2019年版の換気について ③ 風呂場に換気は必要か?

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さてようやくCF(循環ファン)の話になる。

お風呂場に6年前から標準設置されているCF(循環ファン)は所謂換気扇ではない。そもそも日本の風呂場に排気用換気扇は概ね必要無いはず(高断熱高気密住宅)。この2019年建築技術1月号でさえそんな記載はない。・・・Orz

お風呂場に換気扇ではなくCF(循環ファン)の設置を。

換気の定義をおさらい・・・。

2019年建築技術1月号によると換気とは、

①「空気の清浄」と②「結露防止」になる。

さて・・・この二つにお風呂場が該当するのだろうか?

①の空気の清浄は当てはまる気もするが・・・

実際の生活を思い浮かべよう。

夏季を除く入浴中に換気扇を回して入っている人がどのくらいいるだろうか?ここで8割の同意が得られると思うが・・・

少なくとも私は止める。つまり・・・

人がそのお風呂場空間を使う時は換気扇を止める事が現実に行われていること使用中は空気の清浄は必要無いと判断している

これは換気すると一重に寒く感じるから。

入浴中の浴室の適正温度は30度前後との研究結果がある。他の部屋より圧倒的に高い温度でないと日本人は入浴が快適と感じないのである。

となると①は該当しない。元々外釜のお風呂であれば、空気汚染を引き起こす因子は人そのものだけで安全性に影響はない。

次に②の結露防止であるが、これは言わずもがなであり、結露して当然の部屋なので結露防止は必要無い。

そこでお風呂に必要とされるのは・・・使用後の

「早期の乾燥」

であり、換気ではない。

その乾燥の目的はカビの防止・・・。

これだけである。

よって乾燥を早期に実現する為に最も現実的な装置が

浴室内への大量の送風(気流)機なのである。

これを排気用の換気扇で行うと、冬期や夏季に大量のエネルギーロスを生み出すのである。冬期だけでなく「夏季にも」が最も大事な認識すべき現代の住い方なのである。

ではなぜお風呂場に排気用換気扇を設置するのが当たり前の考えになっているのか?

ここから私の推論であり以前にもこのブログで詳しく紹介したが、

空調文化(暖房文化)は北米や欧州からもたらされたので、そこでの基準は日本の室内環境研究に大きな影響を与える。

北米や欧州ではお風呂場がトイレとなっている事があたりまえ。そう、日本のホテルと同じと思ってもらえればよい。一般的な認識ではトイレとお風呂場は一体の空間なのである。

では日本の旅館はどうだろう。最近は旅館でも家族風呂が設置されている部屋もおおくなっている。

この時、お風呂場に便器があるだろうか?

一般的に風呂場に便器などないのである。

日本人はお風呂に対し、リラックスし身を清める等とする空間認識があるが、北米や欧州(北地域)では体を洗うための空間であるとの認識が一般的ではないだろうか?だから便器がバスタブの横にあっても気にならないというか、それがセットであたりまえなのである。

もし日本の浴室に便器があったらリラックス出来るのか?出来ないとわかっているので、旅館の家族風呂はあえて別々な空間になっているのである。

さて話をまとめると・・・

北米や欧州(北地域)ではお風呂場は便器もあることからダーティゾーン(汚い空気の部屋)になっており、ここの空間の空気の清浄をする為に排気用の換気扇が必須である。この本にも「トイレ、風呂、キッチンから発生する汚染物質を対象として・・・」との記載があり、それが水蒸気とあるが、

しかし・・・水蒸気自体は人にとって汚染物質では無い。実際水蒸気が引き起こすカビが汚染物質とこの本にも記載がある(下図)。ここが今回のブログのポイント。

著作権の問題もあると思うが、今回の記事の重要な部分なので建築技術2019年1月号から抜粋させて頂いた。

日本において風呂から水蒸気以外の汚染物質が発生するのだろうか?シャンプーの香り?石けんの匂い?その全てがその香りが好きで意識して持ち込んだ物と捉えるているから、私は水蒸気だけなら排気用換気扇の必須性はなく、他に早期に乾燥させる方法があればそれで良いのであると考える。つまりUB風呂の壁天井が濡れている水分はわずかコップ2杯くらいなので、そのために大量の排気をする必要がないが私のCF(循環ファン)持論。

