家の設計を高性能で自然・木の素材。三条 長岡見附 柏崎 新発田 新潟で高断熱
2013年9月19日7時加筆緑字
デシカを記事にしてから7日間はアクセスが2000回/日を超える状況でした。皆様の関心が高い機器と言うことが改めてわかりました。
当ブログでもカタログや仕様書・スペックから連載を4回続けてまとめに至りましたが、追記と言うことで多少補足をします。今年度中に今回の1~4をまとめてコラムに載せます。
「緑の家」でデシカを標準とするか?という問いには時期尚早と読めるような記事で4を終えたかと思います。ですのではっきり言えば新潟の標準では「使いません。」が・・・デシカの評価は高いという事を同時にお伝えしました。
なぜ高い評価だったかをまとめると、
・夏は湿度40%台を維持できる(データから)
・冬は〃 40%台~50%を維持できる(データから)
・効率が高い
でしたが、実はもう一つ大事な事が抜けておりました。それは・・・
・理にかなったシステムがコンパクトにまとまった
ということです。
最初に前説明ですが、
湿度、湿気とは
何回かご案内したとおり、人は体表(肌)から水を積極的に発して気化させ、それが移動する事で体温調節をする時があります。ですので、気温と湿度はとっても大事な環境ファクターです。湿度とは空気中に「気化している」水=湿気が、どのくらいあるかという指標です。空気中の湿気は水の中に溶け込む砂糖水と同じように、ある気温である濃度以上になると溶け込む事ができません。それがその気温の飽和水蒸気量となり、その重量(正式には圧力)比で相対湿度を表しております。
湿気と霧のちがい
もう一度湿気を説明すると、空気中の湿気は「気化した水」で、霧や朝靄のような空気中に液体のまま存在する微粒とは違います。その水の微粒は、その空気が湿気の飽和状態になっていなければ、熱をどこかから奪って気化し湿気となります。水の微粒と湿気は全く違うのです。
人の温熱感覚
生活していて暑い、寒いに影響を与える要素は6つ。
・温度
・湿度
・輻射
・着衣量
・運動量(代謝)
・気流
このうち空気に関連する因子は温度と湿度と気流です。気流を除くと温度と湿度が人や人の活動にとって影響のある因子だから、空調の業界ではこの二つの事を「エンタルピー」と呼んでまとめて考えます。それが良く目にする湿り線図といわれるものです。空調機器の効率を考える時はこの2つの変化を考える事が重要であることがわかります。空気の温度は顕熱とよばれ、空気中の湿気(気化したもの)は潜熱とよばれます。体感温度で考えた時、お互い融通しあう事ができる切っても切れない関係です。
加湿器の種類 ミストと湿気
例えば、加湿器でも気化熱をその加湿器が直接与えて空気中の湿気を増やすA方式と、水を細かく噴霧(ミスト)する事で、空気から気化熱を奪いやすくして、瞬時に気化熱を周囲空気から奪って湿気にかえるB方式の加湿器があります。A方式の方は水に気化熱を与えますから消費電力は高く、B方式ではミストにするだけなので加湿器の消費電力は低くなります。しかし、B方式でもどこかしらで熱を与えないと奪われる気化熱で空気の温度が下がってしまします。もし冬に室温を維持してB方式で加湿するには、暖房機がその気化熱を与えなければなりません。
デシカは湿気をアクティブ移動
ところが・・・デシカという機器はこの気化熱を機器が与えなくとも、また他の暖房機が与えなくとも空気中の湿気を増やすこと(移動)ができるのです。先回のブログで、人が1000度の熱を手で持って運べば凄い効率ですね・・・と書きました。これは熱を発生させるのではなく、熱をそのまま運搬しているからとても効率が良くなるのです。おなじように、湿気を増やすために水に気化熱を与えて湿気を増やすのではなく、湿気そのものの形で移動させる事ができれば、気化熱を与えることなく湿気を増やす事ができます。これがデシカのシステムです。