土地条件が90%影響するのが住宅

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いつもの日経ホームビルダーの11月号にびっくりするような記事が載っていた。
それは耐水害仕様の住宅である。

こんな凄い家を造る一条工務店さんは凄いと素直に思う。詳しくは日経ホームビルダー11月号を購入してほしい。

それによると・・・

最大手ハウスメーカーの一条工務店さんが、その耐水害仕様の実験を行ったとあり、なんと1階の掃き出し窓上700mm程度まで家が水没しても一時間くらいは室内に水が入ってこないとの実験を行ったのである。これにはびっくりした。そしてなんて凄い発想であると感心した。
工場で作る車でも耐水没仕様(水上車等)は中々難しい。様々な配線や取り合いがあるのでその全てを完全にシールする事は想像もできない。水圧の発生しない屋根であっても雨漏りしないようにつくる事も意外と難しいのに、開口部を含め500kgw/m2以上水圧のかかるのに水が浸入しない家を造ったそうである。外壁の通気工法はどうなっているのだろう・・・もう家でなく飛行機のような密閉性であり想像もできない凄いことで感心させられる。しかも台風19号の大規模水害時のタイムリーな仕様である。

では・・・

「緑の家」もこのような耐水害仕様を考えるかと言えば・・・まず考えない。
耐震性の仕様は半永久的なものであるが、耐水害仕様はゴムやパッキン、シーリングなどで対応する仕様だとすれば・・・これらの材料には寿命があり、ゴム系はどんなに頑張っても20年でその性能を維持できなくなると思われ、またどんな些細な穴、所謂施工ミスでもあれば水の浸入は避けられない。「風」も屋根がオープンするが10年すれば雨漏りがおきる可能性が高いし、以前サンルーフがあった車は10年過ぎたら雨漏りが起き始めた。このように防水性の長期維持はとても難しいのである。

私は床下浸水の経験が・・・

10回程ある。私が幼少の頃過ごした三条市古城町周辺は三条市でも土地が低い地域で、梅雨時になると毎年床下浸水をしていた。朝起きると玄関土間が水浸しで鯉が泳いでいるのである。どこかの家の庭にある池が水没し鯉が逃げ、当時は鯉が高価取引であったため網を持って水の中に入った記憶がある。浸水しても床下内は断熱材もなにも無いので夏になれば勝手に乾き、生活にはほとんど支障はなかった。子供にとっては楽しみでもあったのが床下浸水だった。

ところが・・・

床上浸水はそうはいかない。家電製品は台の上に載せればなんとか大丈夫であるが畳、床はNG、壁も土壁だったので柔くなり数回受けると塗り直しになり大きな被害となる。

つまり・・・もし耐水害仕様を少し取り入れたい地域なら床下浸水は受容し床上浸水を確実に防ぐ事が重要。まず基礎断熱を止めて床断熱にする。床下を外部にする事がまず最初におこなう仕様である。そうすれば床下は外部であるためここに水が入って床下浸水しても被害は最小。現在の基礎であっても水抜き穴を設ければ直ぐ水は抜ける。その後中に入り石灰を撒くことでとりあえず終了。泥が多少あっても床下は外部なのであまり気にならないはず。

では床下浸水をどこまで許すかは・・・その地域のハザードマップを見て基礎の高さを決める。仮に予想浸水1m地域なら道路から敷地を300mm上げ、その上に基礎高さ800mm+土台100mmで1.2m上に床が来ることになる。床の断熱材を150mmとすれば断熱材を含む床水没は避けられる。

このような事で、耐水害仕様ができあがり、この仕様なら半永久の性能が維持できるのである。床下エアコン暖房は出来ないが何を優先するか?である。

もしそれでも・・・

床下エアコン暖房したければ2つの方法がある。一つは3階建て高床か、2階建て高床である。3階建て高床とは1階は車庫のみで他はなにも設けず2階、3階に居住区を設けること。つまり2階建てを少し持ち上げてしまうこと。持ち上げた下の車庫は水害時に簡単に対応できる。車らな自走して高台に置くことも可能だし、仮に水害で水没しても車両保険で解消できる。2階建て高床は同様に平屋を持ち上げたもの。

もう一つの方法は浸水する地域を選ばないこと。つまり土地条件が90%影響するのが住宅であり「その2」で引き続きお伝えする。

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