埼玉県での配筋検査と高基礎 その2。

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地上から約850mmの高さに排水などの貫通穴がある大変珍しい現場。スリーブ補強筋は付箋があるとおりこれから修正し被りを確保予定。

上の写真をご覧いただきたい。排水や給水などの設備が基礎を貫通する穴の位置だが、今回は地上から850mm付近に計画している。

一般的に配管類は地面下にある基礎を貫通して屋外に排出されるのが普通だが、全ての「緑の家」ではシロアリ防止策として目視できる基礎の地上立ち上がりで貫通させている。今回はさらに「緑の家」では通常の高さの550mmくらいから300mm上の850mmで貫通している。これは建て主さんのご要望で、この川越市の土地の事情であえて上げている。これは川越市の入間川の氾濫やは排水不良による地域水没を少しでも防ぐように高い位置で配管を貫通してほしいとのこと。確かにべた基礎の一発打ち込みでは、打ち継ぎ面の隙間はなく短時間ならほぼ水密性を担保できる。水が一番侵入する場所は配管の貫通部となるので、この貫通部が高ければ高い程、床下への水侵入リスクは小さくなる。逆にこれ以上上げても今度は重力が浮力に負けて流されるので意味がなく、この850mm程度(穴下端で800mm)が平屋ではとても理にかなっている。

その1とその2でわかるとおり、高基礎と一発打ちを施すことでよい恩恵が多数ある。このことから全ての制作物は基礎が最も重要と言われるくらい、基礎はコストを掛けてもよい恩恵がある箇所といえる。その一方平屋がブームの今時分では、平屋でない建物でも「緑の家」の基礎は通常の基礎の2倍近いコストを掛けていることもあり、とても不利。そのためそれ以上のコストを掛けても、「緑の家」の最大のメリットである余剰空間を床下収納が、平屋だと倍になるがそこまで大きな床下収納が必要もない。つまり総2階建ての建物基礎で丁度良い収納空間となるためだ。

高基礎内は照明設備が標準でせっちされているため、居室のように明るく目視メンテナンスが可能。

では「緑の家」は平屋が向かない仕様だといわれそうだが、それも違う。私の仮説では、「家の寿命は『カビ、カビ臭』で決まる」と唱えている。基礎断熱した家でのカビが最も発生しやすいのは実は床下であり、床断熱では一階の北側の床から壁である。基礎断熱した家のこの欠点を「可視化したメンテナンス」を行っているために、「緑の家」ではカビ・カビ臭が発生し難い環境を提供している。これが「緑の家」の高基礎の最大のメリットであると考えている。

特に最近は50年ローンが提供されるほど、住宅の長寿命化が求められる。だからこそ、家の寿命が短くならないカビが抑えられる家の構造や仕様が肝心なのである。そしてカビ防止は適切なメンテナンスであるが、メンテナンスの王道はなんといっても「目視チェック」である。とにかく目で簡単に確認できることがメンテナンスの基本中の基本。そこを「緑の家」の高基礎可能にするのである。

次に「緑の家」のコンクリート強度のこと。「緑の家」のコンクリートは呼び強度Fmで33N/mm2で発注し、設計強度Fcで24N/mm2、耐久性基準強度Fdで30N/mm2が標準。これはもう17年以上仕様が変わることがなく、この強度をブログで表明した(当時2008年でそれ以前はFm27~30N/mm2)は、まだ住宅用基礎は18N/mm2でも可で、多くは21N/mm2が設計強度Fcで呼び強度は24N/mm2の頃だったため、過剰な仕様と言われた。しかし50年ローンができるくらい住宅の長い耐久性を必要としている現在は、この33N/mm2という呼び強度は過剰とは言われなくなった。この33N/mm2という呼び強度Fmのため品質基準強度Fqが30N/mm2となり100年耐久性の基礎となる。当然Fmは冬季などでは36N/mm2になる。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSCF0433.jpg
鉄筋の種別も確認。設計図通り。

さて最後は鉄筋の品質のこと。鉄筋も図面と同じSD295かを確認する必要があり、通常納品書(出荷証明)などで確認するが、現物にも刻印がされているのでまずそこをチェックをする。この鉄筋の多くが再生品の鉄でつくられることが多く、地域の工場品がおおいので注意が必要。

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