UA値0.16w/m2kで断熱等級7を余裕でクリアーする原村の家(長野県諏訪郡)では、主暖房に床下エアコン暖房を計画した。外気温が氷点下16度まで下がってもこの断熱性能と優秀なエアコンであれば支障は全くない。
「緑の家」の床下エアコン暖房は、エアコンの暖気送風を大にして床下内に圧力をかけることで、隅々の隙間から温風を吹き出す仕組み。配置は色々誤解があるかもしれないので下にその位置のリンクを置くが、エアコンは床上設置となる。
その圧力がどの程度であるかは、吹き出し量と開口部から1から2Paと計算で予測出来てていたが、実測しないとそれが事実か不明なので、この度上の微差圧計で測定した。
1~10Pa程度の微差圧はわずかな揺れで変動するくらい小さいので、測定器も市販されている中で最も微少な圧力を測る事ができる機器としている。4箇所程度ある場合は1Paで今回は2カ所となり結果は上のとおりほぼ計算通りで、1.6~2.5Paとなっている事が確認できた。
私たち建築士は技術者であるが、技術者は計算で導いた答えが実務で しっかりと再現されているかに関心があり、想定した計算結果と実際が同じになることで、本当に業務の完了となる。
さて・・・この結果からはやり床から吹き出される風量は全体の半分程度。居室空間と床下空間では依然予期せぬ大きな隙間があるとの仮定に間違いない。この隙間を埋めると効率もアップするのだが、これが結構大変だろうと考えている。
床下内も含め空気の動きは圧力差で生まれるが、このことは意外と建築関係者でも理解している方は少ない。換気においても同様で、換気のような大量の空気が動くことは大きな圧力差があるということ。圧力差を生むにはそれ相応のエネルギーが必要で、それが換気扇の消費電力となる。よってあまりにも小さな消費電力では開放時の送風量は確保できても、圧損がおきたときの圧力差が生み出されずに、わずかな要因で空気はとまり換気不良になる。このため換気扇の小さな消費電力を手放しに歓迎し、それを積極的に選定するにはそれ相応のリスクがあることを、このような実測を行うと認識できる。