小さな空調機で涼を得て、暑さを全く感じさせな自邸の高気密高断熱で夏を迎えて4年経った頃(つまり1996年頃)、寺泊の知り合いが
夏にエアコンなんて全くいらないよ。その代わり冬は死ぬほど寒いけど・・・」と言っていた方がいらっしゃいました。
その知り合いの家は・・・
上の図のような環境にありました。
寺泊なので田舎には間違いないのですが、そんなに山奥ではない所でも、このような環境が得られる土地や家が残っています。すばらしい・・・。
夏、暑ければ暑いほど涼しい家・・・
そんな家あるのか?と思うでしょうが上の図のような立地なら大丈夫です。
その原理は・・・
①太陽が照りつけると山の木は光合成を活発に行います。その時、葉が熱くならないように大量の水を葉っぱから大気中に放散させます(一部は葉や幹に)。
②すると水は湿気に変わり(蒸発)、この時に大量の気化熱を大気中から奪います。
③熱を奪われた空気は冷気となって(重くなって)下におり大地に貯まります。森林に入るとその原理で冷やっとします。
④近くに木々がなく剥きだしの地面があると、その方向へ冷気は導かれます。空気は暖かくなると密度が少なくなり上昇します。この時木々の生えている大地が斜面だと効率良くその暖かくなった地面側に冷気が向かいます。
⑤この冷空気の通り道に家を建てると家の中に涼風が勝手吹き込みます。これは外風がないときほど強くなります(だから凄いのです)。
⑥更に木々の地面が斜面だと、地面下近くに水の道があり、家の下に大量の湿気をもたらします。
⑦その地面下から水が供給され床下で森と同じように気化熱で冷気が造られます。
⑧ここに土間があれば(←ここで解説)更に家の中は冷たい空気に満たされます。
このようにエアコンがなくても涼を得られるミラクルな家が出来上がります。特に北側に山という環境がベストです。
この理屈はわかっていても
実際体験しないとわからないのが
私のような凡人です。
ですが、この度じっくりと体験する事ができました。
以前のブログで登場したこの家でその体験はできました。
北に小さな山・森をもち、南側に開けたこの家・・・。
窓を南北に開け放つと・・・
山から涼風が北の窓から入り、南に抜けるのがわかります。
おお~ この涼風・・・。
何ともいえない揺らぎで涼風は確かに家中をなでるように通ります。これならエアコンはいらないでしょう(夜はまだ未確認ですが)。これが本来の通風による涼で、このシステムを町中でも・・・と言って造りだし出したのが京都「町屋」の中庭と記憶しております。効果の大きさは全く違いますが、それでも同じような事が町屋でも起こるとされております。
その冷気を造る裏山にはいると・・・こんな感じです。この写真は下にある家に向かってレンズを向けており、その光の先に家はあります。
望遠レンズを最大限つかうとこのような感じに写ります。
こんなに涼しいなら別荘ように森の中に家を建てればよいのに・・・と思われた方がいると思いますが、それはNGです。
森には血を吸うために待ち構えている「奴ら」が沢山おり、10分もすると顔に群がってきます。・・・夏の天然森は人を拒みます。ゴルフ場の山林のような人工的に管理された森(薬剤散布)には奴らは殆どいません。それは望みませんが・・・。
虫たちの森から少し離れた明るい平地に家を建て、冷風は裏山から呼び込む・・・。このバランスが、自然との共存の巾を広げます。だから
田舎の家は涼しい・・・(のに自然もそのまま・・・)
それはこのような環境があって始めてなしえる事で、都市で真夏に通風で涼を得る事は理屈上非常に厳しいでしょう。だから家の宣伝をすると時に「緑の家」は決して、決して、通風で涼が得られるとは言いません。この環境があってこその本当の通風だからです。昔ながらの民家であっても、この環境の造り出す涼には届きません。
但し同時に湿気(&少量の虫)とは最大限の同居が必要です。この湿気(カビ)とのお付き合いが日本では「自然の家」の証なのですがね・・・。
コメント
チースケ様
コメントありがとうございます。
実は私も娘と同じ部屋で過去ムカデにももを歩かれました。ムカデが歩いてもそんなに感触が悪くなく、ゲジゲジの方がチクチクする感じで嫌です。噛まれなければムカデの方がよいかな・・・(^-^;
いやー、ムカデですか・・。お嬢さん、大したことなくて良かったですね。ひどく腫れた人を前に見たことありますが、痛そうでした。その手の長いモノは大の苦手で、読んだだけで鳥肌が立ってきちゃいました~。それにしても、ホントどこから入って来ちゃうんでしょうね。
自分コメントです。(o^-^o)
自然の環境に恵まれた家は虫との同居・・・。
実は寺泊の拙宅でも、先日娘がムカデに噛まれました。娘は自分の部屋で夜、パソコンに向かっていたところ、足がチクッと痛いので見るとムカデがいたそうです。(;ω;)少し腫れただけですみましたが、気密性のよい拙宅でもどこからともなくムカデは浸入します。田舎はそんなところです。