デシカでなくと湿気をそのまま交換できる機器として全熱交換換気扇があります。これらを使えば湿気のまま移動させる事ができます。がしかし・・・デシカと決定的に違うのは、全熱交換型換気扇は湿気をパッシブ(水蒸気圧のみ)で移動させ、デシカは湿気をアクティブに移動させるので、現在もまたこれからも移動の効率が上がる要素があります。つまりデシカは幅広い温湿度帯で多くを湿気のまま移動する事ができるのが良いところですし、全熱交換型換気扇は扱う温湿度に効率と量が左右されますが、単純な機構にその魅力があります(温度差があるほうが効率が上がりコストが安く壊れにくい)。
「うるるとサララ」との違い
デシカが発売される前には、ダイキンさんは「うるるとサララ」という外気で湿気を集める事ができるエアコンを15年前から発売しております。ここでデシカと「うるる」との違いを明らかにすると、うるるは絶対湿度の少ない外気から湿気を無理矢理かき集めていますが、デシカは湿気を集める場所を、湿気の多い不必要となった室内空気とした所がミソです。
更に「うるる」では冬、外気から湿気を集めてくる時(外気へ湿気を放出させるとき)にジュール熱(電気抵抗で起きる熱)を使っており、これが効率を極端に落としておりましたので、当事務所では論外な機器でした。なぜならジュール熱を使うくらいなら、家の中の洗濯物にエアコンで作った熱を加え、湿気とした方が効率が数倍も良くなるからです。
湿気再放出はヒートポンプ(ムーブ)で
デシカは湿気が多く含まれる室内空気から湿気を奪い、湿気を放出させるときに「うるる」で使っていたジュール熱をヒートポンプ(ヒートムーブ)の熱にかえ、しかも低温で湿気の吸放湿が可能な素材を使っているのです。その温度は40度・・・。この40度がポイントが高いのです。最近のエアコンは冬に高温風が吹き出すように設定されている事多くなり、その吹き出し温度は60度にも達します。すると冷媒温度も60度以上になっていなければなりませんが、ヒートポンプ(ヒートムーブ)が効率よく動くのは、外気温と差が少ないほどよく、40度なら効率の良い範囲に収まりますので、この温度一定にキープし利用するのです。この辺りも理の叶ったヒートポンプの使い方です。
結露させない温度が決めて
更に除湿時・・・この除湿時のとき、今度は結露させないギリギリな温度(20度)で吸放湿素子を冷やし、湿気をそのまま湿気の状態で集めるのです。この事で凝縮熱(気化熱)を発生させないため、余計な熱を外に排出する必要がないので効率がよくなります。特にこのブログでも申し上げているように、冷媒の温度を下げないことが効率アップの王道定石です。よってヒートポンプの効率があがり、結果的にデシカのシステム効率が上がります。また、結露をギリギリしない温度であるため、カビの危険性も少なく、水膜がないので熱交換率も上がります。冷媒温度20度の除湿はよい事をづくめの理想温度なのです。ですがこれがエアコンにはできないのです。再加熱除湿でも6度くらいの低い温度で、結露させ湿気をとり、それを室外機の熱で暖めるためどうしてもある程度冷たい部分が機器内に必要で、そのためカビの危険性も上がります。しかしデシカは20度以下の部分がない・・・結果カビの発生がすくなくなる・・・(ある程度はカビ防止剤で防いでいるということ)。
加えて除加湿が効率を6から8で運転できる機器だからすばらしいという効率評価になります。更に・・・的を得たヒートポンプの使い方に技術者として魅力を感じます。
このデシカが作り出す湿度状態を作る為に(特に夏の相対湿度40~50%)、エアコンの再加熱除湿運転では1台のだけでは能力が足りず数台のエアコンで再加熱運転をさせねばなりませんし、加湿の時はデシカ以外では今のところ水の補給(洗濯物、風呂の水、加湿器)を行わなければ、50%まで上げる事ができません(新潟県は可能)。
デシカは必要?必要ない?将来は?
