100年でした。その4 60年住宅を目指せ!

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和島北野の家「て・こあ」のリノベーションでは現在屋根の改修工事が行われております。

新しい屋根も以前と同じ「錆赤」。この色は田舎の葺き替え屋根色の定番だね。

笠木部分を剥がす前の屋根。

以前の金属屋根は「トタン」や「アタン」と呼ばれ、その正式名称は溶融亜鉛メッキ鋼板です。最近の金属屋根のガルバニューム鋼板とは違います。ガルバニューム鋼板は、アルミ亜鉛メッキ鋼板で、アルミが亜鉛に入っている合金でメッキします。そのため耐食性は溶融亜鉛メッキ鋼板より大幅に上がっており、最近の新潟県の屋根の主流となっております。

この「て・こあ」の屋根は過去塗り替えられたようで、多分30年以上の風雪に耐えてきましたが、どうしても弱点となる雪止めアングル部分で腐食による穴があきはじめ葺き替えとなりました。今度も金属屋根ですがガルバニュームですから何もしなくとも30年はいけるのではないかと思います。

見た目はそんな痛んでいるように見えないが・・・

雪止めアングル取付け金物が取り去られた部分は腐食が激しく、既に穴があいている。

最近のアングル受け金物もあまり改善はされていない(この少ない隙間に泥がたまり常時湿潤状態で腐食しやすくなる)。・・・残念。

前にも紹介しましたが、この「て・こあ」は震度6強の中越沖地震にも大きな被害物なく耐えておりますが、その理由は地盤がよかった事に加え、建物が軽かったことが一番と思います。

建物が軽いと建物に働く地震力は大きくならず、被害が出にくくなります。地震当時既にだれも住んでいなかったので、2階の荷物や家財はあまりなかった事が良かったのでしょう。

また、建築当時は瓦屋根(もしかしたら石置き屋根?)だったのでそれに耐えるような木構造だったのに対し、今は金属屋根の為、その屋根の重さは半分以下だった事で余力が生まれたことも幸いだったのでしょう。

古い家になったとき、屋根を軽くすると負担がへり、また流行の断捨離を行う事で、家への負担(床荷重)が減ると言う事は、リノベーションで大切なことかもしれません。

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私は3年以上前は100年住宅を目指しておりましたが、今は60年住宅を目指しております。普通は目標年数が高く(増える)ものですが、緑の家は40年も減ったところがミソです。

なぜ100年住宅を目指さないか・・・?それは技術者の神経ではそんな「ホラ」に近いことを言えないとわかったからです。

まず文化的なことを見てみましょう。今から100年前は大正初期ですね。その頃の文化は多くの人が和装でしたね。所謂着物です。そう考えると今から想像もできないくらい過去の話ではないでしょうか?特に日本人は新しい物を受け入れる傾向が強く、その事を理解すると100年後を想像した家造りはできそうもありません。まあこれは良くても・・・最大の理由が・・・
日本の本州以南はほぼ「モンスーン気候」であり、微生物劣化(カビ)を避けては通れません。昔から日本人はカビの生えたものを嫌い、新しいもの好む傾向があります。つまり「畳と女房は新しい方が・・・」の例えにあるとおり、畳は自然素材なので何シーズンかすると畳床が微生物の働きで柔らかくなり、ヘタリます。い草表面もカビ・ダニ、傷が付きます。だから10~15年くらいで新しい畳にしたくなるわけです。無論あのい草の香りが好きと言う人もいます。重要な事は、自然素材では必ず生物劣化(循環還元)をおこしますが、それがモンスーン気候ではとても早いので、日本より南の地域(東南アジア含む)では木造住宅で100年維持することに重きをおきません。一方寒い地域は生物劣化(循環還元)が遅いので100年くらいの家を考えてもよいのかもしれません。私は自然素材を勧めたいので、生物劣化を受け入れた家造りになるわけです。

この理由で私は100年という4世代に渡る家造りを目指す必要がないと思っております。2世帯でほぼ住みきれる60年間維持できれば、そして60年あれば杉の木も直径50cmくらいにりっぱに育ちますから木の循環もうまくいくはずです。

さて、このように書くと反論があるとおもいます。例えば・・・法隆寺などは1000年もあるではないか?とかです。しかし社寺仏閣と一般の住宅を比較してはなりません。宗教で建てられた建物はその強い信仰心でメンテナンスの充実度がちがいますし、設備への依存度が大変少ない建物です(この築100年の「て・こあ」も寺院でした・・・)。では山間の古民家などは100年くらいの家もあるではないか?と言われますが、こちらも当時の囲炉裏を使う生活が、微生物から木の劣化を遅くしていたと言われております。囲炉裏からの煤や煙が生物を遠ざけますが、現代の家で煙や煤をまき散らすことは不可能です。このように当時と全く同じ暮らしをすれば(ガス・電気・冷暖房しない暮らし)、微生物劣化を遅くすることが可能ですが・・・普通はそんな生活できません。家の素材は変わらないのに人が造り出す室内環境は大きく変化したのですね。

そして最後は・・・
日本では地震多発国であるということ。殆ど地域で60年に一回は震度5強を超える地震に見舞われ、100年に一度は震度6を超える地震がありそうです。この時、超高気密性能が維持できるか・・・。震度6 5を超えなければ「緑の家」の仕様では柔軟度の高いビニールシート(気密シート)による気密施工で比較的問題ないと思いますが、これを省略したり、吹きつけ断熱材などで気密を考えた場合は、地震変形に対する気密素材の追随性がないので気密の劣化は起こり易いでしょう。当然樹脂サッシも。気密がなくなれば生物劣化は急速に始まりますから家の寿命も短くなると言えます。

長くなりましたがこれらが60年住宅を目指すの理由です。そして60年では30年に一度の窓交換、屋根葺き替え、設備取り換えの周期が丁度ピッタリあうのでメンテナンスが安価になりますからね・・・。ここも大変重要です。

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