土間キッチンだから・・・

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メインの開口部に引き違いサッシが使われる三国街道の家。

「緑の家」では殆ど使われることのない引き違い戸のサッシだが、三国街道の家では使う決定をした。

サーモグラフィーはサッシのすきま風を発見できる(風上側のサッシのみ)。

まず最初にこちらをご覧頂きたい。これは今から10年前に撮影した自宅(当時築20年)の樹脂サッシの熱画像(冬期)である。中央の画像をみると風が弱いときはサッシ下部にいくにしたがってサッシの温度が低下がある。これが所謂コールドドラフトでありごく一般的な現象。一方右の画像は窓外が風上で風が強く吹いているときの熱画像。冷えている部分にムラが見られる。これはこのサッシのパッキンが正しく機能せずそこからすきま風が入ってきている状態を表す。当然手をあてると冷たい風を感じる。このサッシは外開き型の縦滑り出しサッシといわれるサッシで、本来ならパッキンが劣化してもこのように隙間が発生する事は少ないのであるが(特に風上側)、自宅は海の真ん前でありその潮風でサッシの金物が腐食し正しく機能しておらず、結果パッキンの追随性をこえた隙間がでてしまっている。現在の高断熱高気密型サッシはこのように劣化するのが普通である。もし自宅が海の真ん前でなければもう10年は隙間が発生しなかったであろう。

ドレーキップ型のサッシ。上部開口と内開き窓の2つの動作を行うことができる優れもの。

「緑の家」の定番である標準サッシはこの写真のようなドレーキップ型。押しつけて閉めるのでパッキンが劣化し弾力が弱くなっても影響は少ない。

一方引き違いサッシでは20年以内で確実に隙間が発生する。これは引き違いサッシの宿命である。今までの住宅は高気密住宅ではなかったので気にならず使われていたが、超高気密住宅ではアキレス腱となる。

こちらは当時高断熱サッシとして主役だったエピソードの引き違いサッシの下部レール。パッキンが変形して召し合わせ下部で外部が見える隙間がある(築10年ほど)。

引き違いサッシはそもそもが気密を前提に作られた形態ではない。このため気密を維持する物体には取り付ける事はない。自動車に取り付けられるスライドドアは、最後に押しつけるようにしまる動作をおこう事で気密を長期間維持可能であるが、これがただの引き違い又は片引きサッシなら、押しつける力は働かないので、パッキンの伸縮性の劣化=気密破壊となる。であるから「緑の家」では、引き違いサッシは使用せず、開き窓形態の押しつけ型であるドレーキップ窓が10年前から標準なのである↓。

提言⑨ 超高断熱の家にはドレーキップ窓が基本
2014年7月23日緑字加筆修正 オーブルデザインの「緑の家」では今まで⑧つ提言をしてきました。これで⑨個目の提言です...

当然原則FIX(はめ殺し窓)も使わない。理由は過去こちらで何度も申し上げている。

ところがなぜ三国街道の家では引き違いサッシをつかうのか・・・?

それは・・・土間キッチンの空間があるから。

土間キッチン発想は「て・こあ」になる。

旧笹川邸 家族の土間キッチンの間。引き違い戸で屋外につながるこの雰囲気。
「緑の家」でも引き違いサッシは土間キッチンと共に使われる。城山の家2016年完成。

土間キッチンではやはり屋外とのつながりを優先にするので、引き違いサッシの気密劣化より優先される事が多い。これは建て主さんと一緒に導く結論なので、その時々でかわることもある。今回の三国街道の家では熟慮の末に引き違いサッシの採用となった。

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