違いなく遮熱型ガラス(紫外線も防ぐ)をお勧めする。これは2023年に決めたことで、「緑の家」は人にも木にも優しい内装を目指す。

いつも私はあることについて年数を気にする。いつ何をしたか?という事を明らかにすると、その家の本質が見えてくる。「緑の家」が等級7又はG3基準の超高断熱住宅を宣言したのが18年前の2007年で標準化したのは、今から16年前の2009年である。住宅には何が大事なのかを真剣に考えると、世の中より15年以上先の仕様が見えるのであり、これはローンを30年間払う建て主さんにとって最も大きな利益になる。