工事監理で思ったこと。②

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

工事監理とは、設計図と現場が同じであるかどうかをチェックすること。これは法律で定められており、100M2(30坪)以上の家のばあいは、建築士の資格が必要。とここまでは何度もご説明している。さて、2年前に建築業界から始まった「偽装問題」は今では全てといっても良いくらいの産業界をもまきこみ、毎日のように「偽装」や「偽り」などの問題があちこちから噴出している。しかも発覚の発端がほとんど内部告発という情けないもの。つまり行政のチェックはほとんどパスという事。偽装や偽りを無くす一番の近道は、違反者への「厳罰処置」に尽きる。しかし建築業界では様々なチェックの法律を追加することで「偽装」をなくそうとしている。しかしこれでは根本的解決にはならない。特殊法人等の団体を増やし余計な手間隙が多くかかるだけ。つまり正直に業務を行っている人にまで、手間隙の費用負担をかける。これでは正直者が馬鹿を見る世の中になる。

住宅(建築物)は、本来建築基準法という立派な法律があり、その中で欠陥住宅が防止できる工事監理という制度があるにもかかわらず、さらに行政や他団体の現場検査がたくさんある。まあ、2重3重のチェックはとても良い。特に利害関係のない団体が交互に見ることは建て主にとって心強い。しかし2重3重のチェックが利害関係のある人が見るという事はほとんど意味のないことになる。しかし実際それが行われている。具体的には私ども手伝う家のほとんどが住宅性能保証制度に登録するが、この制度に登録すると2度の第3者による現場検査が行われる。一度目は基礎配筋時である。私どもも工事監理者として配筋検査をするが、この度、利害関係の大有りな2重チェックを体験することとなる。

新潟県では(財)新潟県建築住宅センターがこの住宅性能保証制度の窓口となり配筋検査の検査員を派遣する。ところが今回は、この検査員がこなくても良いらしい。というのは、この住宅性能保証制度の会社「財団法人 住宅保証機構」が定めた特定団体(このページの一番下)に加入している会社の人が、この配筋検査をする講習を受け、その方が現場配筋検査する事で建築住宅センターから派遣される第三者の検査員が見なくてもOKだそうだ。つまり施工している会社がこの特定団体に加入しており、その会社の中で配筋検査の講習を受けた人がいれば、第三者によるチェックは必要無しで、身内のチェックとなる。これでは第3者チェックとはいえない。事実その会社の施工物件の工事監理として基礎配筋を見に行ったら、底板スラブの下主筋のかぶり厚が最低6cmなければいけないところ全て4cmだったため是正するよう指摘したのである。その仕事があんたらの仕事だろうといわれそうだが、なんとも情けない話。これは力のある建設業者の集まりの特定団体と財団法人住宅保証機構のコネクションによるものだろうか・・・。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする