新潟版  東日本大震災から学ぶ家造り⑤ 耐力壁の基本

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Dsc01838

三条で建設中の「南四日町の家」です。施工会社は越路建設さんです。

ご覧のように横長な建物で窓が大きかったことと、気積(室内空気容量)が大きかったのでQ値は1.03w/m2kと1.0以下にはなりませんでしたが、これは数値だけで、快適性、ランニングコストはほぼ変わりません。

さて、この「南四日町の家」は延べ床面積63坪+11.5坪=約75坪と大きい家です。部屋の空間一つ一つも大きいため天井高さが1階で2.7m、2階で2.85mとなります。一般的には床が広いのに天井が低いととても違和感を感じます。ですので大きい家はこのように天井高が高いですね。

今回の大震災でも多くの家が傾いたり倒壊したのですが、津波の被害があまりにも大きかったので陰に隠れております。しかし地震時での一番大事なことはやはり家自体の耐震性です。そこで今回も前回④に続き耐震性についてちょっと専門的な事に触れたいと思います(大事なポイントです)。

Dsc01840大きな窓と36帖以上の大空間を作るために、耐力壁は高倍率になる。

Dsc01847 写真は内部の筋かいと構造用合板による耐力壁(耐力倍率6)の壁です。交点にN90の釘を打ち付けて完成です。この南四日町の家のように積雪1.3mで耐震等級2以上の家では、耐力倍率6の高耐震壁がないと大きな空間を確保する事はできません。

さて建築関係者なら建物の建ち寸法(高さ寸法)が高い事がこの写真でわかると思いますが、こちらの天井高は2.7mと一般住宅より30cmも高くなります。ですので当然柱の長さが長くなります。となると・・・

実はこのように筋かいという斜めの耐震材で構成される柱間(柱と柱の水平距離)は通常の910mmでは×なのです。だからわざわざ柱間を広げてあるのが上の写真(南四日町の家)です。

「えっ」と思われた方は以前ご紹介した本をお読み下さい。そこには筋かい壁の耐力壁はは縦長の壁になると耐力が落ちてしまい、法律で定められた力を下回ります(↓図)。

Ccf20110516_00001木造軸組工法住宅の許容応力度設計2008年版 P60から抜粋

以前のグレー本(木造軸組工法住宅の許容応力度設計)ではこのh寸法の起点位置が明確ではありませんでした。しかし2008年の新グレー本で明確になり、所謂土台と胴差しの間の寸法が3185mm以下なら910mm間の柱で筋かい壁は成り立ちます。逆に3185mmを超える時には注意が必要です。

大きい家ほど天井が高くなりますが、この時筋かいによる耐力壁の時には注意が必要です。でもきっと多くの施工会社、建築会社の設計者は知りません。これは構造計算した人でないとわかりにくい基準だからです。このようにたかが柱間寸法ですが、されど柱間寸法であり、耐震構造に影響を及ぼす大事なパラメーターです。

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コメント

  1. オーブルデザインの浅間 より:

    kotaro様
    メイルありがとうございます。
    不等式の方向は気づきませんでした(汗)。
    ご指摘感謝いたします。

  2. kotaro より:

    いつも楽しみに読ませていただいております。このQ&Aもたまたま覘いて読んだのですが、一箇所混乱した場所がありましたので確認させてください。2008年版P60抜粋ページの説明によると、合板の場合の条件はL≧60cmかつH/L≦5ですが、質疑応答の例示で合板の場合の不等号式の向きが逆になってしまっているように思えます。具体的には
    > 2990÷910が5以下(3.28≧5)でOKって事でしょうか?
    の(3.28≧5)は(3.28≦5)のように思えます。括弧すぐ左の説明でも5以下と言っているのでわかりきっているかもしれませんが引っかかってしまって。小さなことですみません。

  3. 匿名 より:

    上尾野辺様
     コメントありがとうございます。遅くなってもう必要ないかもしれませんが一応返答いたします。
    > 「筋交いによる耐力壁の長さ(柱芯間隔)は
    > 900mm以上かつ高さ(梁天端間)の1/3.5以下」って事でしょうか?
    そのとおりと解釈できます。
    > 「合板による耐力壁の長さ(柱芯間隔)は
    > 600mm以上かつ高さ(梁天端間)の1/5以下」って事でしょうか?
    >
    そのとおりと解釈できます。
    > 仮に合板/幅910/高さ2990だと、高さ上限は幾つになるのでしょう?
    > 2990÷5=598でL≧60cmをクリアしてないからアウトって事でしょうか?
    > 或は、
    > 2990÷910が5以下(3.28≧5)でOKって事でしょうか?
    >
    > どっちなんでしょう
    後者です。
    耐力壁の縦横の長さ比が小さくなると、剛性、仕様規定上の許容せん断耐力が満足されないので細長い耐力壁を禁止する条項です。その意味から後者になります。
    >
    >
    > あと、ついでで申し訳ないんですが、耐震壁で筋交いと合板を併用した場合は、筋交いの基準を優先って事でしょうか?
    >
    そのとおりです。全ては安全側で考えます。

  4. 上尾野辺 より:

    御忙しい所、本当に申し訳有りません。過去記事に質問レスで申し訳ないです。
    『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』(財)日本住宅・木材技術センター<通称グレー本>
    の耐震壁の巾/高さに関して記載されている↓の文言に関してなんですけど、
    筋交い
    L≧90cm、かつ、H/L≦3.5
    合板
    L≧60cm、かつ、H/L≧5
    「筋交いによる耐力壁の長さ(柱芯間隔)は
    900mm以上かつ高さ(梁天端間)の1/3.5以下」って事でしょうか?
    「合板による耐力壁の長さ(柱芯間隔)は
    600mm以上かつ高さ(梁天端間)の1/5以下」って事でしょうか?
    仮に合板/幅910/高さ2990だと、高さ上限は幾つになるのでしょう?
    2990÷5=598でL≧60cmをクリアしてないからアウトって事でしょうか?
    或は、
    2990÷910が5以下(3.28≧5)でOKって事でしょうか?
    どっちなんでしょう
    あと、ついでで申し訳ないんですが、耐震壁で筋交いと合板を併用した場合は、筋交いの基準を優先って事でしょうか?
    どうもスミマセン、宜しく御願い致します