2019年版の換気について ②

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その①で、

第Ⅳ章はp110からP115 で「必要な換気量は?」の続き。

おさらいであるが・・・

換気とは、

①「空気の清浄」と②「冬期の結露防止」になる。

空気の清浄とは、人の生活が空気を汚すのだから人が「滞在する空間」には換気量が必要。これは誰もが同意出来るだろう。ここで換気とは外気からの給気とする。給気されれば必ずその空間へは外気が入るが、排気では必要な場所に外気が入っているのか明確ではない。トンネルや地下工事でも同様で換気とは外気からの給気が確実である。

では滞在時間を仮定してみる。

条件 家の延べ床面積 100m2(30坪)
家族4人(大人2人、小学生の子供2人)
父 サラリーマン 母 パート(10時~16時)
休日の土日
活動量でみた換気量 就寝時20m3/h人、それ以外30m3/h人

上のようなスケジュールは一般的だとおもう。上からわかるとおり個室・寝室の割合は半分であり、居間(LDK)もほぼ同様となり、当たり前だがこの二つの空間をキチッと換気すれば良いことがわかる。そしてその時の換気量は一日平均で85m3/hとなる。一方一般の換気システムは固定風量のためこの中で一番活動量多い時間帯に合わせると120m3/hが必要。よってこの家族は人の活動量から120m3/hの計画換気となる。

しかし・・・一般の換気システムは人がいないからといって勝手に止る事はなく、寝室と居間(赤字の換気量)が同時に動くことになるので寝室・個室の80m3/h+居間の120m3/h=200m3/hとなるがこれでは多すぎるから、居間と寝室のどちらかの換気量を減らす事にする。ここで設計者の換気に対する考え方が見える。

寝室45m3/h、リビング45m3/h時の中間期のCO2濃度。同じ45m3/hを給気しても戸を閉めた寝室のCO2濃度がリビングに比べ著しく上がりやすい事がわかる。

「緑の家」では・・・以前から申し上げているとおり、また実測の分析でも寝室・個室を優先する。

寝室・個室は気積が小さく且つ戸を閉めて他の空間とは分離する。また寝室・個室に付随して洗面所などのRAの部屋が一般的にはない。殆どが居間の近くに洗面所があるので、環気はほぼ居間を通ってRAに入ることになる。この理由で寝室の給気を優先するのである。つまり120m3/hが必要ならこのうち80m3/hを寝室・個室から給気を行い、残りの40m3/hを居間から行うのである。寝室に人がいないときの給気は綺麗なまま寝室をスルーし、換気が必要な居間を通ってRAに向かうのである。これで一応人の活動に対する換気量の理屈ができた。

一方換気量はシックハウス法からみて0.5回/時間の換気量が規定されているので、一般的な100m2の床面積の気積は250m3とすると125m3/hの換気量が必要なので、先ほどの換気量120m3/hと比べ多い方の125m3/hが換気計画量となる(家全体と考える時)。ここで温度差換気とか外風による換気を一切考えないことにする。これは換気量は可変出来ず一定と言う条件で内外の温度差が少ない季節もあり、また市街地に建つ住宅は外風の影響をほぼ受けない家も存在する為である。

よってこの仮定した家の換気計画は、

寝室45m3/h、各個室20m3/がずつで合計85m3/h。残りの40m3/hを居間の換気量とすると125m3/hとなる。

これが「緑の家」での換気量の考え方となる。

また冬の結露防止という役目もある。そのため人が集まる等で家の中で多量の湿気が発生したときは、125m3/h以上の換気をする事で速やかに湿気を排除しなければ結露する可能性が高くなる。よって換気量を倍程度までふやす簡単な仕組みを「緑の家」では確保している。この事くらいは想定内で、これを疎かにする換気計画は正しくない。

③に続く。

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