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暖房器具としてのエアコン その4 「その未来」

「暖房器具としてのエアコン その4」は「その未来」とする。多少希望的推測や間違いがあるかもしれない事を前提で申し上げる。今後エアコンは暖房器具として普及するのか?については、「YES」だと思う。私達21世紀の最大のテーマである地球温暖化防止は「待ったなしの対策をしなければ、今の生物にとって過酷な状況となる」とその分野の研究者は口をそろえる。一方日本は高齢化社会がピークを迎え、老人だけの住まいが多くなる。化石燃料の枯渇がまだ訪れていなければ(←希望的推測)、暖房という快適性を捨てられず、住宅内では暖房する事になるであろう。そのとき必ずエアコンの最大の特徴であるその効率の良さと、他の燃焼器具式の暖房器具にはない火災防止の安全性で、一番普及する暖房器具となるであろう。日本建築学会で発刊された「日本の住宅におけるエネルギー消費」の中の、住宅のエネルギー消費の推移によると、2050年には1990年に消費されたエネルギーの69%までに削減するシミュレーションがあるが、現在の科学では、暖房の快適性を維持しながらエネルギーを削減できるのはエアコンしか見当たらない。そのため、シミュレーションではエアコン暖房が前提で、そのCOPが8と設定されている。これは他の暖房器具は直接「石油」や「ガス」を直接燃焼することで暖房としているので、使う分だけエネルギーが消費され、使う量を減らさないとエネルギーが削減できない。つまり暖房を我慢しなさいということであるが、エアコンはそのCOPが高くなれば、同じ暖房量を使ってもエネルギーが減るというマジックみたいな現象が得れるからである。だから国をあげて暖房器具はエアコンを使う事を推進するであろう。でも電気は効率が悪いのでは?と感じる方には、掲示板でもご案内したとおり、電気の一次エネルギーへの変換効率は0.37である。つまり石油の持っているエネルギーが100%とすると、発電所では電気に変換されるものは43%しかならず、且つ送電線で5%のロスがあるので、家庭では、37%(0.37)のエネルギーしか届かない。しかしそのエネルギーをCOP8のエアコンで使うと0.37×8=2.96となり、直接家の中で石油を燃やして暖を取るより3倍良い効率で石油を使う事ができるということ。だから電気のエアコンは非常に効率の良い暖房ができる。

Q値と呼ばれる家の断熱性能を高くしなくても、灯油を直接燃やして暖房するパネルヒーターや電気を直接熱に変える蓄暖から、COP7(実通年COPを4として)くらいのエアコンにするだけで0.37×4=1.48と1.5倍も二酸化炭素量を減らす事が可能!!すごい!!

このことから、エアコンの暖房は今一番注目されているエネルギー削減とも言えるだろう。唯一の問題は、その3でとりあげたとおり、連続暖房して頂かないと暖かく無い暖房器具ということであろう。しかし連続暖房はエネルギーが増加する事になる・・・。解決は家の断熱性能を上げることであろう。だから「緑の家」では、Q値0.99w/m2Kを設定する事にした。

下表、図は2008.5月に加筆。日本建築学会の委員会が想定した、42年後の暖房機やそのエネルギー消費。いかに暖房エネルギー(&給湯)が大きいかわかるグラフ。暖房機はエアコンでCOPが8になると推測。将来の暖房はエアコンであるといえる。一般的にエネルギー浪費と思われている冷房時のエアコンは全く問題ないといってもいいほど小さい。


暖房機としてのエアコン その3 暖かくない!!

エアコンその3は、なぜエアコンは暖房機として普及しないか?(準寒冷地)の理由の2つのうちの2つ目、「エアコンは暖かくない」についてである。

暖房器具として暖かくないと言うのは致命的である。エアコンは、新潟県の多くの年配者に「暖かくない」とレッテルを貼られている。なぜか?それは、暖房器具を連続運転させる習慣が少なかった頃に、エアコンを暖房として使った人が多いから。エアコンは他の多くの暖房器具と根本的に違うところがある。そう、エアコンは放射(輻射)暖房がほとんど出来ない構造で、空気だけ暖める器具であると言う事。古来から日本の家の中に暖をとる方法は、輻射方式であった。輻射方式とは、高い温度になる熱源があり、そこからでる赤外線等で暖をとる方式。例えば囲炉裏、火鉢から始まり、コタツもどちらかと言えば輻射主体の暖房器具。また灯油ストーブもほとんどが輻射であり、ファンヒーターでさえも、60度以上の温風が吹き出る前面の羽近くは、温度が高くなり輻射熱を得ることが可能である。この輻射熱の良いところは、空気の温度が低くても体の暖かくなる部分ができ、寒い部屋で暖房器具をONした瞬間から、暖かさを感じることができる。冷え切った部屋は、天井、壁、床、家具とあらゆる物から冷輻射が人に向かって発せられ、この冷輻射をすぐに緩和してくれるのが、暖房器具からの温輻射。これがエアコン以外の暖房器具の最大利点。最近では扇風機の形をしたハロゲン輻射暖房器具が良く売れている。これはまさしく冷え切ったところで速暖を得られる器具の代表。一方エアコンはその機器表面温度も高くならず、かつ吹き出す温風も50度を超える事はない。輻射熱は全く得られない。そのため、温風の前にいても、40度から50度程度の温風が勢い良く吹き出し、ちっとも暖かいと言うより、不快と言う感じになる。暖かさを感じるのは、部屋空気が暖まり、壁や床、天井面の温度が上がる1時間以上経ったくらいから。その頃には、他の部屋に行ってしまい、エアコンをOFFする事になる。だからエアコンは暖かくない器具であるということになる。加えて、冷え切った部屋でONするので、エアコンは最大運転能力で、すぐに霜取り運転が始まり、かつその間隔時間も短く、寒い時に暖められない器具とみなされる。これが年配者の多くが感じる印象である。(当時のエアコンはCOPも悪い事も大きな理由)

