うらやましい話ですが、関東より南の太平洋側地域は、冬の暖房を深く考えなくてもよい生活がおくれると思われます(深く考えた方がもっとよいですが・・・)。ですので高気密高断熱の事を正しく理解していなくとも問題があまりないのでしょう。このため同じ職種の方でも高気密高断熱を正しく理解されていない方が多いのは理解はできますが、驚きでもあります。
高気密高断熱は手段であり、それは目的ではありません。目的は家中を同じ温度にすることで欠陥をなくす事が真の目的ではないでしょうか?
25年まえから高気密高断熱を実践している人は、この事は当たり前すぎてあえて主張しませんよね。そこで間違った高気密高断熱(断熱)の考え又は理解になるのです。例えば次世代断熱基準だからよいとか低炭素住宅認定だからよいとか・・・です。
目的が家中を同じ温度する事で、それをしないとなぜ欠陥が生まれるのでしょうか?
それは・・・
家内での温度差→結露→カビダニ等生物劣化促進→腐朽
となるからです。これは25年以上前に北海道で実証され、そのため断熱材と気密材を深く考え、欠陥のない家に導いたのです。
家の中の温度差をなくすには、家中空調または暖房しないと温度差が必ず出来、低い温度部分で高湿度となりしまいに結露が発生します。そして長時間の結露は最終的には腐朽を加速させしまします。なぜ結露するかはこちらをご覧ください。
つまり・・・
家中暖房しなければ欠陥が防げないため、必ず家中暖房を行う事になりますが、この時に断熱性や気密性がないと、膨大な暖房費を払う事になります。
住宅技術評論家である南雄三さんが毎年2回海外へ視察に行かれますが、その土産話で、
「最近建築されたパッシブハウス(超高断熱超高気密住宅)にお邪魔したあとに、約1世紀前のル・コルビジェの有名な建築を厳寒期に視察してもその内部隅々まで快適な温度に24時間保たれていて、体感上変わりない快適さであった。ル・コルビジェの建物には一切の断熱材はなく、窓もシングルガラス。暖房費は膨大な金額だが、文化財産なので関係ない。一方パッシブハウスは30cmはあろうかの分厚い断熱材に3層ガラスで暖房費はごくわずか・・・つまり、金持ちでエネルギー問題のこと等度外視すれば、断熱材など無くても同じ快適な建物を建てることができるのだよ」
と話していたと思います(細部が違っていたらすみません)。
この話に全てが表われていると思います。
ル・コルビジェの無断熱の建物でも、暖房費が幾らかかろうとも全空間暖房します。これは同じ温度にしないと家が傷むことを知っているからです。
ここまでお話してきてピンと来た方は、「緑の家」の事を理解している読者さんです。「緑の家」では暖房費を一番気にします。これが超高断熱高気密をする目的だからです。何度も、何時も申し上げておりますが・・・
超高断熱高気密という技術は、家中暖房した時のランニングコストを下げるための手段であり、大事なのは24時間家中暖房する(可能にする性能)事です。
灯油やガスの価格が今の1/10だったら誰も超高断熱高気密住宅を勧めませんし、建てられもしません。