「緑の家」の基礎を真上から俯瞰する。新潟市で2件の用事があったので久しぶりにこのタイミングで小新西の家の現場に伺ってきた。
基礎の大きさは4間×43.5間となり、実はこの形は自宅の寺泊と同じ。しかも2階に家族の間を構えるところも同じであるため、32年前のことを思い出した。
「緑の家」は構造・耐久を第一としてその他を第二としていることをいつも下のリンク先でもうしあげている。
これは日本の工場内の作業標語である安全第一、品質第二と同じ発想。通常なら欲張って安全と品質を同様に第一としたいところだが、そうすると最も大事なことがぼやけるのが問題なのであえて、安全第一と言い切ることが美辞麗句にならないこと。実は医療でも同様な考えがありその一つがトリアージ。医療従事者にとって阪神大震災以降トリアージが実質浸透してきたという。医療従事者だれもが皆を助けたいと思っても、資源(医療人数と機器と時間)には限りがある。その限定されたなかで勇気と信念をもって優先順位をつけないと大事なことを見失う。よって優先順位は決して医療の基本理念と業務をサボる事ではないという概念である。この医療の場合は時間が限りある資源だが、建築の場合は時間が資金に置き換わるので明言しがたいのである。
「緑の家」では最も修繕や補強が困難な基礎を第一として家の設計を行っているので、一般の基礎より倍ほどの基礎価格になることもある。しかしそれは当事務所の優先順位の判断である。
三国街道の家でも玄関位置は高かったが、それでもこの小新西の家より400mm程低い。こちらはフルまであと120mmに迫った高さで地面から下枠まで1380mmになる。これはこの地域が海抜面前後の高さになるため、すこしでも水が基礎内に入りにくいように想定し設計している。
いつもように基礎表面は打ちっ放しのきれいなガラス面となるが、一部コールドジョイント部分にジャンカが混じってしまい補修をすることになった。
いつも必ず完璧になることは大変難しい。多少のジャンカは基礎強度に影響を及ぼすことはないが、正しく補修しないと鉄筋が錆びてしまい耐久性に影響を及ぼす。このためこの程度のジャンカなら中性化が他の部分と同様になるようポリマーセメントで補修をする。色の違いがどこまで許せるかがポイントであるが、耐久性には変えられないので、まずは同耐久性の補修を行い次ぎに見た目の補修との順番になる。