早期乾燥をする為に、大量の空気の送り込みする器機が「緑の家」のCF(循環ファン)となる。風量は大きいほど早期に乾くのでカビ発生の確率が下がる。

先に述べたとおり換気文化は北米や欧州(北地域)からもたらされた。その基準に従ってお風呂場に排気用の換気扇が設置されることになったので、お風呂場に排気用換気扇が必須だと多くの人が疑いもなく信じ切っているのは残念である。しかも風量も40~75m3/hと夏の乾燥には全く力不足である。浴室換気量は100m3/hとこの本(上図の表)にも書かれているが、局所換気で100m3/を24時間実施したら、熱交換換気扇の換気量は50m3/hしかない。

さて最後に・・・

お風呂場CF(循環ファン)の目的はお風呂場の早期乾燥であり、冬の加湿装置としているわけではないが、その所がよく誤解される(雑誌取材でも何時もそのように誤解される)。これはもう6年前からお伝えしているが、CFは今だお風呂場湿気の利用だと思われているが、それは間違いである。なぜなら「緑の家」では入浴後1時間は排気用の換気扇で湿気の排出を推奨しているし、そのように住まい方の説明している。

新潟県くらいの準寒冷地程度では、過乾燥の問題は全熱交換型換気扇を使えばほぼ無いので、お風呂場の湿気を使おうなんて気はサラサラない。無論・・・湿気=熱なので熱を逃がさないと言う点は良いとしている。

Simeri2

特に夏季、科学的にCF(循環ファン)の優位性がわかる湿り線図。この説明は<br />https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/wp-admin/post.php?post=6175&action=edit

お風呂場のCF(循環ファン)も最も凄い効果は夏季になる。

夏季に大量の空気をお風呂場に吹きこんでも全くエネルギーロスが無いことが最大のメリット。過去に計算した時、夏季において排気用換気扇がCF(循環ファン)より30倍も多くの熱ロスとなった。この夏の空調時に換気した条件を今回のこの建築技術でも一切ふれていないのは大変残念である。

各研究機関には是非夏季の実測など行って頂きたい。まあ、計算すればエネルギー優位が直ぐわかるのでその実測より、なにか不具合が出てくるのか?例えば室内のTVOCがあがるとか・・・?等である。

今年最後はCF(循環ファン)の話。来年もお風呂場CF(循環ファン)の議論をし、超高断熱高気密住宅の業界にCF(循環ファン)を浸透させたいと思っている。

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コメント

  1. 山本 より:

    浅間先生

    早速のご対応ありがとうございます。
    天井に設置される浴室換気扇は、シャッターが付いていても熱損失が大きいイメージが有り、窓で太陽しようと考えていましたが、日々操作する事を思うと、タイマースイッチで管理できる排気型換気扇もいいですね。

    調べれば調べるほど、細かいところまで配慮されている「緑の家」の凄さがわかりました。

    ありがとうございました。
    大阪で見学会があれば是非参加したいです。

  2. 山本 より:

    浅間先生
    いつも楽しくブログ拝見させていただいています。
    生まれ変わったら浅間先生にお願いしたいと考えています。

    浴室CF及び浴室換気扇について質問です。

    以前、「浴室換気扇は不要になる」と提言されていましたが、先日「入浴後1時間は排気用の換気扇で湿気の排出を推奨しているし、そのように住まい方の説明している。」このコメントは浴室CFがあっても、浴室排気用換気扇が必要と言う事でしょうか?

    それとも、浴室CFと窓を開けて湿気を1時間ほど排出し、そこから窓を締めて循環させ浴室を乾燥させるという事でしょうか。

    詳しく知りたいです。
    よろしくお願いいたします。

    • Asama より:

      山本様 
      コメントありがとうございます。

      >浴室CFがあっても、浴室排気用換気扇が必要と言う事でしょうか?

