無難な家造りはこのマニュアルから 基礎断熱編

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最新版は昨年出版された2021年度版。実質国が推進する良い家造りマニュアル。

20年ほど前は住宅を建築する半数以上の人がお世話になった住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)であるが、近年はフラット35S等の特別な金利設定を望む方だけとなっている。しかし実質国が監修しているといって良いマニュアルはこれしかない。

厚さは2cmほどで426ページある。左が以前の平成28年度版で5年ぶりに2021年度版に改訂された。

「緑の家」にとってもこのマニュアルは必須である。図面枚数はA2サイズで最低でも60枚以上(平均70~90枚)ある「緑の家」だが、その枚数でも家造りの設計図としては足りない。それを補うのがこのマニュアルであり、内装下地などは全てこのマニュアルによる。アマゾンでも買えるので建て主さんでも一度は開いてみるとよい。設計者は当然この内容の殆どを一度は理解する必要があると私は考えている。

一般的な認知されている専門家とは3種類有り、A.免許制度に基づく「士」が付く職業に従事している人、B.大学など独立した研究・教育機関で研究に従事している人、そしてそれ以外にC.免許制度はなく研究機関従事者でもないが、業として特定業務を長年行なっている人の3つに分けられる。私の現在の立場は建築士であるため免許制度のあるAとなる。Aは免許に守られて業を行なう事が出来るので、その責任は重く、その発言は全て公又はそれに準じた根拠に基づく必要があり、それ以外を行なうときにはそれを明確にする必要があると考えている。

例えば・・・

基礎断熱の断熱の設計はどうするのか?

と建築主に問われれば、

まず守るべきは「建築基準法」であり次に上で紹介している「住宅支援機構の工事仕様書」や「建研や国土技術政研」などが発行する省エネ判断基準及び方法と解説の書となる。

もしこの時このマニュアルに書かれていることと異なった方法で、設計・計画・構造を勧めるときには、そのことを明言しなければ、「士」として誠意ある行為とはならない。

つまり私が勧める「緑の家」の基礎断熱の方法は全て上で紹介した「住宅金融支援機構」の仕様書に書かれている。例えば・・・

上の写真の紙面に記事としてのっている「基礎断熱」の下図は、上の住宅金融支援機構の仕様書に準じているのである。

この基礎断熱は基礎内外両側に断熱材を設置している。この方法は原則として北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県以外はNGとなる。それ以外の県で設計する時は

上図のように外側に断熱材を貼らないようにする事が原則となる。もしやむ得なく基礎の外側に断熱材を貼ることが必要なら、住宅金融支援機構が明記しているとおり、
①断熱材は防蟻性のあるもの
②ベイト工法など白対協の定める維持管理型の管理
③上2つを行なった上でさらに定期点検(当然できる構造にする)

となる。このエビデンスはしたのとおりP50に赤線のある記載(義務項目)となる。

まずこの50ページで白アリ被害が少ない地域(床下地面に対策が必要無い地域)を列挙している。

まず床下地面に白アリ対策が必要無い地域を北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県と定め、この県は3.4.1の内断熱基礎と3.4.2の外基礎断熱もできる。しかし上の県以外は下図の3.4.1の内断熱基礎とし、3.4.2の外基礎断熱は出来ない。

次に基礎外側にやむなく断熱材を使った場合の対策条件を下の通り示している。

この文面で(1)と(2)は両方行なった上で、更に定期的管理できる方法を勧めている。

ここは大変重要で、基礎立ち上がりに両面断熱材を施工する場合は、これらを実施できない場合は、あらかじめ建て主さんに説明しできれば了解が必要と思われる。従って北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県以外の県では原則外貼り断熱の基礎は、国が勧めていないことになる。

また何度か話題としてでているが、スラブ下などの断熱材であるが・・・

ピンクの四角部分は建物重量を支える部分なので断熱材は敷き込まない。
ピンクの四角部分は建物重量を支える部分なので断熱材は敷き込まない。

住宅の重さを地面に伝える大事な構造部分で布基礎ならベース下、ベタ基礎ならスラブ下(非構造体土間は除く)の断熱材敷き込みは、この住宅金融支援機構の仕様書には一切なく、省エネ判断基準書にもその言及はない。つまりこの部分の断熱材は、国が勧めていない部分の断熱材施工となる。これを無難とは言えないので「緑の家」では原則勧めていない。やむ得ない場合として、新潟以北の準寒冷地のみずみちやスラブのアクティブ蓄熱の場合のみ50mm以下の断熱材の敷き込みを行なう。

「士」のつく免許制度の職業は、先ずは法律にのっとり、次に国の監修するマニュアルやガイドライン書などに準じることが必要で、もし独自の方法を行なうときは、必ず国の指針とは違う旨つたえることがとても重要である。

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