全熱交換型換気扇を使った「緑の家」は冬期湿度50%を維持可能を実証済みです(新潟県)。また除湿もエアコンをうまく使えば50%台は可能です。ですのでそこで充分とお考えの人にはデシカはいりませんが(私です)、このマニアックで理にかなった仕組みに魅力を感じ、夏は40%台の湿度が良いとなるとデシカしかありません。また関東を始めとする冬に乾燥する地域はお勧めです。決してこの内容を詰め込んだ機器としておおきくはありません。また将来寿命が来たとき(15年後)は、きっともっと進化していて小さくまとまるか(デシカの素子自体は10cm×27cmが2個と小さい)、廃番m(_ _)mになっているかしかありませんので、現在設置しているところからの置き換えを強く気にする必要はないでしょう。もしデシカが6年で壊れるなら24時間換気装置として論外です。
PS
現在多くの24時間換気扇に表記されている「設計上の標準使用時間」についてデシカの場合を問い合わせ中です。
早速返信を頂きました。ありがたい事です。ダイキンさん感謝です。
しかしその内容は少しがっくりするものです。内容は・・・
「デシカは国の指定した換気扇に該当しないので表示はしていない」とのこと。
特に気になったのが『電気除湿機』に準じて開発を行っていると言う事。どうやらダイキンさんは換気扇ではないと思っているようです。
問い合わせた正式名称は長期使用製品安全表示制度というものですがそれは
・扇風機
・換気扇
・電気冷房機(エアコン)
・電気洗濯機(乾燥装置を有するものを除く。)及び
・電気脱水機(電気洗濯機と一体となっているものに限る。)
が該当製品とのこと。ですが・・・ですが、
デシカの使い方は24時間換気扇に相当するはずです。当時この法律ができたのは、モーター等の長期使用による加熱で火災が起きる可能性があったので、どのくらい使用してよいかユーザーがわかるように表示することができた理由と記憶しておりますから、その点では・・・。国内初の機器でデシカが特殊な事は理解できます。よってその機器の期間を決める環境基準がないので表示できないということでしょうが、何しろ24時間年中使いますし、エアコンでもあるし、除湿器でもある・・・何にかしら表示して頂けるとと・・・思っております。
コメント
>1.5倍高いですが、調湿の快適さとマニアックさ、見た目すっきりさでカバー。(^-^;
いただきました・・・(^O^)
MOTO様
コメントありがとうございます。
>また、現在取り組まれているデシカの空調設計、
写真掲載等、 差し支えのない範囲での掲載を
これまた期待いたします。
こちらはプランが表示されるので少々難しいですが、一般的な事例として少し紹介できる事を考えてみます。
40坪以内なら、個室SAが重要だから・・・
デシカは2階に設置するのが合理的だと思います。リターン(RA)は壁から懐に入れ開放(間仕切り通気止め必要)、ダクトレスにして、脱衣所で天井でガラりをつける。SA(吹き出し)は、2階廊下天井のみ2.1mとしてここをダクトスペースに。そこから各個室ドア上から吹き出す(ダクトあり)。残りのSAは居間に吹き出す・・・吹き抜けならそこに90m3をまとめて吹き出せばほぼダクトの総長は10mくらい・・・。外気のOAはメンテ不要のサイクロンフードを設置で虫取り。
という感じです。これで90万で如何でしょうか?エアコン一台分15万と高効率熱交換換気扇40万、加湿器2万、除湿器2万で60万より1.5倍高いですが、調湿の快適さとマニアックさ、見た目すっきりさでカバー。(^-^;
これまで「デシカ」について数多く検索ましたが、
得られた情報はどれも物足りないものばかりでした。
今回の記事は、これまで目にした中で
最も内容に富んだものだと思います。
ダクトの太さ、機器の大きさ、価格等で、
採用を断念しているケースもあると思われます。
関東圏等、冬場に乾燥する地域での採用が増え、
ダイキンさんの更なる開発意欲が湧くことを期待します。
また、現在取り組まれているデシカの空調設計、
写真掲載等、 差し支えのない範囲での掲載を
これまた期待いたします。