最近は、断熱性能が高くなった事で連続暖房運転が行う家が出始め、連続運転される空間では、部屋の壁、床、テーブル、天井など全てが暖かくなっているので、冷輻射を感じる事が少なく、輻射熱のないエアコンでも充分暖かく感じる事ができる。だから緑の家では、エアコン暖房で寒いという事は聞いた事がない。(但し冷え性などの方は除く)つまり、暖房を連続運転すれば、エアコン暖房が使えるのである。実際、母の家では、低気密低断熱ではあるが、エアコン暖房オンリーである。火を使わないので安全性も高い。問題は、低気密低断熱の連続暖房運転は、ランニングコストがかかると言うこと。だから断熱性能が重要なのだが・・・。


暖房機としてのエアコン その2 電気代

なぜエアコンは暖房機として普及しないか?(準寒冷地)それは大きく2つの理由がある。

1.蓄熱暖房機に比べ電気代が高いイメージがある。 

 これはもっともである。蓄熱暖房機は、電気会社の事情で電気代が一般の電気代と比べ1/4に設定されている。これは深夜に電気が余る為、何とか使ってもらえないかとの戦略で考えられたもの。発電所では、夜電気を使う人がいないからと言って発電量を簡単に落とす事が出来ない。すると電気があまり、あまった電気は溜める事が出来ないため捨てる。なんともったいないが、捨てるしかないらしい。だから1/4の電気料金でも捨てるより使ってもらった方が随分まし。と言う事で、蓄熱暖房機は深夜電気をたっぷり使って熱として溜め込む。電気代が1/4だから大量に使っても高くない。更に電気基本料金の割引まである。

10年前のエアコンのCOPは、最高機種でも4程度。安物エアコンはCOP2.5だから電気代はエアコンの方が高くなる。しかもエアコンのCOPは外気温7度の時のCOPだから、寒い日はCOPが6割くらいになる。つまり最高機種でCOPは2.4、安物は1.5となり、電気ヒーターに近い電気料金になる。これでは高いはず。この体験があり、エアコンは暖房機として使えないと言うレッテルが貼られた。ところが最近の機種はCOPが6.7もあり、低温時でもCOPは4!!これなら蓄熱暖房機とほぼ同じ電気料金である。少し外気温が高い時は、蓄熱暖房機を上回る安い電気料金となるのは確実。最近のテレビCMでもおなじみのエコキュートという給湯器は、電気代が1/4の深夜電力を使い、COP4.5くらいのエアコン(ヒートポンプ)でお湯を造る機器。大ヒットしている。当たり前。理論的には電気代が1/4(深夜電力)で、効率が3としても一般の電気料金の1/12の電気料金でお湯が沸かせる。安い・・・。で地球温暖化に良いと言う事で国が補助金を用意している。

理由2は「その3」で!!


暖房機としてのエアコン その1 COPとは?

エアコンのCOPは一体何?と思われる方も多いだろう。エアコンはご存知のとおり、冷房装置。しかし最近は暖房装置として使っている人も多い。なぜエアコンは冷房も暖房もできるのだろうか?それにはちょっとだけエアコンの中身を知る必要がある。テレビはなぜ映るのかよりしごく簡単なのでちょっとだけお耳を拝借。(知っている人は読まなくてもOK)

冷房運転時=エアコンは室内機と室外機のワンセットという事は知っていると思う。冷房運転時を簡単に説明すると、室内機で室内の「空気」から熱を奪って室外機で熱を「空気」に捨てる(移す)・・・という事。熱を室内から室外に移動するために電気を使う。

暖房運転時=冷房時の全く逆。空気から熱を奪うというシステムだから運転を逆転させればよいのですごく簡単に冷暖房可能。やはり熱を移動するためだけに電気をつかう。電熱ヒーター等はない。

蓄熱暖房機や電気ストーブは、ニクロム線のようなヒーターがあり、1000kcalの熱を出す機器であれば、電気は必ず1000Kcal使う。しかしエアコンは熱を運ぶだけに電気を使うので、発生(移動)させる熱が1000kcalだった時に、使った電気が500Kcalとすると電気ストーブより1/2の電気で同じ熱が得れる。逆の言い方をすれば、同じ電気料で2倍の熱を得ることができる。もし発生させる熱が1000kcalだった時に、使った電気が100Kcalだったとすると10倍の熱を得ることができる。この10倍が成績係数=COP10と呼ばれる数値である。最近の機種は、このCOPが7近くあり、なんと蓄熱暖房機や電気ストーブと比べ電気使用量が1/7になる。理論的はCOPは1以下にならないのでどう使っても電気ストーブより電気は使わない。つまり電気代が掛からないということ!!ではなぜ暖房機として普及しないか?それは大きく2つの理由がある。  続きは「その2」で・・・。

※注意:電力を電気と表記し、尚かつ、電力量を一般的なワット(W)ではなくなじみのあるキロカロリー(kcal)とした。


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