一番最初にお目にかかったのは数年前だったかと思う。少し古い家を購入され寒さは無論あるが、それより耐震性がほとんど期待できない状態であったため建て替えを決意された。やはり耐震性の確保は最優先される家の原点である。
小新という土地は標高0m地帯がほとんどである。現在は地域の高性能な巨大ポンプにより洪水になる心配はまずないが、玄関の位置は最も高い1400mm(玄関戸の一番下部分)とした。この高さで万一ポンプになにか起き冠水するような自然災害時には、家が浸水するまでには一定の時間が稼げる。その間に揚水ポンプが回復すれば浸水から逃れられる。一方地域によらず小新西の家のようにここ数年は全棟床高1500mmの高基礎であり、この状態ならAグレード標準の1500mm床高をBグレードにも標準にするべきか・・・。
そしてこの高基礎のメリットしてもう一つ。密集した市街地の住宅は、笹越橋の家のように2階に家族の間を置き、1階は個室にすることがある。このようにすると家族の間からの視界が確保されやすい。この時に周囲よりわずかに高い(1m弱)視線が気持ち良い。道路面は窓をできる限り確保し、2階の家族の間から見ると下の写真のとおり。
予定性能は・・・
設計積雪量が1mで耐震等級が3と高耐震、UA値は0.28w/m2と超高断熱の予定。
ところで・・・
先日木造住宅構造では第一人者である大橋先生のWeb講座に立ち寄った。そこで改めて自覚した。これは過去にも何回か申し上げているが積雪地域での耐震性は積雪が無い地域の建物と比較すると凄く高い。しかし雪の降らない地域(関東)は、雪が降ったときに地震がこないことで成り立っているし、雪が降るこの新潟県では最大積雪量の0.35以上の積雪時には地震が来ない前提で構造計算されている。また台風時には地震は来ない前提で構造計算されている。確かに台風がまさに来ているときに大きな地震が来る確率は限りなく小さいかもしれないし、過去の記録でもないので仕方ない割り切りなのだろう。しかし数年前おきた熊本地震での震度7クラスが連続して発生するという確率が少ない自然災害を目の当たりにすると・・・耐震等級は3以上が必要だと私は考える。仮に最大積雪量で地震が来る頃を考えて設計してとの依頼があれば行うが、見たこともないくらい耐力壁で囲まれた家になることは間違いないので、全体バランスで判断すると耐震等級3以上なのである。断熱性能は仮に低くても過去記録超える寒波で温度が一時下がっても、家が壊れることはなく、ただ単に光熱費が上がるだけでほとんどの場合解決するが、地震はそうでないことを私は理解している。