蕗の薹も既に終わりかけの3月中旬ではありますが、一昨日から本格的な冬と変わり無い天候の新潟県で、ここ三条でも既に15~20cmの積雪です。そんな中でもインフルエンザはその流行が既に終わっていますが、それでもその話題をあえて一つ・・・。
つい最近の査読論文からです(青字青線は浅間の加飾)。
筆者は岩下先生で、タイトルは・・・
「温湿度を用いた冬期の小学校におけるインフルエンザ発生に関する時系列分析」
となっており、最後の語意の「時系列」が新しいテーマではないかと思われる論文です。
昨今・・・
高気密高断熱住宅と健康の関連がトレンドになっておりますが、30年近く前から言われているRH(相対湿度)とインフルエンザウイルスにも少し触れているので、その点でもご紹介いたします。
最初に論文の目的ですが・・・
とあり、様々な見解がありまだ確立した理論はなくそこで筆者は、数日間の潜伏期間がある病気のため、時系列から見た解析を試みていると受け取れます。
実は私は25年以上前からRH(相対湿度)に対し、インフルエンザウイルス罹患から見ると40~60%が良いと信じておりましたが、最近これは確かに要因の一つではあるが、それよりも人の体の状態(免疫、体力、体温)の影響の方がとても大きいと考えており、インフルエンザウイルスのためのRH(相対湿度)管理は神経質になる必要はないと考え直しております。この事は数年前からのブログ記述でも私の考えの移り変わりがわかると思います。
今は、新潟県なら冬期室内RH(相対湿度)は30%以上あれば特に何らかの影響があるとは思えず、ただ木のやせ・変形から見るとRH(相対湿度)40%台が良く、一方RH(相対湿度)50%以上では樹脂サッシ枠の結露が発生する可能性が高くなるので結局RH(相対湿度)35%から45%が適当(新潟県平野部)との私の考えです。
私の考えともあれ、
先ずは論文の結論ですが・・・
とあり、単変数の解析では体の要因ではない今回の変数においてあまり影響は見られず、重回帰分析でも際だった変数の影響がなかったように見受けられました(私感です)。
大事な事は空気中に沢山ウイルスが存在していても罹患しなければ人に問題がないはずで、インフルエンザウイルスの空気中の生存率で罹患数が大きく変わるのか・・・ということです。このような人と健康の関連は単純ではないことが多く、また人体実験も出来ない事から、このような事を利用してちょっと胡散臭い健康ビジネスが流行します(大根を食べれば胃癌になりにくい等)。
筆者は上のグラフから相関性は殆ど見られないとしております(間違って解釈していたなら謝罪いたします)。
外気温度はと絶対湿度と欠席率は僅かに関連がありそうですが、これは外気温が上がれば体温維持が低温時より安定可能になるので、それによる免疫力が下がらなかったともいえ、単に外気温が低いからインフルエンザ罹患率が上がるとは言えないのでしょう。またこの統計は小学校におけるデータなので、校外生活時においてインフルエンザ罹患率を上げる原因があるのかも知れません。
話は少し変わり私感ですが・・・
上は25年前から高気密高断熱の実務者の中ではよく使われた図です。出展はASHRAEかR2000のマニュアルだったか定かではありませんが今となっては重要ではありません。
この図からRH(相対湿度)40~60%が良いと考え、家を取り巻く環境を深く考えずに一律40%~60%が良いと考えておりました。2014年以降は、RH(相対湿度)はウイルスでは無く木の変形などから30%以上が望ましく、一方樹脂サッシの枠の性能から新潟県ではRH(相対湿度)50%以下が望ましいと考えが変化しました。ここで重要なのは「新潟県」では・・・という条件で、ここが北海道(札幌)になれば表面結露問題から上限の相対湿度は下がりRH(相対湿度)25%以上~40%以下になるとも言えます。逆に東京になればRH(相対湿度)25%以上~55%以下に変化します。大事な事はその家取り巻く環境によってふさわしいRH(相対湿度)巾が変わることです。
ウイルスに対する抵抗は通常体の免疫によるのもが多く、24時間家の中に引き籠もっていられるなら別ですが、社会との関わりがあれば家の中の環境による罹患の影響はとても低いと思われますし、そのような結果をこの論文から見て取れます。
この論文筆者は公立大学の教授職であり論文公開に問題があるとは思えませんので、浅間の偏った解釈説明ではなく全論文を読みたい方のために、ここにCCE20170308_0003置いておきます。