「緑の家」の窓は大変大きい・・・といつも申し上げている。
それを他の高断熱高気密の家と比較してみたい。
比較したのはHEAT20で岩前先生が発表された報告書の調査結果とである。
46棟のG1、G2住宅で4から7地域に属す本州に建てられた戸建て住宅の調査結果である。
高気密高断熱住宅で熱的弱点部分は窓である。通常窓の断熱性能は壁の1/5から1/10と大変悪く、Ua値を悪くする要因である。よって日射が見込める地域(太平洋側気候)以外は、暖房負荷を減らすためには窓が小さい方が有利。しかし‥「緑の家」の窓は大きく広い。
この調査では太平洋側の住宅が多くをしめているので、床面積に対し開口部は大きいかと思ってみると・・・
上の通り外皮面積に対し11%以上の窓を持つ住宅はわずか一棟。また延べ床面積に対する窓面積で33%以上の住宅も一棟となる。
一方「緑の家」でこの6月に竣工した大野町の家のデータをみると、
Ua値は0.21w/m2kで、外皮面積に対し11%以上の窓を持ち、延べ床面積に対する窓面積で34%以上となる。しかも今回のG2水準ではなくG3の基準さえクリアーする。
また8月に竣工した蓮潟の家では、
Ua値は0.3w/m2kで、外皮面積に対し11%以上の窓を持ち、延べ床面積に対する窓面積で35%以上となる。この2棟は「緑の家」では普通の窓量である。つまり全国的に見ても「緑の家」の窓は異常な大きさかも。
新潟では冬期日射が望めないので窓を大きくする必要性は無いが、でもこの調査結果の中でも一番大きいと言ってもよい開口率の家である。
その理由は・・・何度も申し上げているとおり新潟という地域性である。
冬期日射がないからこそ日中の明るさを求め、その明るさが豊かさの1つになると考えている住人が多い。
そして・・・
この裏返しとなるのが先回申しあげた夏期の日射遮蔽性。「緑の家」では大きな窓において高い日射遮蔽性を確保するため、簾が設置されやすいように必ず庇および簾留めとセットで計画される。
こんな大きな窓にもなんなく設置可能。
そしてこの必要性は・・・なんと!
HEAT20の委員長の坂本先生の提言として最重要事項となっている。
このことが示すのは・・・夏期冷房空調の標準化を示しており「通風」での冷房負荷低減はデメリットが多いとの宣言だと思われる(浅間の勝手な推測)。やはり時代は「緑の家」に近づく・・・と手前味噌。外付けブラインドはまだ高価なため家中につけるのは現実的ではない中、日射遮蔽が最も必要な場所は実は個室で、だから簾が最も現実的なのである。
更に我田引水としもう一つ・・・
今回のパワポには
G3水準になったときの代表たる壁構成例が示されている。
Ua値0.26w/m2kの時の6地区壁構成はなんと
充填GW105mmの上
プラ系外張り断熱100mmとなっている。
初めて温暖地でどうどうとプラ系で100mm越え断熱材が外張りとして表記された。
あぁーーー
11年前から付加断熱はプラ系100(120)mm断熱だけを使い続けてきた設計者としては何かむくわれた気持ちになる。付加断熱といえば新潟県では繊維系断熱材が大手を振って闊歩しており、プラ系外張り100(120)mmは異様な目で見られてきた。結露問題や言われもしない火が怖いとの非難でね~。
そしてなぜプラ系外張りがここに代表表記されるか?
当たり前!イニシャルコストを中心とした全体俯瞰で見たときに一番合理的な方法であるからだ。壁付加断熱は繊維系ではなくプラ系が今後の超高断熱壁構成のメジャーとなる。
G3水準が発表され、12年前から超高断熱への予言を信じて頂いた「緑の家」の過去のオーナーさんに胸を張ることができ、うれしい気持ちである。