      「緑の家」では冬期の湿度調整をするためお風呂場には排気型換気扇も設置するのが標準です。

      >浴室CFと窓を開けて湿気を1時間ほど排出し、そこから窓を締めて循環させ浴室を乾燥させるという事でしょうか。

      そのように排気型換気扇はいらないというオーナーさんもいらっしゃいます。
      脱衣所との出入り口を閉めて浴室の窓をわずかに開けながらCF(循環ファン)が廻っていれば実質排気用換気扇と同じ働きをしますので。

  3. N より:

    風呂場がダーティーゾーンでないことは同意です。
    それに加えて玄関とトイレも現代においてはダーティーゾーンにはならないですね。
    トイレは便座についている脱臭ファンで臭いは吸い切れますし、玄関にしてもきちんと靴を4足以上でローテーションしていれば臭くなることはありません。
    革靴が臭くなるという人がいますがローテーションの間隔が短すぎるか手入れがなっていないからです。ちゃんと手入れされた革靴が臭くなることはありえません。
    現状真に汚いのは台所だけですね。それにしてもIHにするだけで相当の防臭が達成できます。

    • Asama より:

      N様 コメントありがとうございます。

      >ちゃんと手入れされた革靴が臭くなることはありえません。

      なるほど、手入れの問題・・・。私の足のせいではなかったのですね (笑) 。

      • N より:

        特にローテーションの間隔が短いとだめですね。
        最低3日は開けないと汗が抜けきらずまた汗が追加されます。
        一週間で気軽に洗濯できる布団カバーと違って乾きにくい革靴でそれが積み重なればそりゃあ臭くなります。
        自分も2足くらいでローテーションしてたころはものすごく足も靴も臭かったんですが、5本指靴下+6足でローテーションするようにしたら本皮より臭くなりやすい合皮の靴でもほとんど臭いがなくなりました。

        人によっては5日間開けた方がいいというくらいローテーションの間隔は重要ですので試してみてください。日々のブラッシングよりも重要です。

  4. 木下 より:

    私も超高気密高断熱住宅について考える中で、風呂場には大量の送風能力こそが必要であり換気ではないと考えていました。先月竣工の家に住みはじめて実感していますが、この考えが正しく、あと5年もすれば皆真似ると思います。我が家はそうは言ってもという部分があり風呂場にはロスナイにしましたが、故障時は外へのダクトも撤去しCFに変更します。

    • Asama より:

      木下様 コメントありがとうございます。

      >あと5年もすれば皆真似ると思います。

      そうあってほしいと思いますし、そのためには今年あたりまず論文がでないと・・・。

      浴室に使う事のできるロスナイ機種品番を差し障りがなければお教えください。

      • 木下 より:

        浅間様
        言葉足らずですみません。お客様向けに使用して問題ないロスナイは存在しないのでないでしょうか。
        我が家は在来でガラスドアで繋がった脱衣所と合わせロスナイ、排気型換気扇、ココタス、サーキュレーターの4種類で運転パターンを変えてセンサーで様子を見てますが、湿度の高い時はココタスとロスナイはスイッチを入れません。
        高気密高断熱の乾燥感、メインの換気のスペックシートが信用できるかなど色々考えて一旦こういう構成にしましたが、風呂場はサーキュレーターで良かった。ココタスは別の設置意図ですが。
        ロスナイを撤去して排気型換気扇のダクト位置を変更すれば近い形にはなります。
        今後も本ブログを楽しみにしております。

        • Asama より:

          >言葉足らずですみません。お客様向けに使用して問題ないロスナイは存在しないのでないでしょうか。

          探すと一応ありましたが天井付けダクト用ロスナイ(個別型)の一機種とバイパス回路をもつ(原則熱交換しないRA口として)天井埋め込み型のロスナイ(セントラル)です。

          全熱交換素子は水蒸気より水滴に溶け込んだ洗剤成分や香り成分に弱いので長期的な熱交換が難しいようです。

          木下様の拘りの設備に驚いております。

          • 木下 より:

            まさに我が家のが三菱の天井付けダクト用ロスナイです。弱で効率70%とはいえ浴室は20度以上、外は寒冷地なので入浴中は停止ですね。湿気を排出するため最後の人がスイッチを押すルールにしてます。浴室の換気扇は湿気を出したいので、全熱はできても売れなそうですね。