「て・こあ」でのある一日 ㉓ 続・占いの間

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この工具無いと床が張れない・・・。大事な釘締め

先の㉒の最後に出てきたこの工具・・・なんだかわかりますか?

「釘締め」という工具です。今では機械式の釘打ちやエアータッカーに置き換わったので、この工具を何時も工具袋に入れている大工さんはいないと思います。これは主に床のフロアーの実の釘を締める(めり込ませる)時に使う道具です。木に傷を付けないようにする工夫がこういった多様の工具を生み出しました。

ヒノキの床も大好きだが、この古材で囲まれた空間には杉しか似合わないと思う。梨も良いが入手が難しいく裸足には堅い。

占いの間の床は私が貼りました。その時に釘締めを使い、昔のように手打ち釘で一枚一枚を貼っております。杉の縁甲板で、厚さは15mm・・・無論、無塗装(笑)で何もしておりません。この「て・こあ」の建物の床や柱、枠の多くに杉材が使われておりますが、何れも無塗装です。昔は全て木は無塗装なのです。

さて2階を造ったことで、以前の天井が間近に見られるようになり、面白い物を見つけました。

天井高は1.75m程度の小屋裏的な部屋。この色は塗ったのではなく、ろうそくの煤がついたもの。

クリックで拡大すると(PC表示)少しは雰囲気がわかる。煤で真っ黒けの天井。

水平に平らに貼られた蜘蛛の巣です。織物のような見事なまでに水平に張られた覆いは見事としか言いようのない仕事ですね。

既存ランマが丁度足下に来るこの感覚がこの2階を不思議な空間にしている。

今後この占いの間がどのように使われるのか楽しみですが、まだまだ未完成な部分が多く、形になるのは初夏になるとオーナーさんは言っておりました。

縦柱は既存のもの。柱には以前本尊様があった覆いを支える為の彫り込み跡。そこに新たな梁(古材)を差し込む。ここは金物無しの納まり。

2階の床も階段と同様で私が主として製作しましたが、床組は「て・こあ」を同じように利用されているW様にもお手伝い頂き完成させました。私は基本的に月曜日にしか作業は出来ないので、時間が掛かりましたがそれでもW様のおかげで無事約束を果たすことができました。感謝です。

どうしてか・・・最近特に古い素材や建物に惹かれます。時代を経たその色はどんな良い素材でも出せない雰囲気があります。だから古材を積極的に使い回しし、梁も既存の土台を使用。塗った木では出せないこの感じが・・・本物の証です。
今回の2階床を支える梁は、柱を彫り込んで差し入れ荷重は元々の柱に流れるように計画しております。出来るだけ仕上げは変えたくないので、1階床はそのままとしました。しかしその床板の隙間から外が見えるので(笑)防湿シートと薄い断熱材を床裏から貼込みました。全く断熱材の無い「て・こあ」に断熱材を入れたその理由は・・・夏頃にご紹介します。

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